古典映画の名作『素晴らしき哉、人生』 を見て、人とお金の影響力について考えることがありました。主人公は経営者なので、「経営」という面からも興味深い映画です。
説明のポイント
- 人間とお金の関係性を再考できる名作映画
- 何気ない生活や仕事も、実は他人に影響を及ぼしている
- 物事のとらえ方、考え方は自分次第。他人が決めるものではない。
『素晴らしき哉、人生』とは?
『素晴らしき哉(かな)、人生』は1946年のアメリカ映画で、主演は名優ジェームズ・ステュアート、監督はアカデミー監督賞に3回輝いた名匠フランク・キャプラです。
アメリカではクリスマス映画の最高峰として推薦されることもあり、70年経った今でも支持される名作映画のひとつとされています。
参考:クリスマス映画ベスト25発表!1位は『素晴らしき哉、人生!』(シネマトゥデイ、2014年12月17日)
物語のあらすじ
主人公ジョージは、子供のころから世界中を旅する生活を夢見ていましたが、父の急死により会社を継ぐことになります。街を支配しようとする悪徳実業家に対抗しながら奮闘し、自分の給料が安くても我慢を重ね、経営と資金繰りに奔走していました。
ところが、あるハプニングで経営の資金が紛失し、会社は経営危機に立ちます。仕事に人生を捧げてきたジョージは、失意の余りに自殺直前まで追い込まれます。
自殺の直前に現れた天使は、ジョージの存在しなかった場合の架空の世界を見せます。それは、優しかった人々の心がすさんだ世界でした。
自分の存在は他人にも影響を及ぼしている
天使がジョージに見せた架空の世界は、ジョージがこの世にいることの意義を示します。つまり、ジョージがいたおかげで、みんなが幸せに生活できていたわけです。
映画を見ている方は、ジョージという主人公を通じて、人の存在の尊さと、人の存在が他人に影響を及ぼしていることを疑似体験することになります。
お金は、使い方次第で人の生き方や生活を左右する
ジョージは、経営の資金を紛失したあまりに、自殺直前まで追い込まれます。そのシーンは、お金が人間を追い込む生々しさを見せつけます。
一方、ジョージがいない架空の世界では、悪徳実業家が街を支配しており、モラルは荒廃しきっていました。もちろん、悪徳実業家にも主義があって、その信念で街を支配しているわけです。
映画を見ている方はお金の影響力を知ると同時に、その使い方によって、人の生き方や生活環境を大きく左右することを感じるでしょう。
映画から何を考えるか
映画はハッピーエンドで終わり、感動の大団円になります。たとえ不自由でままならぬことがあっても、今生きていることが重要であることを感じます。強く生きる勇気を与える映画です。
この映画は一見、困ったところで天使が助けてくれるご都合主義の映画にみえます。しかし、抜き差しならないお金という問題を主軸にしながら、人とのつながりを考えさせる点が、人の心をうつのでしょう。
お金は使い方によって人を幸せにするし、人を支配することもある怖さを持っていること、自分は自分という存在からの視点でしかものを見えないが、その存在は他人にも影響を及ぼしているということを実感します。
白黒の古典映画ですが、必見の一本です。事業承継、資金難、人間関係、生き方とは何か? といったキーワードが含まれる名作映画として採り上げました。