シングルマザーの確定申告。税理士が教える注意点は?

確定申告書を手書きで記入

シングルマザー向けの確定申告のポイントをまとめました。

特に「寡婦控除」の適用忘れが多く見られます。戻ってくる税金(所得税)が減ってしまい、住民税も本来より増えてしまいますので、必ず適用しましょう。

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はじめに。「収入」と「所得」は意味が違います

最初に説明しておきたいのですが、「収入(年収)」と「所得」は、似ていることばのようで、意味が違います。

ざっくりいえば、収入から、経費を差し引いた分が「所得」です。収入は「かせぎ」で、所得は「もうけ」という意味です。

ただし、会社に勤めている人は、領収書を集めて「経費」を差し引くことは通常できません。このため、国が決めたみなし経費(給与所得控除)を収入から差し引いたものを「給与所得」といいます。

そして、その所得から、いろいろな「所得控除」を差し引くことで、最終的な「課税所得」が確定します。その課税所得に税率をかけると、税金が決まります。

所得税のしくみ

シングルマザー向け・5つの注意点

1.扶養控除を適用しているか

お子さんが16歳以上(昨年12月31日時点で)であれば、「扶養控除」(ふようこうじょ)が使えます。

扶養控除は、こども1人あたり38万円の所得控除です。こどもの年齢が19歳~22歳の場合、所得控除が63万円にアップします。

扶養控除の記入

注意点ですが、お子さんのバイト代が年収103万円を超えると、自分の扶養控除にはできません。

お子さんのバイト収入が多いと、お母さんが扶養している(養っている)とは考えなくなるからです。

扶養控除は全年齢に適用されるイメージがあるかもしれません。しかし、平成22年度改正により、子ども手当が支給される代わりに、16歳未満の扶養控除はカットされました。このため、現在では16歳以上が扶養控除の対象になります。

2.寡婦控除を適用しているか

「寡婦」(かふ)とは、以前は結婚していたが今は独身になったという意味です。離婚、死別を経験しているシングルマザーの場合は、この「寡婦控除」が使えます。

寡婦控除の記入

寡婦控除は通常27万円の所得控除ですが、子育て中のシングルマザーであり、合計所得が500万円以下の場合は「35万円」の控除にアップします。

給与年収が約688万円で、所得は500万円になります。年収688万円より低いなら、寡婦控除が「35万円」に増えると考えてOKです。

なお、この寡婦控除は、お子さんが16歳未満でも使えます。

先ほどの「1.扶養控除」の要件は、16歳以上でしたが、寡婦控除には関係ありません。これらはややこしいので、間違えないように注意しましょう。

注意点として、未婚のままシングルマザーになった方は、「寡婦控除」を使うことができません。

各自治体ごとの独自政策として、寡婦控除の「みなし適用」により、自治体のサービス利用の負担を軽減できる場合があります。みなし適用を受けるには、別途申請が必要です。(例:東京都板橋区の寡婦控除のみなし適用

3.基礎控除も記入する

だれでも使える基礎控除を必ず記入しましょう。紙の申告書に記入している場合、忘れやすいです。

 

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基礎控除の記入

4.給与以外の収入がある場合も申告する

働き方によっては、収入が「給与」ではなく、「報酬」として支払われている場合もあります。

「私はどっちなの?」という場合の見分け方ですが、次のような場合は「報酬」になっていると考えられます。

  • 会社と雇用契約(毎月どれだけ働くかを約束すること)を交わしていない
  • 下記のような「支払調書」というものを渡された

報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書

報酬だった場合は、確定申告するときに、その収入を「雑所得」とします。(給与所得ではありません)

もし個人事業として専門でやっている場合は、「雑所得」ではなく「事業所得」になる場合もあります

具体例を示します。原稿料15万円、取材費5,000円の場合の記入例です。

この場合、銀行に振り込まれた金額は、源泉徴収後の金額になっているでしょう。源泉徴収とは、あらかじめ差し引かれている税金で、収入金額に10.21%をかけた金額(150,000円x10.21%=15,315円)です。

収入金額は、手取り額ではなく、「総額」で考えます。

第一表

雑所得の記入方法

最後の税額の計算のときに、源泉徴収額として15,315円を記入するのも忘れないようにします。(もし、給与の源泉徴収がある場合は、報酬の源泉徴収と合計します)

第二表

雑所得の記入方法

5.16歳未満のこどもを記入しているか

書面に記入したときに忘れがちなのが、この「住民税」の欄です。税額計算には直接影響しませんが、16歳未満のこどもがいることを知らせる欄ですので、記入しましょう。

この記入欄は、「第二表」の左下にあります。

確定申告書の住民税に関する事項

よくありそうな疑問

疑問1.「控え」はどうしたらいいですか?

申告書を郵送する場合には、「控え」を保管しておくようにしましょう。申告に間違いがあったと気づいた場合、「控え」がないと修正の判断が難しくなります。

郵送するときに、控えと返信用の封筒を入れて送ると、税務署で「受領した」という印を押して、返却してくれます。提出した証拠が残るので、本来はこちらが正式な方法です。

郵送が不安な人は、税務署に持っていくと、その場で受付担当者が印鑑を押して「控え」を返してくれます。ただし、2月~3月の税務署は混雑しています。とくに3月に入ると、税務署によっては行列に並ぶ可能性もあります。

疑問2.確定申告は絶対に必要なの?

フルタイムやパートで勤めており、会社で年末調整されている場合、確定申告をする必要はありません。その年末調整が、確定申告の代わりになっているからです。

ただし、事業収入がある場合などは、基本的に確定申告が必要です。

よくわからない方は、市区町村などが実施している、税理士との無料相談で確認することをおすすめします。

疑問3.手書き以外の方法はないの?

確定申告書は、パソコンで作れます。しかも、数字を自動計算してくれるので、パソコンでつくったほうが圧倒的に早いです。

パソコンから作成するには、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用しましょう。

なお、スマホやタブレットでも利用できますが、確定申告書のPDFを印刷できる環境が必要です。コンビニなどのコピー機を利用しましょう。

まとめ

シングルマザー向けに、確定申告の注意点を述べました。不慣れな点もあるかと思いますが、一度勉強してしまえば、あとは毎年同じようなことの繰り返しです。

わからない点があるならば、確定申告の時期に実施されている、税理士の無料相談会で聞いてみるのもよいでしょう。