中小企業庁の提供している無料のガイドブック『夢を実現する創業』が、平成28年度版に更新されました。起業を目指す人におすすめのテキストです。
説明のポイント
- 中小企業庁の配布する創業ガイドブックを説明している
- 起業を意識した段階から、早めに読んでおく
- 起業前に事業計画書は必ずつくりたい
起業を目指す人が1冊目に読みたいガイドブック
起業を目指す人からよく話を聞くのが、次のようなお話です。
- 独立して仕事をしたいと思っているが、経営を勉強したくても、何を読んだらいいかよくわからない……
- いくつか本を買ってみたが、どれも難しい言葉がたくさん並んでいた。分厚い本で読むのも疲れた
たしかに書店に行けば、起業向けの本は置いてあります。しかし、どれを手にとっていいのかよくわからないというのは、よくある話です。
そんな場合は、まず無料のガイドブックをおすすめします。中小企業庁の配布している『夢を実現する創業』というガイドブックが読みやすいです。
ガイドブック『夢を実現する創業』とは?
『夢を実現する創業』とは、創業を目指す人を対象にしたガイドブックです。「創業の基礎知識」や「公的制度の活用策」について解説しています。
ガイドブックは次のサイトからダウンロードできます。
サイト:平成28年度夢を実現する創業(中小企業庁)
ガイドブックの中身
ガイドブックは、次の内容で説明が進みます。
- 「創業チェックリスト」で確認を!
- 事業計画書を作成しよう!
- 組織について知ろう!
- 経理の知識を身につけよう!
- 税金に関する基礎知識
- 創業の準備をしましょう!
- 支援制度を活用しよう!
これら7つのテーマに、31項目のトピックスが含まれます。総ページ数は50ページです(索引を除く)。全部で50ページなら、ちょっと読んでみようかな?と思えるページ数でしょう。
また、説明図やキャラのイラストも豊富で工夫されており、とても読みやすいつくりです。
起業直前に読むよりも、早いうちから読んでおこう
このガイドブックは、起業の具体的な方法よりも、まず「心構え」から解説しています。これは、とても大事なことです。
なぜなら、起業する前から準備段階は始まっています。起業の動機、手段、場所、人脈、資金準備やノウハウなど……。
起業という目標を抱えている人や、少しでも起業が気になっている人は、まずQ3のチェックリストを試すことをおすすめします。下記に引用しておきます。
必ずつくってほしいのが「事業計画書」
起業をする上でまずつくってほしいのが「事業計画書」です。
事業計画書を作成しないで起業するのは、危ない行為です。地図を持たずに、冒険の旅に出かけるのと同じくらいの危ない行為といえるでしょう。
事業計画書が必要なのは、次の理由です。ガイドブックから引用します。
事業計画書を作成することで、頭の中に描いている創業のイメージを具体的にまとめることができ、より実現可能なものになります。
「Q4事業計画書って、どのようなものですか?」より
事業計画書では、「オーナー及び経営者」「ヒト」「カネ」「モノ」の観点から検討します。これらの課題を検討しつつ、事業計画書に考え方を書くことで、考えが不足していた面に気づくことができます。
頭で思っていたことを紙に書き出すことも重要です。事業のアイデアを口頭で話すよりも、まとまった事業計画書のほうが説得力もあります。事業計画書を他人に見せて、実現可能性をいっしょに考えてもらうこともできます。
事業は一度動き出すと、軌道修正が難しいことも多いです。迷ったときは、この事業計画書に立ち返ることも必要です。
採算の取れる売上はいくらか、即答できるか?
このガイドブックのなかで、もっとも重要な項目をあげておきます。
それは、Q9「採算のとれる売上高は、どれぐらいですか?」という項目です。これは、ぜひ即答できるようにしてほしいところです。
従業員や自分に払う給料、返済していく借入を考えて、どれぐらいもうけを得る必要があるのか。はっきり答えられるでしょうか。仕事は楽しくても、自分で商売をするためには、数字から逃げることはできません。
どうしても苦手意識があるなら、税理士など、起業を助けてくれるアドバイザーに頼ることも必要でしょう。
難しい用語もたくさんあるが……
できるだけ簡単な表現を目指しているこのガイドブックも、難しい用語を出すことはやはり避けられません。特に難しいのは、Q11の届出書類関係や、Q13~21の経理事務や帳簿関係、Q25の支援制度でしょう。
ガイドブックを読んでいても、理解できない項目は当然にあると思います。しかし、これらをわからないままに起業してしまうと、あとで困ることも多いです。
仕組みが整っていないと、それを取り戻すのも大変です。必要な届出を出していなかったり、資料を紛失してしまっている場合もあります。早いうちから専門家へ相談して、仕組みを整えたほうがよいでしょう。
まとめ
中小企業庁の提供する、無料の創業ガイドブック『夢を実現する創業』を紹介しました。
サイト:夢を実現する創業(中小企業庁)
これは無料のガイドブックですが、要点をコンパクトに押さえており、読みやすいです。起業を志す人は、まずこの1冊をよく読むことをおすすめします。このガイドブックを読んでいるのと、読んでいないのでは、税理士との話し合いの充実度がまったく異なります。
私も、ガイドブックにふせんをつけている起業志望の方とお話できたら、うれしくなりますね。
なお、もっと積極的に勉強したい場合は、中小企業庁の支援する「創業スクール」に通って勉強する方法もあります。国が支援しているため、費用負担も少ないです。
勉強する内容は、『夢を実現する創業』の中身をもっと濃くしたものです。今年は7~11月で開講されていますので、興味のある方は近くの講座に通うのもよいでしょう。
サイト:創業スクール