2018年12月に「全銀EDIシステム」の稼働開始が予定されています。この点について、ミニビジネスの事業主が知っておいたほうがいいことをメモしておきます。
説明のポイント
- 2018年12月に、「全銀EDIシステム」(ZEDI)が稼働開始する予定で、受取企業の負担削減が見込まれる
- 特別なシステムをもたない企業のために、S-ZEDIという無料のXML作成システムが提供される予定
「全銀EDIシステム」とは
「全銀EDIシステム」(略称:ZEDI、ゼディ)は、総合振込における振込情報を豊富にする新しいシステムです。2018年12月に稼働開始予定とされています。
この新しいシステムにより、企業間の振り込み・受け取りにかかる手間が大幅に削減されることが期待されています。
参考:「全銀EDIシステム」の稼動と金融EDIの活用(全国銀行協会)
なにが楽になるのか?
具体的な変更点と、その影響を見てみましょう。
「全銀EDIシステム」の稼働により、総合振込で送信できる「EDI情報欄」が、現在の20桁固定長形式から、XML形式に変わります。
これまでの20桁だと、それが何の振り込みなのかを伝えるための情報量としては不足していました。これが、XML形式になることで、受取企業において、その振込がどんなものかを把握しやすくなります。
引用:「全銀EDIシステム」の稼動と金融EDIの活用(全国銀行協会)
この改善により、入金消込の業務負担が大幅に削減されることが見込まれています。
とくに恩恵をうけるのは、消込負担が減少する受取企業ということになりますが、支払企業においても問い合わせを受ける負担の減少が見込まれます。消込が多い企業であるほど、この恩恵を受けやすくなるでしょう。
以下に、理解に役立ちそうな資料を引用しておきます。
引用:全銀EDIシステム周知・広報用チラシ【2018年1月】(全国銀行協会)
引用:【PDF】外部セミナー資料(全国銀行資金決済ネットワーク「全銀EDIシステムの開発状況について」、全国銀行協会「決済事務の効率化に向けた全銀EDIシステムの利活用について」)【2018年1月】(全国銀行協会)(全国銀行協会)
ミニビジネスに影響はあるのか?
では、振込も入金もそこまで多くないミニビジネスでは、どのような影響があるのでしょうか?
自分の事業では、べつに総合振込は使っていないし、受け取る場合の消込もExcelなどの販売台帳で管理しているだけ……ということであれば、たしかに「全銀EDIシステム」(ZEDI)の稼働は、関係なさそうな印象もあります。
ここで気になるのは、振込先の相手(受取企業)から、総合振込による対応を求められる可能性です。
このZEDIは、総合振込でのみ利用できます。そうなると、受取企業が決済業務の効率化を徹底していると、支払企業についても同様にZEDIに対応した総合振込を求められるかもしれない、ということが気になります。
このシステムの恩恵を受けるためには、支払企業と受取企業の双方が対応する必要があるからです。
ミニビジネスでは、基本的に受取企業側であることが多いと考えられます。この場合、支払企業側がZEDIに対応する一方で、受取企業はZEDI非対応であっても問題ないとされています(Q&A)。
こうした点を見ると、そこまで神経質になる必要はないのでしょうが、知識として知っておく必要はあるでしょう。
引用:【PDF】外部セミナー資料(全国銀行資金決済ネットワーク「全銀EDIシステムの開発状況について」、全国銀行協会「決済事務の効率化に向けた全銀EDIシステムの利活用について」)【2018年1月】(全国銀行協会)
「全銀EDIシステム」に対応するには?
「全銀EDIシステム」(ZEDI)に対応するためには、どうしたらいいのでしょうか?
まず、ZEDIに対応する銀行で、総合振込の利用を開始します。これは別に問題もなく利用を開始できるでしょう。個人事業主の場合は、総合振込に対応する個人事業主専用口座を利用することになるでしょう。
ネックとなるのが、振込情報の作成です。ZEDIに対応したXMLファイルを作成し、これをインターネットバンキングの法人口座にアップロードする必要があります。
自分の使っているシステムでは、そのようなXMLファイルの作成は未対応っぽい……という場合のために、振込電文(XMLファイル)作成用のシステムが無料で提供される予定です。これは、「S-ZEDI」と呼ばれています。
「S-ZEDI」は、ブラウザで利用します。専用サイトにアクセスして、振込電文(XMLファイル)を作成し、ダウンロードしたXMLファイルをネットバンキングにアップロードすれば、総合振込できる、ということです。
引用:【PDF】全国銀行資金決済ネットワーク「S-ZEDI(簡易XMLファイル作成機能)チラシ)」【2018年6月】(全国銀行協会)
まとめ
2018年12月稼働開始予定の「全銀EDIシステム」(略称:ZEDI、ゼディ)について、ミニビジネスにおける対応を整理しました。
万が一、ZEDIによる対応を求められたとしても「S-ZEDI」が提供されるため、特別なシステムがなくても大丈夫です。
とりあえず知っておくべきことは、新システムの稼働が予定されており、消込業務の省力化が図られるということでしょう。