政府税制調査会の第12回(2017年10月16日)から、興味深い資料をまとめておきます。
説明のポイント
- 年末調整手続きの電子化を実現する方向性が確定した
- 地方税の共同収納は、平成31年10月開始目標とのこと
政府税調の資料から、興味深い内容のまとめ
1.国税納付のキャッシュレス化推進
【PDF】説明資料3/4より。国税における納付手段別の納付件数と、その比較資料として「個人消費に占める決済手段のシェア」というグラフが引用されています。
「納付手段別の納付件数」は、税務署・金融機関での窓口納付が全体の75%を占めています。これに比べ、電子納税の割合は6.6%にとどまっています。
今年(2017年)1月から開始された国税のクレジットカード納付の件数は、1月から3月までで5万件とされています。
2.確定申告・年末調整の電子化手続きの方向性
【PDF】説明資料4/4より。保険会社等から交付される控除証明書がペーパーレスになり、そのデータを会社や税務署にデータのまま転送できるしくみが構築される予定。
このブログでも以前からお伝えしているとおりの情報なので、ブログ読者の方に驚きはないでしょう。
なお、年末調整を実施している国は、イギリス・ドイツ・韓国だそうです(参考資料3/3)。
3.法人税の電子申告の義務化
【PDF】参考資料1/3より。諸外国における法人税の電子申告の状況一覧表が載っていました。
英仏韓はほぼ100%、米は68%。ちなみに日本は75.4%です。先進国では、義務化を実施している国が多いようです。
義務化されているのに書面で申告すると、無申告扱いになるか、加算税が課されるらしいです。
日本でも今後、法人の申告について電子申告の義務化が検討されています。義務化後に書面で提出すると、どのようなペナルティになるのかが参考になります。
4.電子インボイスと消費税
【PDF】参考資料2/3より。「電子インボイスの取扱いについて」という、消費税の仕入税額控除の説明資料がありました。
クラウド運営会社が電子帳簿保存法に準じた方法により、電子インボイスを保存している場合には、インボイス保存要件の充足されており、「買い手」は、消費税の仕入税額控除を行うことができるとのこと。
電子帳簿保存法第10条の電子取引に関係する内容です。なんで、この資料が載っていたのかは不明です。議事録の公表を待ちたいところです。
5.地方税の共同収納システムの運用開始は、平成31年10月目標
【PDF】地方税務の説明資料より。eLTAXの「共通電子納税システム(共同収納)」の提供開始予定が平成31年10月運用開始(目標)と書かれていました。
あと2年の我慢……でしょうか。
6.地方税の特別徴収税額通知
【PDF】地方税務の説明資料より。地方税の特別徴収税額通知について、従業員への交付まで一貫して電子化する予定。
電子化後の対応は3パターンに別れるようです。
- これまでどおりの書面渡しの方法
- 同意した会社に電子的送付(従業員にも電子的送付)
- 同意した会社に電子的送付(書面渡しを望む従業員には書面渡し)
まとめ
政府税制調査会の第12回(2017年10月16日)から、興味深い資料をまとめました。
ここで紹介したもののうち、年末調整と地方税の特別徴収通知書の電子化については、報道機関でもニュースになっていました。
参考:年末調整ネットで完結 政府税調で確認(日経電子版、2017年10月16日)
政府税調の資料には、これ以外にも興味深い内容も載っています。
これらは先日ツイッターでまとめた内容なのですが、このブログだけをフォローしてくださっている方もいるようなので、ブログでも資料を転載・引用して、再度まとめておきました。