マイナンバーカードのメリットが見えてきた e-TaxでID・パスワードが不要になる

国税庁は、平成31年(2019年)の1月から実施する、マイナンバーカードを活用したe-Tax利用の簡便化について発表しました。

説明のポイント

  • e-Tax利用の簡素化が平成31年1月に予定されている
  • e-TaxのID(利用者識別番号)やパスワードの入力が不要になる
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マイナンバー制度とマイナンバーカード

「税金の無駄だ」「情報流出したら責任とれるのか」などと、ほとんど集団リンチの勢いでバッシングを受けてきたマイナンバー制度。ネガティブな批判意見ばかりが目立つ状況になっています。

これは、システム構築ばかりが先行して、マイナンバー制度のメリットがあまり見えなかったということも理由にあります。しかし、ここに来てようやく、マイナンバー制度の利益が国民に還元される情報が出てきました。

マイナンバーカードを使えば、確定申告がもっと楽にできる、というものです。

マイナンバーカードとは?

マイナンバー(個人番号)は、日本国内に住民票のあるすべての人に付与されています。そのマイナンバーを証明するのが、マイナンバーカードです。

マイナンバーカードは、自分で申請しないと入手できません。交付を受けたい場合は、市区町村の役所・役場にて、無料で申請できます。

申請していない人の手元にあるのは、個人番号が書かれた緑色のカードでしょう。これは通知カードというもので、これでもマイナンバーを知ることはできます。申請は不要で、すべての人に送付されています。

通知カードとマイナンバーカード

▲マイナンバーカード総合サイトより引用

マイナンバーカードはプラスチック製のカードで、本人の写真が印刷され、ICが内蔵されています。そのICには、「電子証明書」が記録されており、ネット上における「本人確認」の役割を果たします。

つまり、マイナンバーカードがあれば、ネットでも実社会でも、自分の身分を証明できます。

e-Taxの利用が激的に楽になりそう

国税庁は2017年5月、マイナンバーカードを活用して、e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めていることを明らかにしました。

参照【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています(国税庁e-Taxサイト)

e-Tax(イータックス)とは、国税庁の電子申告システムのことです。紙の申告書を書いて郵送しなくても、e-Taxを使えば、パソコンで作った申告書をデータのままで送信できます。

現行の方法では、e-Taxを利用するには、ID(利用者識別番号)とパスワードの取得・管理が必要です。これが簡便化すると、マイナンバーカード1つでOKで、IDとパスワードは不要になります。

簡便化は、平成31年1月からの予定とされています。つまり、平成30年分の確定申告(平成31年3月15日期限)で利用できることになります。

具体的に、どんなところが楽になるか

マイナンバーカード方式によるe-Tax利用のイメージ

上記の図は、国税庁が明らかにした「マイナンバーカード方式によるe-Tax利用のイメージ」です。

これを見ると、これまでは必要だった

  • 開始届出書の提出
  • ID・パスワードの受領
  • 申告時にID・パスワードを入力

という手続きは不要で、マイナンバーカードがあれば、あとは「データを作成→電子証明書を付与→送信」という、シンプルな流れになります。

e-Taxを利用するまでの「なんか面倒くさそう」という、心理的ハードルも下がることでしょう。

なお、マイナンバーカードの電子証明書を読み取るためには、ICカードリーダーを自分で購入する必要があります。(2,000~3,000円程度)

マイナポータルとの連携になるのか?

具体的な点は明らかにされていませんが、簡便化されたシステムでは、マイナポータルからe-Taxにログインする方法が予想されます。

マイナポータルとは、国が提供する個人向けの情報管理システムです。今後は、税・社会保障に関する情報や手続きが、このマイナポータルに集約される予定です。マイナポータルには、マイナンバーカードがあればログインできるようになっています。

現在のマイナポータルを見てみると、初期設定ではe-Taxとマイナポータルは連携していません。このため、e-TaxのIDを設定して連携することで、マイナポータルからe-Taxにログインできます。

連携後は、e-TaxのWEB版とメッセージボックスには、マイナポータルを経由することで、ID入力不要でログインできます。

マイナポータルにログインするには、マイナンバーカード受領時に登録した4桁のパスワードの入力が必要です。とはいえ、4桁であれば記憶できるレベルのものですし、負担感は少ないでしょう。

マイナポータルのe-Tax連携

マイナポータルの使い勝手の悪さはネックです。最新のWindows10において標準ではないブラウザ(InternetExplorer)を利用することや、Javaのインストールが必要なのに、最新バージョンのJavaではログインできないなど、やたら問題が多いです。

さらに変わりそうな点は?

これまでのID・パスワードを使ったe-Taxの利用は、「導入後、概ね3年を目途に見直し」の予定とされています。このため、将来的なe-Taxの利用は、IDが廃止されることも想定されています。

e-Taxを利用するには、将来的にマイナンバーカードの取得・利用が必須になりそうです。マイナンバー制度以前でも、e-Taxを利用するには住民基本台帳カード(住基カード)の取得が一般的でしたので、手間的に変わりはありません。

ID(利用者識別番号)の利用を縮小する場合、税理士が申告を代理をする場合はどうするのかという疑問が生じます。納税者から提供された個人番号を使用するのでしょうか?

医療費控除の申告も変わる

確定申告で変わる点が医療費控除にも見られます。

これまで医療費控除の適用を受けるためには、医療費の領収書をかきあつめて集計していました。

マイナポータルが本格稼働すれば、健康保険の管理組織から集計されたデータが、直接マイナポータルに送信・保管されます。確定申告の際には、このデータを使って、医療費控除を受けられるしくみになります。

これまでの、領収書の束をかき集めるという負担は激減することでしょう。これを見越して、平成29年度の税制改正では、今後の医療費控除の申告にあたって、領収書ではなく「明細書」の添付を要件とする方法に変更しています。

まとめ

少しずつ見えてきた、マイナンバーカードのメリットと、e-Tax利用の簡便化についてお知らせしました。

ネガティブな情報ばかりが目立つマイナンバー制度ですが、もともとは「消えた年金問題」のように、国家的な問題を解決するためのシステムだったはずです。

この点を忘れて、かつて年金問題をバッシングしていた人が、今度はマイナンバー制度を「無駄だ危険だ」とバッシングするのは、そのスタンスに疑問を感じるところではあります。

e-Taxとマイナポータルに関する情報については、新しい情報が出てきたら、改めて採り上げたいと考えています。

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