イオン銀行、振替納税・社会保険料の口座振替に対応

イオン銀行が、国税・社会保険料の口座振替に対応したので、お伝えしておきます。対応は2018年11月からです。

説明のポイント

  • イオン銀行が日銀の歳入代理店になった
  • 2018年11月から、国税・社会保険料の口座振替に対応
スポンサーリンク

 

国税・社会保険料の口座振替とネット銀行

国税や社会保険料の口座振替は、「ネット銀行では対応していない」と案内することが通常でした。

その理由は、いずれのネット銀行も日本銀行の歳入代理店ではないためです。税や社会保険料の取扱いができないことから、「ネット銀行では税・社会保険料の口座振替ができない」という実務が常識でした。

そんな固定観念があったわけですが、イオン銀行が2018年11月から日本銀行の歳入代理店となり、税や社会保険料の口座振替に対応したことがわかりました。

新しい業態の銀行で日銀の歳入代理店になったのは、これが初めてではないでしょうか。

このため、これまでのように「ネット銀行では税・社会保険料の口座振替に対応していない」とは、かんたんに断言できなくなりました。

公式発表の確認

イオン銀行が国税・社会保険料の口座振替に対応したことについて、日本年金機構の案内(2018年10月)を見てみましょう。

口座振替取扱い金融機関の追加について

イオン銀行が、厚生年金保険料、健康保険料、子ども・子育て拠出金及び国民年金保険料の口座振替の取扱いを開始します。
それに伴い、平成30年10月1日(月曜日)より、イオン銀行にかかる「健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書」、「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」の受付を開始します。

日本年金機構では2018年10月と案内されていますが、イオン銀行のホームページでは11月と案内されています。

また、イオン銀行の公式発表(2018年9月)を見ると

当行は、このたび日本銀行より「歳入代理店」の承認を受け、2018年秋頃より、当行の預金口座から口座振替による歳入金等の受入の取扱を開始いたします。
これにより、「国民年金保険料」、「厚生年金保険料及び健康保険料等の社会保険料」、「労働保険料」といった歳入金のほか、「申告所得税及び復興特別所得税」、「消費税及び地方消費税」などの国税の納付を、当行の預金口座から口座振替により納付することができるようになる予定です。

と案内されています。

念のため、イオン銀行の「よくある質問」も確認しておくと、

以下の種類の歳入金を、イオン銀行口座から引き落とすことができます。
1.国民年金保険料
2.社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料、船員保険料、児童手当拠出金)
3.労働保険料/石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金
4.申告所得税及び復興特別所得税
5.消費税及び地方消費税

※ 地方税/国民健康保険料はご利用いただけません。
※ イオン銀行では、預金口座からの口座振替による納付のみお取扱しています。納付書での手続きはお取扱しておりません。
※ 「Pay-easy(ペイジー)」「e-TAX」「イオン銀行PayB」での納付はお取扱しておりません。

と案内されています。

国税について見ると、「申告所得税及び復興特別所得税」「消費税及び地方消費税」という記載があります。

よって、個人の確定申告で利用できる「振替納税」も、イオン銀行で取扱い可能となっています。(念のためイオン銀行のサポートにも問い合わせて、筆者確認済み)

ちなみに、法人については国税の口座振替制度は存在しないので、社会保険料と労働保険料が対象となります。

そのほかに注目される点としては、「納付書での手続きはお取扱しておりません」というところでしょう。

イオン銀行の店舗に国税や社会保険料の納付書を持参しても、納付はできないということです。

イオン銀行は、ミニビジネスにどうか?

持ち上げたような感じのニュアンスから一転して申し訳ないのですが、ミニビジネスを中心に支援している立場からすると、イオン銀行を「ファーストチョイス」とすることは微妙におすすめしづらいです。

それは、

という理由のためです。

ミニビジネスでは、月額基本手数料の負担を嫌ってネット銀行を選ぶ向きが多いですので、この点は不利です。

ペイジー非対応のデメリットについては、税・社会保険料の口座振替に対応したことで、多少やわらいでいます。ただし、源泉所得税の処理には対応できない問題があるでしょう。(ダイレクト納付にも未対応)

個人については、もともと国税の還付金の受取口座に指定することが可能でしたが、これに加えて、振替納税の口座として指定することも可能になりました。

イオン銀行の口座数は約600万(ディスクロージャー誌2018より)とされており、高金利の魅力などから、一般の個人では利用者も多いでしょう。

とはいえ、何が何でもイオン銀行というニーズは、それほど多くはないでしょう。

イオン銀行は「ネット銀行」か?

やや余談になりますが、この記事ではイオン銀行を「ネット銀行」という区分で述べています。

しかしイオン銀行について見てみると、全国のイオンモールに多数の実店舗を有しており、「インターネット専業銀行」に区分できるというと微妙なところもあります。

支店の割当は口座開設者の誕生月で決まるとされており、これは他のネット専業銀行と同じ「地域担当支店がない」扱いです(個人向けの場合)。

ネット利用を中心としているが窓口としての店舗も有しているという、新しい業態なのでしょう。

また、日本年金機構の案内(2018年10月)についても、当初は「インターネット銀行による口座振替開始について」というタイトルになっていました。(いまは「口座振替取扱い金融機関の追加について」に変更されている)

タイトルが変更された理由は不明です。もしかしたら、実店舗があることを考慮したのかもしれません。

まとめ

イオン銀行が、税・社会保険料の口座振替に2018年11月から対応したことがわかりましたので、それをお伝えする情報でした。

新業態の銀行で日銀の歳入代理店になったのは、イオン銀行が初めてと思われます。その点でインパクトのあるニュースでしたので、記事にまとめておきました。

なお、ペイジーによる納入のみ対応しているネット銀行には、楽天銀行とPayPay銀行があります。また、”ネット銀行”に区分されることもある新生銀行も日銀の歳入代理店で口座振替に対応しています。

ミニビジネスのためにイオン銀行を選んでいる人はほとんど見かける機会がないので、実務に与えるインパクトは少ないでしょう。

ただし「ネット銀行で、税・社会保険料の口座振替できませんよ」という案内は、微妙に誤解を招く可能性があるため、実務にかかわる立場からすると注意が必要です。

とくに個人向けの振替納税の案内では要注意でしょう。

国税還付金について、ネット銀行で受取可能な範囲を知りたい場合は、以下の記事もご参照ください。(2018年に開業した銀行も追加しました)

所得税の確定申告で還付を申告する場合、還付金の受け取り口座を申告書に記入します。たまに「ネッ...

スポンサーリンク