定額減税に関する質問主意書を読んでみると……

岸田内閣の打ち出した減税策である「定額減税」については、明らかに評判が悪いため、国会でも政府に揺さぶりを掛けたい野党議員からの質問が見られます。

質問主意書と政府の答弁書を読んでいて、興味深いと思った部分をご紹介します。

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定額減税に関する質問主意書と答弁書

2024年6月15日現在、国会のホームページで掲載されている質問主意書と答弁書の一覧です。

衆議院

参議院

気になった質問主意書とその答弁書は

多くの質問は、失政である定額減税を攻撃する意図が含まれているため、実務として気になるものは少ないです。

ただ、中には「なるほど」と思わせるような質問もあります。

神津たけし議員の質問主意書

一 支払明細書については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二百三十一条において、給与等その他必要な事項を記載した支払明細書を、支払を受ける者に交付しなければならないと定められており、現行の所得税法施行規則第百条において、支払明細書に記載が必要な事項として、給与等の金額や、徴収又は還付された所得税額が挙げられている。一方、支払明細書の「不交付」や「虚偽記載」については同法第二百四十二条において罰則が規定されている。そこで、同施行規則第百条に掲げる記載事項を支払明細書に記載しなかったことにより、支払明細書の「不交付」もしくは「虚偽記載」に該当するとして罰則が科された例はあるのか、明らかにされたい。

政府の答弁書

一について

お尋ねの「同施行規則第百条に掲げる記載事項を支払明細書に記載しなかったことにより、支払明細書の「不交付」もしくは「虚偽記載」に該当する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、所得税法施行規則(昭和四十年大蔵省令第十一号)第百条第一項各号に掲げる記載事項を所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第二百三十一条第一項に規定する支払明細書(以下「支払明細書」という。)に記載しなかったことにより同法第二百四十二条第七号に掲げる者に該当するとして処罰された例は、把握していない。

これを読むと、過去に所得税法242条7項の罰則が適用された事例は「把握していない」ということです。

給与明細書への記載義務について過去の事例を質問したのは、神津たけし議員だけでした。実務家としては、こういう質問を評価したいです。

これを読めば、仮に不記載になってしまってもどう扱われるかは、おおよそ予想がつくものといえるでしょう。(※「記載しなくていい」という意味ではないです)

このほか、国税庁次長の答弁に食い下がる櫻井周議員の質問も読み応えがあります。政府の答弁書はまだ出ていませんが、どのような答弁になるのでしょうか。

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