税務署の窓口対応について、2025年(令和7年)1月から書面提出した場合の控えについて、窓口での収受日付印の押なつはされないこととされました。
この対応を受けて、金融機関の口座開設にどう影響があるのか気になっていましたが、個人事業主の口座開設にあたり、確認書類の取扱いを変更している金融機関があるようです。
「申告書等の控えへの収受日付印の押なつ」が廃止
すでにお聞き及びと思いますが、2025年1月から税務署窓口では、控えを渡しても収受印は押印されません。すでにネットでは多数の解説記事がありますので、ここでの説明は省略します。
参照:令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて(国税庁)
金融機関の取扱いに影響?
金融機関の口座開設にあたり、このような控えを確認書類の一つとして受付していた場合に、上記の押なつ廃止を受けてどう変化があるのか、ブログ筆者は気になっていました。
この影響ですが、金融機関によっては書面提出の控えは「確認書類」として受付しない、というころもあるようです。
GMOあおぞらネット銀行のお知らせ(2024年12月25日)によると、
国税庁の対応に伴い、2025年1月1日以降に収受印の押なつが行われなくなる個人事業主の確認書類につきましては、当社では受け付けできませんので、下記のとおりご対応をお願いいたします。
◆収受日付印の押なつされた書類をお持ちの方
2025年1月1日以降に口座開設のお申込をいただいた場合も、引き続きご提出いただけます。◆e-TAXによる申告・申請手続きをされた方
従前どおり、収受日確認のため、申告書と受信通知をあわせてご提出ください。◆上記以外の方
申告書等情報取得サービス、保有個人情報の開示請求、税務署等での申告書等閲覧サービスにて収受日付が分かるものを取得し、ご提出ください。
過去に書面提出した収受印のあるものは今後もOKですが、2025年1月以降の書面提出の控えは収受印がないので、別途「申告書等情報取得サービス、保有個人情報の開示請求、税務署等での申告書等閲覧サービスにて収受日付が分かるものを取得」する必要があると読めます。
現在のところ、税務署の窓口では収受印の代わりにリーフレットが配布されますが、これは収受印の代替としては扱わないようです。
個人事業主が開業当初に口座開設をする場合、これまでは、自分の手もとにある開業届や青色申告承認申請書の書面控えをスキャン・コピーして提出していたものと思われますが、今後はもう少し手間がかかるかもしれません。
なお、GMOあおぞらネット銀行以外の主要ネット銀行では、このような取扱い変更のお知らせは、現時点(2025年1月11日)では見当たりませんでした。
国税庁は金融機関に対応を要請しているが
国税庁の案内によると、
国税当局から、金融機関や補助金・助成金などを担当する行政機関などに対して、今般の見直し内容について事前に説明を行い、「令和7年1月以降は、各種の事務において収受日付印の押なつされた申告書等の控えを求めない」ことを徹底いただくようにお願いしております。
とあります。
「収受日付印の押なつされた申告書等の控えを求めない」という国税庁の要請が、「収受日付印の押なつのない申告書等の手もとの控えは受付しない」→「税務署にある押印のあるものの写しならOK」ということになるのであれば、これは単に不便になっただけようにも思えます。
GMOあおぞらネット銀行の対応が、国税庁の要請に沿ったものであるかを考えると、ちょっと微妙な気もします。
そうはいっても、金融機関側としてもなんらかの信頼できる確認書類が必要で、悩ましい対応のように思われます。
開業当初のe-Taxはハードルが高い
国税庁としては、e-Taxで届出書や申請書を提出できる環境を整えています。しかし、個人が開業当初にe-Taxでこれらを提出できるか……というと、なかなか難しいところでしょう。
これまで、個人事業主の開業届や青色申告承認申請書の大半は、書面で提出されていたものと推察されます。
ところでe-Taxソフト(WEB版)の機能を見ると、青色申告の承認申請はWEB版で可能ですが、開業届の提出はWEB版ではできないようです。
現状では、個人の開業届はe-Taxソフト(インストール版)で提出するしかないようです。
1回きりの届出とはいえ、お世辞にも個人でも利用しやすいe-Taxの環境が整っているとはいえないでしょう。
まとめ
収受印がなくなった影響として、金融機関に提出する確認書類はどう変わるのかが気になっていたところ、GMOあおぞらネット銀行の案内があったので、これをとりあげてみました。
収受印がないものは確認書類として扱わないということで、なんだか不便になっている気もしますが、難しいところです。
当ブログで以前に書きましたが、もし控えに収受印があっても、それは「正本と控えが真に同一であることを保証するものではない」ということに留意が必要です。
収受印が押印されなくなったことで、手もとの控えと正本の同一性について、第三者に示す場合の信頼度は大きく低下したといえそうです。