インボイス方式を1951年から導入している台湾(中華民国)。その台湾のレシートが「宝くじ」も兼ねているのは有名な話です。この宝くじは、台湾人以外の外国人でも参加できます。インボイス方式の仕組みも確認します。
説明のポイント
- 台湾のレシートは宝くじになる。ネットやアプリで確認できる。
- レシートくじは、脱税対策のためにつくられた。
- 技術の進歩で、紙のレシート発行を省略する仕組みも登場。
台湾のレシート=宝くじ
台湾旅行で持ち帰ったレシートは手許にありますか? 台湾のレシートが宝くじも兼ねていることは有名な話ですが、この宝くじは台湾人以外の外国人でも参加できます。
宝くじになっている部分は、レシートに記載されているアルファベット2文字から始まる8桁の番号です。
▲コンビニなどで発行される「電子発票」(左)、普通のお店で買うと発行される「統一発票」(右)
▲ホテルの領収書にも宝くじ。
台湾政府の財政部Webサイトでは、2ヶ月ごとの奇数月に、その前月と前々月に発行されたレシートについて、宝くじの結果を公表しています。
交換できる期間は3ヶ月間で、台湾内の郵便局で交換できます。最高賞金は、1000万元(現在のレートで約3400万円)です。ビッグな賞金があたったら、高級ホテルとレストランを予約して台湾に行きましょう♪
アプリでも宝くじをチェックできる
宝くじのチェックは、直接レシートを確認していく方法のほかに、もっと便利な方法もあるそうです。
参考:台湾ZINE「台湾のレシート宝くじの当選確認方法!スマホアプリを使えば楽々♪」
QRコードつきの「電子発票」であれば、アプリからの取り込みで、宝くじの番号チェックが自動できます。便利な仕組みですね。
まずは、「發票+」というアプリをダウンロードします。
▲画面はiOS版。Android版もあります。
▲アプリのカメラからQRコードを登録
▲レシートがアプリに登録されました。
▲左上の「對奨」から、宝くじの当選が確認できます。はずれでした。
台湾におけるインボイス方式
レシートと宝くじの関係について、税制の面から見てみましょう。台湾におけるインボイス方式を、東京税理士会の会報をもとにまとめます。
なぜレシートが宝くじになっているのか?
企業の脱税防止のため、1951年のインボイス方式導入当初から、賞金制度が設けられました。当初、台湾ではレシートを手渡す習慣がありませんでした。
しかし、レシートに宝くじがついていれば、消費者はレシートをもらうことを要求するので、レシートの不発行を防止できます。
お店はレシートを発行すると、そのレシートの売上から営業税(台湾の消費税)を納めます。税務当局としてはレシートの不発行による脱税を防ぎたい意向があります。
営業税の税率は5%です。売上に対する営業税から仕入税額を控除して、2ヶ月ごとに営業税を申告・納付します。
インボイスの仕組みは?
台湾のインボイス方式は、「統一発票」と呼ばれる公式のインボイス(レシート)を使用します。
お店は、税務機関から購入した、偽造防止の透かし入りレシートを使用します。2列1組で印字したレシートを、1枚は客に渡して、もう1枚はお店の控えにします。
レシートには通し番号が付されており、アルファベット2文字から始まる8桁の番号が記載されています。国税当局は通し番号によって、誰が発行したものかを管理しており、脱税が発生しづらいしくみになっています。
また、2000年から始まった「電子発票(e-invoice)」という電子レシート方式では、営業者がクラウドサーバーに情報を送信するしくみが整備され、大手のコンビニなどで導入されています。
紙のレシートがなくなる?
電子発票の登場により、レシートのペーパーレス化が進んでいます。
サービスはさらに進化しており、個人の消費者が自分の携帯番号を政府機関に登録し、情報がひも付けされた電子マネーで代金を決済すると、そのレシート情報がクラウドに送信されるとのこと。紙のレシートは発行されません。
ちなみに、宝くじもクラウドで自動チェックされるということです。
まとめ
台湾のレシートが宝くじになる話から、その制度の概要までを簡単に紹介しました。
日本では平成33年度(2021年度)からのインボイス制度導入が検討されていますが、お近くの台湾では1951年から導入されています。
宝くじだけでなく、電子レシートという先進的な仕組みなど、興味深い点があります。日本も将来的にこのような仕組みになっていくのでしょうか?