【楚の項羽】自分が優秀なだけでは組織を維持できなかった事例 2200年前の歴史から学ぶ

チェス

「覇王」という称号はよく聞くものですが、この称号を名乗ったのが古代中国の項羽です。項羽は武将として優秀で、一度は天下を制しましたが、国を維持できず、漢の劉邦に敗れました。項羽がなぜ負けたのか、その原因を考えます。

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楚の覇王・項羽

古代中国における楚(そ)と漢(かん)の戦いは人気のある話です。「背水の陣」や「四面楚歌」という故事成語にあるとおり、歴史は知らなくても言葉は有名であることがその証拠といえます。

始皇帝が2200年前に作り上げた秦帝国ですが、始皇帝というカリスマの死後、内政の混乱と大規模な反乱によってあっという間に秦帝国は滅亡します。秦帝国に対する反乱のなかで登場した英雄が、楚の項羽(こうう)と、漢の劉邦(りゅうほう)でした。

楚の項羽は、楚の王様の命令を受けて討伐軍を率い、秦帝国を打倒します。その時点で項羽の権威は頂点に達し、自ら「覇王」を名乗りました。

項羽(Xiang_Yu)

▲項羽(画像はWikimediaより)

しかし、項羽による不公平な領土分配に対して諸侯からの反乱が相次ぎ、その後5年で劉邦に大敗し、項羽は自害しました。(その後、劉邦は漢帝国を建国し、漢帝国は400年存続しました)

一度は天下を制して権勢を極めた項羽が、なぜ劉邦に負けたのかという比較は、中小企業の経営でも役立つ話が含まれています。

なぜ項羽は負けたのか?

項羽が負けた原因は、次のようにまとめられます。

  1. 自分の力を過信して、部下からのアドバイスを無視した
  2. 部下に対する評価が不公平で、ひいきが多かった
  3. 格式を重視して、優秀な部下を登用できなかった
  4. 降伏した兵士を殺し、都市を焼き払うなど、残虐な行為が多かった
  5. 重要な都市よりも、自分の故郷を拠点にした
  6. 自分の主君が邪魔になったので殺害した
  7. 負けた理由を、天が自分が滅ぼすためと考えていた

戦乱の時代の話なので、価値観も大いに異なるところもあり、現代の経営にそのまま当てはめるのは難しい話です。ただし、参考になる話はあるでしょう。人間の性質は普遍的なものだからです。

部下のアドバイスを無視してチャンスを逃した

まず挙げられる失敗は、部下のアドバイスを無視して、決定的なチャンスを逃したということです。

項羽は、劉邦を殺すチャンスが何度もありました。部下も劉邦を殺すように何度もアドバイスします。ところが、項羽は劉邦を下に見て馬鹿にしていたので、殺さずに見逃したことが結果として仇になりました。

 

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さらに戦いが煮詰まってくると、項羽は、敵の流した嘘を信じたために部下を信用しなくなり、ついには優秀な軍師を追放してしまいました。

自信過剰でひいきが多かった

軍師を追放するという点にも見えますが、自分が優秀すぎて自信過剰な気配がうかがえます。こういうタイプの人は、形式にとらわれることが多く、公平さにも欠けることが多いです。

家柄を重視するあまりに、優秀な部下を見抜けなかったことは致命的でした。

国士無双の将軍・韓信(かんしん)や、策士である陳平(ちんぺい)は、人の話を聞かない項羽に嫌気がさして離反していきました。その後、韓信も陳平も劉邦に高く評価され、項羽を滅ぼすことに多大な貢献をします。

また、秦帝国の打倒後、項羽は領土分配でひいきをしたため、不平不満から多くの反乱をまねきました。さらには、邪魔者になった自分の王様を殺害しており、信頼を失います。

降伏した多くの兵士を生き埋めにするなど、気性が荒く道徳心に欠ける様子もうかがえます。

視野がせまかった

秦帝国を打倒した後、項羽は部下のアドバイスを無視して、故郷の土地に帰ってしまいます。

「故郷の土地は攻撃を守るのに不向き」と部下はアドバイスしましたが、項羽は聞き入れませんでした。項羽が故郷に戻った理由は、自分の成功を故郷の人々に自慢したいから、というものでした。

さらに項羽は、自分が死ぬまぎわになっても、その負けた原因が自分にあるとは思っていませんでした。「天が自分を滅ぼそうとしているから負けたのだ」と項羽は主張しています。自分が優秀なあまりに反省する思考に欠け、視野が狭い様子がうかがえます。

経営へのあてはめ

これらの事例は、自らの力をたのんで独力で生きる経営者には耳の痛いところもある話でしょう。もちろん、誰しも個性があるため、完璧な聖人君子のような経営はありえません。

しかし、項羽が抱えていたような要素を多く含むほど、組織的に不利になる可能性が高いことを認識すべきです。

多少は社長のカリスマで突破できる局面も多いですが、いざ組織力が必要な局面にいたると、これらの弱点があらわになって組織が機能不全を起こします。

例えばこれらのような事例はありませんか?

  • 見栄を張りたいので、不必要な出費をしている
  • 経営がうまくいかないことを論理的に検討せず、部下の能力のせいにする
  • カネを払っているのは俺だ、という意識がある
  • 部下を信頼しないで、息苦しい組織をつくっている

こんな対応をしていると、経営的には項羽に近づいている、ということがいえるでしょう。

まとめ

項羽は勇猛な武将として多くの敵を倒し、一度は天下を制しました。しかし、自分ひとりが強いだけでは組織を維持することはできませんでした。

組織の活力を奪っているものは何なのか、自省のための材料として、いにしえの覇王・項羽の失敗例は役立つでしょう。古代中国の偉大なる「しくじり先生」といえます。

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