多数の取引先からの入金管理に悩んでいる事業主に、事務負担を軽減する「自動消込システム」をお伝えします。
説明のポイント
- クラウド会計に連動する「自動消込システム」の紹介
- 経理の事務負担を減らすことができる
取引先からの入金管理が負担になっている
クラウド会計を導入して記帳は便利になったけど、経理業務の負担はまだまだ重いと感じている事業主様。
業種によっては、多数の取引先に請求を送っており、その後の入金管理が負担になっているケースがあるようです。
この場合、クラウド会計に連携する「自動消込」のシステムが役に立つかもしれません。どんなものかを見ていきましょう。
消込システムとは?
まず基本的な用語の説明です。
「消込」(けしこみ)とは、請求書を送った取引先から、その後きちんと入金があったのかを確認する作業をいいます。
詳しい語源はわかりませんが、入金チェックをして、未入金のものをリストから消していく……という意味と考えられます。
消込の負担とは?
小規模事業における消込は、Excelや販売台帳などを使って管理していることが多いようです。
また、この消込は、通常は手作業で実施していることがほとんどです。
通帳の明細を見て、「どこどこの取引先から入金があった!」ということを、ひとつひとつチェックして入金管理しているわけです。
クラウド会計で負担は減ったけど?
クラウド会計を利用しており、オンラインバンキングで明細を自動取得している場合は、この負担はいくぶん軽減されています。
これは、請求中の内容と、入金の明細とマッチングさせることができるようになっているためです。小規模なビジネスであれば、売掛金の補助科目だけで管理することも可能でしょう。
しかし、取引先の数が多数に及ぶ場合はどうでしょうか。帳簿の補助科目だけで膨大な表示になってしまいます。
さらに、締め日がバラバラだったり、締め日と入金日が離れている場合では、残高ベースでのチェックはどの時点でも常に0円にならないことも多く、チェックは煩雑さを極めます。
このように、消込を帳簿やExcelの管理シートで対応するのは、事務負担がかかるわけです。この問題を解消するのが、自動消込のシステムです。
MFクラウド会計の自動消込システム
まず、マネーフォワードの「MFクラウド」が提供する自動消込システムを紹介します。
自動消込の機能は、MFクラウドシリーズの「MFクラウド消込」として提供されています。
この機能を利用するためには、MFクラウド請求書の最上位プランである「エンタープライズ」プランを利用する必要があります。
引用:MFクラウド請求書の料金プラン
「MFクラウド消込」とは、どのような機能なのでしょうか?
まず、オンラインバンキングと自動連携した「MFクラウド消込」が、毎日自動で入金情報を取得します。そして、その情報をもとに自動で消込を行います。
自動で判別できなかったものは、経理が手作業で消込を行いますが、この部分も学習機能を備えているとのことです。
このため、消込を管理する「職人」の存在は不要になり、データの一元管理も実現できます。
MFクラウド請求書のエンタープライズプランは、最上位プランだけあって負担もそれなりです。しかし、多数の取引先を抱えている企業であれば、導入するメリットは多いでしょう。
とくに、経理担当者の事務負担で悩んでいる場合は、検討する価値がありそうです。
freeeの自動消込システム
次に、freeeの自動消込システムを紹介します。
freeeの場合は、専用システムとしての消込ではなく、ジャパンネット銀行における振込専用口座を利用します。
まず、ジャパンネット銀行において、請求先ごとに振込専用口座をひとつずつ割り当てます。専用口座ごとに、各社からそれぞれ口座に振込されます。
その専用口座に入金があると、ジャパンネット銀行は、そのまま本来の口座に振替入金します。また、専用口座の入金とマッチングして、自動で消込になります。
引用:振込専用口座(ジャパンネット銀行)
このシステムの導入にかかる費用は、ジャパンネット銀行側で「月額1,080円+100口座あたり216円」(税込)と格安です。また、初期導入手数料は無料です。
ただし、freee側での自動消込機能は現在無料ですが、今後はfreee側でも料金が発生する可能性があるとされています。
いまのところ、freeeでの自動消込システムは月額1,296円(税込)から利用できます。低負担で始められるので、ハードルは低いでしょう。
なお、会計freeeに連動している振込専用口座は、執筆時現在でジャパンネット銀行のみとなっています。対応する銀行の追加が期待されます。
また、請求書のシステムもfreeeの機能を使う必要があります。具体的な利用方法については、freeeのヘルプを参照してください。
まとめ
主要クラウド会計に連動する自動消込システムについてご案内しました。
会計freeeを使っている場合は、負担も少なく導入することができるため、取引先が少ない段階からでも検討してよいでしょう。
例えば、卸売を手広く行っている場合などは、積極的に検討してよいと考えます。
小規模事業における経理担当者は、あれもこれも少人数(1人のことも多い)でこなす必要があり、できるだけ事務負担を減らすことが望ましいです。
まずは、システム導入費用と事務処理にかかる時間(人件費)を比較してみることをおすすめします。