納税証明書の実務が微妙に変わる【2】 電子委任状の添付で代理請求が可能

令和2年度税制改正で措置された税務手続の改善で、納税証明書に関するものが見られます。この点、先日公表された財務省「令和2年度税制改正の解説(暫定版)」でその詳細がわかりましたので、この記事で整理しておきます。

前回の記事に関連して、納税証明書のオンライン代理請求に関する改正と、実務への影響について考えます。

説明のポイント

  • 電子委任状の添付により、納税証明書のオンライン代理請求が可能になる
  • 税理士も代理人となって請求できると考えられるが、電子委任状の作成がひと苦労の可能性あり
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納税証明書は代理人のオンライン請求不可だった

納税証明書といえば、税務署の窓口で請求するのが一般的です。これ以外に、郵送や、e-Tax(オンライン)で請求することも可能です。

では、代理人が請求する場合はどうでしょうか?

代理人による納税証明書の請求については、委任状を添付します。このため、窓口・郵送による請求では、紙の委任状を作成して、添付しています。

引用:国税庁「交付請求書及び委任状の記載例 法人納税者(代理人が請求書を持参する場合)」

これに比べ、オンラインによる請求では、代理人の側で電子委任状を添付するしくみが整っておらず、代理請求はできなかったということです。

電子委任状の添付のしくみが整えられる

こうした問題を解決する改正が実施されます。

財務省「令和2年度税制改正の解説(暫定版)」によると、

納税証明書の電子的請求について、代理請求する際に電子委任状の添付を行うことにより、代理人において電子的に納税証明書の代理受領ができることとされました。

という記述がみられます。

この解説を読むと、「電子的に納税証明書の代理受領ができる」と書かれています。

そうなると、紙の納税証明書を電子的に受領するのは無理なわけで、これは電子納税証明書の代理請求を想定していると考えられます。

ところで、前回の記事でお伝えしたとおり、2021年(令和3年)7月からは、電子納税証明書を印刷して紙の納税証明書として利用できるようになります。

令和2年度税制改正で措置された税務手続の改善で、納税証明書に関するものが見られます。この点、先日公表...

つまり、電子納税証明書をオンラインで代理請求したのち、これを書面の納税証明書に印刷することが想定されます。

これは事実上、紙の納税証明書をオンラインで代理請求できることと同意義、といえるでしょう。

一方、紙の納税証明書そのものを「郵送」としてオンラインで代理請求できるかについては、この解説では読み取ることはできません。

電子納税証明書の代理請求で代替可能であることから、オンラインにおける代理請求では、電子納税証明書の利用が通常とされる可能性があります。

 

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電子委任状はどうやって作成すればいいのか?

オンラインで代理請求を実施する流れは、次のとおりと思われます。

  • 納税者(請求人)が電子委任状を作成し、電子署名をする
  • 電子委任状を、代理人に渡す
  • 代理人がe-Taxで申請するときに、電子委任状も添付する
  • 代理人の申請時には、代理人の電子署名だけでよい。改正により、申請時における納税者(請求人)の電子署名は不要とされる(令和2年国税庁告示第2号の12)

納税者(請求人)が電子委任状を作成し、代理人に受け渡しするまでがポイントといえます。

では、その電子委任状はどうやって作成すればよいのでしょうか?

国税庁e-Taxホームページを見ると、「e-Taxで利用可能な電子委任状について」という案内のページがあります。これによると、

  • 電子証明書
  • 電子委任状(PDF)
  • 電子委任状(XML)

の3とおりが示されています。

電子委任状をPDF形式で作成する場合は、そのPDFに電子署名をします。(Acrobatなど署名用のソフトが必要。無料の「JPKI PDF SIGNER」でも対応可能と思われる)

XML形式は、e-Taxソフト(インストール版)で作成できます。電子署名をしたのち、委任状データを切り出すことが可能とされています。(下の画像は、e-Taxソフトにおける電子委任状の作成画面)

そして、e-Taxにおける納税証明書の代理請求において、電子委任状の添付ができるようにシステムとして改善されることでしょう。

税理士による代理請求はできるのか?

ここで疑問に感じるのが、税理士も納税証明書のオンライン代理請求は可能なのか? という点です。

過去、税理士による納税証明書のオンライン代理請求については、一定のニーズがあり、税理士会の要望でも見かけることがありました。

この点ですが、財務省「令和2年度税制改正の解説(暫定版)」を読むと、「納税者から委任を受けた税理士等の代理人」という書き方をしていることから、この代理人には税理士を含むものと考えられます。

税理士による代理請求が可能になるのであれば、税理士仕様のe-Taxソフト(WEB版)の画面などにおいて、納税証明書に代理請求の画面が追加され、電子委任状が添付できる機能も備わるものと推察されます。

実務においては困難もありそう……

もし仮に税理士によるオンライン代理請求が可能になったとしても、肝心の電子委任状を作成するのは、ひと苦労があるかもしれません。

電子委任状には電子署名が必要ですので、納税者(請求者)である会社の社長などには、PDFの電子署名にAcrobatなどを用いてもらうか、操作性の悪いe-Taxソフトをインストールしてもらう必要があります。

そして、電子署名にあたって、電子証明書(マイナンバーカードでよい)や、ICカードリーダーも必要です。

税理士からの説明・案内の負担を含む、電子委任状の作成の手間を考えれば、紙の委任状をもらって郵送するほうが早い、ということになってしまいそうです。

苦もなく電子委任状を作成できるような納税者(請求人)であれば、代理請求によらずとも、自分で電子納税証明書を請求できるようにも感じます。

まとめ

納税証明書の請求について、電子委任状の添付により、代理請求が可能となる点をお伝えしました。この改正は2021年7月から実施されます。

電子委任状の作成においては、PDFのほかに、e-Taxソフトを用いてXMLに電子署名することも可能と思われます。

その代理請求ができる代理人には、税理士も含まれると考えられますが、実務を考えると、電子委任状の作成はひと苦労といえます。