国税庁e-Taxホームページで2025年3月に公開された「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」をおすすめする記事です。
世間的にあまり注目されていないようですが、電子納税を促進するツールとして重要なので、このブログで紹介しておきます。
「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」とは?
e-Taxで源泉所得税を納税するためには、e-Taxにログインする必要があります。ログインには、e-Taxの利用者ID(利用者識別番号)と暗証番号の両方が必要です。
「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」(以下「体験コーナー」)では、e-Taxの利用者IDを不要として、e-Taxソフト(WEB版)へのログインの流れから、徴収高計算書の作成と送信、キャッシュレス納付の完了まで、一連の手続きを無料で体験することが可能です。
通常のe-Taxソフト(WEB版)では、利用者IDが必要なことと、実際に徴収高計算書のデータを送信すると面倒なことになるので、送信後の納付手続きまで実験的にテストすることは難しかったのですが、このような支障を気にすることなく、お試しで源泉所得税のキャッシュレス納付を体験することができます。
活用方法
以下、体験コーナーの活用方法を考えてみました。
1.顧客への電子納税への紹介のきっかけとして
電子納税の普及が進まない理由のひとつとして、経理担当者が電子納税に関心を持つきっかけに乏しいことも、普及が進まない一因と思われます。この点において、体験コーナーは普及のきっかけづくりに役立ちそうです。
まずは体験コーナーを利用してもらい、「これは便利そうだ」と思ってもらえたならば、その次の段階として会計事務所の預かっている利用者IDを会社に伝達する、という流れが想定されるでしょう。
2.会計事務所の所内向けの教育ソフトとして
この体験コーナーですが、会計事務所のスタッフ向けの教育ソフトとしても活用できるでしょう。
ベンダー製のソフトしか利用したことがない、もしくはe-Taxに関与しないスタッフだと、顧問先の電子納税について指導することが難しい、という会計事務所ならではの悩みがあったと思われます。
もちろん、スタッフ個人が自分の利用者IDを用いてe-Taxソフト(WEB版)を試してみればいいのですが、徴収高計算書を実際にデータ送信するわけにもいかず、その後のキャッシュレス納付までの流れについては、確認が難しい状況でした。
この体験コーナーであれば、データ送信後の流れも把握できるので、理解の促進に役立ちます。
まとめ
国税庁e-Taxホームページで2025年3月に公開された「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」を紹介する記事でした。
体験コーナーは、会社の経理担当向けに源泉所得税のキャッシュレス納付を理解してもらうためのツールとしての用途が想定されていると思われますが、会計事務所におけるスタッフ向けの教育ソフトとしても使えるのでは、ということを提案しておきます。
ベンダー製の税務ソフトしか触っていないスタッフは、e-Taxソフト(WEB版)の操作に不慣れな可能性もあります。顧問先から質問を受けても概要を説明できるように、基礎知識をつけておくことは必要でしょう。
国税庁への要望として、法人向けに、中間申告(参照作成)と確定申告のキャッシュレス納付の体験コーナーも、追加するのはどうでしょうか。地方税共同機構でも、住民税特徴の体験コーナーがあるといいですね。

電子申告や電子納税など、他の税理士さんがあまり採り上げそうにない、税務の話題をブログに書いています。オンライン対応に特化した税理士です。→事務所HP