やたらと手間のかかる印象のある「法人設立」。そのしくみが変更になりそうです。関係機関の討議資料から、どのような方針であるかを紹介します。
説明のポイント
- 法人設立が、オンラインで完結するしくみが検討されている
- マイナポータルを活用し、分断されていた手続きが一本化される
法人の設立は面倒くさい?
個人とは異なり、「法人」は、ビジネスのためのバーチャルな存在です。
ところが、ビジネスをしやすくするための「法人」なのに、その法人の設立が、やたらに手間がかかるという問題点が指摘されていました。
この点を解消すべく、制度の改正が検討されています。
どんな点が問題なのか?
現状では、法人を設立し、ビジネスを開始するためには4つのシステムにアクセスし、それぞれに手続きを行う必要があります。
- 登記(登記ねっと)
- 国税庁(e-Tax)
- 地方税(eLTAX)
- 社会保険・労働保険(e-Gov)
昔から当然のように分断されたしくみですが、これからビジネスを始めようというひとには、あまりにも不便な制度です。
また、ところどころで、紙の書類が交付されたり、最初に手続きをするたびに「登記事項証明書」の提出を求められたりで、不効率という批判があります。
そこで、この不便さを改めて、一括して手続きを完了できるようなしくみが検討されています。
ちなみに、お隣の韓国では、「Start-Biz」という制度がすでに実現しており、ビジネス開始手続きの一元化が実施されているそうです。
どう変わるのか?
ここであげた問題点は、次のように解消するべく検討されています。
- オンラインによる法人設立登記は、24時間以内で処理
- 印鑑届出義務の廃止
- 業務の徹底的な電子化
- マイナポータルの連携
出典:新しい経済政策パッケージ(平成29年12月8日閣議決定)
手続きについては、マイナポータルを基軸とした手続きが検討されているようです。
現時点でのマイナポータルは、「個人」がマイナンバーカードでログインして利用するサービスになっていますが、法人設立でも活用できるサービスに変わっていくのでしょうか。
今後のスケジュールについても、予定が公表されています。
段階としては、まず「登記後」の手続きがワンストップですむようになります。これは平成31年度中とされています。
そのうえで、「登記手続き」も含めて、平成32年度中に全手続きのワンストップ化を目指すとされています。
まとめ
法人設立の簡便化の状況について、話をまとめました。
資料を見ていると、法人設立には微妙な「既得権」も関係しているようで、すぐに片がつく話ではないようです。(あまり大声ではいえませんが)
この他にも、銀行の法人口座をオンラインで開設できようにするか、などの検討もされているようです。
スタートアップがしやすくなるのは、ビジネスにかかわる人間であれば、誰もが歓迎することでしょう。
出典:法人設立手続オンライン・ワンストップ化検討会(第1回~第7回)(首相官邸)
※上記の検討会ですが、回を重ねるごとに方針が軌道修正されている(?)ようですので、古い資料を読む場合は注意が必要です。