吉川英治の小説も読める 青空文庫の読書アプリで「伝える力」を養う

草原で読書

本好きでも意外と利用していない「青空文庫」を採り上げます。昔の名作が無料で読めます。スマホのアプリを使えば、難しい言葉も辞書検索で楽に調べられます。

説明のポイント

  • 著作権切れの名作を公開している「青空文庫」を紹介
  • スマホアプリで読むのが断然おすすめ
  • 伝える力を養うのにも最適
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青空文庫とは?

青空文庫のサイト画面

「青空文庫」は、著作権の切れた過去の小説などをネットで公開している、無料のサイトです。しかし、本好きの人でも、意外に「青空文庫」をご存じない方や、知っているが積極的には使ってない人がいるようです。

「青空文庫」はインターネット黎明期から存在しており、1997年7月から開始されたとのことです。著作権の切れた名作をネットにアップロードしているのは、ボランティアの方々です。

スマートフォンのアプリなら読みやすい

こんな記事を書いていて何ですが、私はこれまであまり「青空文庫」を積極的に使っていませんでした。なぜなら、「青空文庫」はパソコンだと読みづらいからです。

ところが、青空文庫をスマホアプリで読んでみると、とても読みやすいことに気づきました。ためしに作品を見てみましょう。

まず最初にパソコンの画面です。パソコンだと、文字が羅列される形になり、読みづらいです。

参考

菊池寛「恩讐の彼方に」

これが、スマートフォンのアプリを使ってみると、非常に読みやすくなります。サイズが矯正されて、手のひらサイズの大きさになるためでしょう。ほとんど書籍と同じような感覚で読むことができます。

スマホの利点は、読みやすさ以外にも、辞書検索を手早くできることです。昔の文学を読むと、見慣れない単語が多くあるので、辞書検索は必須です。

アプリ表示の「恩讐の彼方に」

アプリ表示の「恩讐の彼方に」

おすすめの読書アプリ

おすすめの読書アプリも紹介しておきます。

青空文庫用の読書アプリを検索すると、多数提供されていることに戸惑いを感じるでしょう。ただし、同じ文字データを利用しているので、どのアプリも基本的な性能に違いはほとんどありません。

筆者もいろいろ読書アプリを試してみましたが、現在のおすすめは「i読書 – 青空文庫リーダー」です。(iOS用)

i読書青空文庫リーダー

このアプリを評価したポイントです。

  • 「作品名順」と「作者名順」から、それぞれ作品を探すことができる
  • 最初から無料で使える。広告表示はあるが、読書中は広告表示されないのが良心的
  • 広告を外したい場合も120円で格安
  • 分からない単語を内蔵辞書で検索できる(※古典や文学を読むには必須機能)
  • 文字の大きさ、行間、余白、背景色など細かい設定ができる

とくにおすすめのポイントは、無料で使い始められるところです。アプリが気に入ったら、作者への感謝を込めて、120円を払って広告を外せばよいでしょう。

どんな作品がおすすめか

青空文庫では、吉川英治の名作が読めるのが素晴らしいです。

例えば、「三国志」「宮本武蔵」は、漫画や歴史ドラマの原作としてよく使われる不朽の名作です。著作権切れにより、2013年1月から青空文庫で読めるようになりました。

参考

諸葛亮を三顧の礼で迎えた劉備のシーンを見ると、読みたくなりませんか?(「三国志 赤壁の巻」より)

十年語り合っても理解し得ない人と人もあるし、一夕の間に百年の知己となる人と人もある。
玄徳と孔明とは、お互いに、一見旧知のごとき情を抱いた。いわゆる意気相許したというものであろう。

筆者がお気に入りの一作品あげるなら、芥川龍之介の「トロッコ」がおすすめです。子供のころに読んだときとは違った感覚を抱くはずです。

これは、芥川龍之介が、自分のあるべきスタイルに悩んでいた時期に書かれた小説とされています。ノスタルジックを呼び起こさせる内容でありつつも、自身の悩みを投影するかのような結末に驚きを感じます。

参考

今では或雑誌社の二階に、校正の朱筆を握っている。が、彼はどうかすると、全然何の理由もないのに、その時の彼を思い出す事がある。全然何の理由もないのに?――塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細細と一すじ断続している。…………

伝える力の向上にもおすすめ

著名なジャーナリストの池上彰氏は、その著書『伝える力』で、「伝える力」を向上させるために小説を読むことを推奨しています。

その理由は、相手にイメージを喚起させ、膨らませる手法を学ぶには、小説を読むことが最適であるためです。

青空文庫に所蔵されている名作を読むことで、教養を深められるし、自分の能力も向上するなら一石二鳥でしょう。

多くの人に読み継がれる名作を、あまり肩ひじ張らずに読めるのが「青空文庫」の良いところです。

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