CSVデータで作成した法定調書を、光ディスクや磁気ディスクに記録して提出する方法を解説します。
説明のポイント
- 税務署には、提出日より2ヶ月前に申請が必要。
- 仕様に沿ったCSVを作成する。
法定調書の提出について
法定調書の提出については、紙や電子申告による方法以外にも、光ディスク等による提出ができます。
前々年の調書の枚数が1,000枚以上だった場合は、紙による提出はできず、光ディスク等または電子申告による提出が義務化されています(平成26年1月1日以降)。
参考:法定調書の提出枚数が1,000枚以上の場合の光ディスク等による提出義務(国税庁:タックスアンサー)
参考:e-Tax又は光ディスク等による法定調書の提出義務(国税庁:質疑応答事例)
中小企業では調書が1,000枚を超えることはあまり考えられず、紙または電子申告によって提出するのが一般的です。
しかし、中小企業であっても調書の枚数の多い企業もあります。例えば、個人事業主との付き合いの多数ある企業が想定されます。
支払内容を税務ソフトに入力する手間の悩み
法定調書の作成では、支払った報酬などをもとに、その支払先の詳細や、金額の合計、源泉税の合計などの情報を税務ソフトにすべて入力します。これは、税務ソフトに入力することで、提出用のフォーマットに沿ったデータになるためです。
税務ソフトに入力した後は、調書を印刷したり、データを電子申告で提出することもできます。
税務ソフトに入力する場合、ちょっとした悩みがあります。それは、税務ソフトがインポートに対応していないものがあり、手入力でしか受け付けないという場合です。
金額、支払先やマイナンバーなどのデータがすでに一覧表としてあるのに、それらのデータから税務ソフトへの入力は「手入力」が求められるのは、不便さを感じます。
CSVデータを法定調書として提出できる
税務ソフトに入力しなくても、法定調書のデータが所定のCSV形式であれば、そのデータを光ディスク等にコピーして税務署に提出することができます。
その提出用の規格は、国税庁が定めています。
参考:法定資料を光ディスク及び磁気ディスクにより提出する場合の標準規格等の制定について(法令解釈通達)(国税庁)
法定調書を光ディスク等で提出するまでの流れ
この手順の説明は、「法定調書の光ディスク等による提出のご案内」(国税庁)をもとに説明します。理解しやすいように、説明の順序を入れ替えています。
1.税務署に申請する
法定調書を光ディスク等で提出する場合は、あらかじめ税務署の承認が必要です。提出日の2ヶ月前までが申請書の提出期限です。
法定調書の提出期限近くになってから、あわてて申請しても間に合いませんので、事前の準備が必要です。
なお、申請書を提出しても、承認された通知はされないのが普通です。申請書の提出から2ヶ月を経過した時点で、自動的に承認されたものとみなします。
参考:[手続名]支払調書等の光ディスク等による提出申請手続(国税庁)
2.規格を満たしたCSVデータを作成する
59種類の法定調書が、CSV形式で提出できます。
提出する法定調書ごとに、仕様に沿ったCSVデータを作成します。59種類の法定調書と、その仕様の詳細は、下記のリンクを参照してください。
参考:光ディスク等の規格とレコードの内容及び記録要領について(法定調書)(国税庁)
ここでは具体例として、「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の仕様を確認します。
この仕様をもとにしたテンプレートも公開されています。(参考:表計算ソフトを利用した作成例(国税庁))
仕様書には書いていなかった、私からの注意点は、次のとおりです。
- 項番3の「本支店等区分番号」は、本店だけなら「00001」などでよい。
- 項番21~50の「支払内容(2)~(6)」は空欄でよい。
- 項番51「摘要欄」も空欄でよい。
- 項番52「提出義務者の個人番号又は法人番号」と、項番53「支払を受ける者の個人番号又は法人番号」は、平成28年分からの新しい項目。マイナンバーを記載する。
作成時のルールにも配慮が必要です。「4 各項目の記録に当たっての留意事項」を見ると、次のようなルールがあります。
- 金額にはカンマを入れない。
- 一部の例外を除きマイナスの値は使用できない。
- 住所はすべて全角文字。数字やハイフンに半角文字を使わないこと。
- 1文字記号の「㈱」などは使わない。全角3文字の「(株)」で表示する。
- 個人の姓と名の間には、全角スペースを1文字分入れる。
- 個人の肩書きや役職は入れない。
- 異字体、旧字体は使わず、新字体に置き換える。
- カンマ区切りのCSV形式でデータを保存する。
3.CSVファイルを保存する
CSVファイルを保存する場合も、ルールがあります。(3 ファイルの仕様)
前述のとおり、CSVの保存形式は「カンマ区切り」です。その拡張子は「.txt」とします(「.csv」ではありません)。
また、法定調書の種類ごとにファイル名の決まりがあります。
例:報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書を1枚のCDで提出する場合
ファイル名・・・・・309dat01.txt
この場合、「309」は法定調書の種類「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」の資料識別コードを意味します。
また、「01」は、そのデータの1つ目という意味です。同一の支払調書のデータを複数個のファイルで提出する場合は、「01」「02」というように分けてファイル名を設定します。
4.光ディスク等で提出する
提出に対応するメディアは、3.5インチのフロッピーディスク(FD)、光磁気ディスク(MO)、CD、DVDの4種類です。申請書の税務署提出時に記載したメディアを使用します。
提出するメディアは正本・副本の2部で、所定の記載事項を油性のフェルトペン等で記入します。
提出するセットは、次のとおりです。
- 提出する光ディスク等の同一の媒体を2部(正本・副本)
- 光ディスク等提出チェックシート(法定)(Excelファイル)
- 法定調書合計表
- 支払調書等合計表付表(光ディスク等提出分)(docxファイル)
メディアに記入する所定の事項は、「5 光ディスク等の提出に当たっての留意事項」を参照してください。
まとめ
法定調書は、紙や電子申告で提出するため、税務ソフトを利用するのが一般的です。
しかし、個人事業主との付き合いが数百以上にも及ぶ企業の場合は、税務ソフトよりも光ディスク等による提出の方が楽になるケースも想定されます。
この記事は、こんな方法もありますよ、というアナウンスの意味を込めて書きました。