【MFクラウド会計】源泉所得税を含む仕訳の効率化を考える(源泉税の計上時点)

MFクラウド会計で、源泉所得税を含む報酬を支払う場合の仕訳について、効率的な処理を考えます。

説明のポイント

  • 源泉所得税を含む支払いをどうやって楽に入力するか
  • 源泉所得税の計上時点を前倒ししてみる
  • 現金主義の場合は?
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源泉所得税を含む支払いは、複数行の仕訳で面倒

業種にもよりますが、一般的に会計の帳簿を入力する場合、「普通預金」に関係する仕訳が多くなるでしょう。

クラウド会計であれば、オンラインバンキングのデータを取得することで、「普通預金」を含む仕訳の入力負担を大幅に軽減することができます。

(外注費)108,000 /(普通預金)108,000

ただし、複雑な仕訳では、せっかくのクラウド会計であっても複数行の仕訳で、手作業による入力が必要です。

下記の例でいえば、仕訳の行を追加して、預り金としての源泉所得税である10,210円という数字を手入力しており、さらに外注費の金額を膨らませた数字に変更しています(97,790円→108,000円)。

(外注費)108,000 /(普通預金)97,790
.          /(預り金)10,210  ←源泉税を普通預金から差し引いた分

しかし、これは非常に不便さを感じます。仕訳のたびに、請求書の資料を見たり、電卓を叩いて源泉所得税を算出する必要があるからです。

クラウド会計ソフトは、一般的なインストール型の会計ソフトに比べて、入力時の操作性は劣ります。

できるだけ手入力を避けることが、クラウド会計の効率化への道といえるでしょう。

源泉所得税の支払いが生じる仕訳の流れ

もう一度、源泉所得税の支払いが生じる仕訳の流れを確認しましょう。

まず、業務の依頼が完了したことで発生仕訳を、締め日時点(ここでは10月31日)で入力します。

10/31
(外注費)108,000 /(未払金)108,000

次に、未払金を支払った時点(ここでは締め日の翌月の11月30日)で、仕訳を入力します。預り金は源泉所得税のことです。補助科目で「所得税」を入力します。

11/30
(未払金)108,000 /(普通預金)97,790
.          /(預り金)10,210 :補助科目「所得税」

最後に、預り金の源泉所得税を税務署に納付(納付期限は支払日の翌月10日)して、仕訳を入力します。

12/10
(預り金)10,210 /(普通預金)10,210

これらの入力のうち、手作業による仕訳が発生しているのは「預り金」を振り分ける11月30日の仕訳です。

支払日ベースで預り金を発生させるのは、所得税法において、支払日を基準として源泉所得税の納付義務を考えているからです。

納付義務は、支払日で義務が発生します。もし何らかの理由で支払いが1ヶ月遅れた場合でも、その遅れて支払った時点で義務が発生するということです。

そして、支払った日の翌月10日までに、徴収した源泉所得税を税務署に納付します。

仕訳入力時に源泉所得税を区分けしたほうが早い?

どうせ手作業が生じるなら、いっそのこと支払日ベースではなく、外注費の発生時点(締め日)で源泉所得税も区分けしたほうが効率的とも考えられます。

なぜなら、外注費の入力時にはもともと手作業が生じており、その時点での入力負担が生じるものの、そのあとの仕訳は楽になるからです。

10/31 ※手作業
(外注費)108,000 /(未払金)97,790

.          /(預り金)10,210
11/30
(未払金)97,790 /(普通預金)97,790  ※オンラインバンキング経由
12/10
(預り金)10,210 /(普通預金)10,210  ※オンラインバンキング経由

ただし、預り金の仕訳は、所得税法の基準(支払日で納付義務が発生する)に基づいていないため、次のような懸念が生じます。

  • 帳簿上で源泉所得税を管理している場合、外注費の締め日と支払日までの期間があいていると、締め日と納付額の対応関係が見づらくなる
  • 締め日~支払日のサイクルが統一されていない場合は、管理がしづらくなったり、源泉所得税が滞留しているように見えてしまう

なお、複数行の入力は「振替伝票」を使って入力します。

MFクラウド会計の振替伝票

複数行のような複雑な仕訳は、あらかじめ「仕訳辞書」機能を使い、「仕訳のテンプレート」を準備しておくと、効率的です。

MFクラウド会計の振替伝票テンプレ登録

支払日だけで処理する場合はどうする?

締め日において「未払金」を計上せず、支払日だけで仕訳を入力している場合もあるでしょう。(現金主義の会計処理)

この場合は、支払日時点で「預り金」の振り分けをします。

11/30 ※オンラインバンキング経由→手作業
(外注費)108,000 /(普通預金)97,790

.          /(預り金)10,210
12/10
(預り金)10,210 /(普通預金)10,210  ※オンラインバンキング経由

ただし、この仕訳の方法では、オンラインバンキングから取り込んだデータに処理するため、ひとつひとつに手作業が生じます。

この対策を考えてみましょう。

まず、支払い時点では源泉所得税のことは考えないで、そのまま「外注費」として入力します(数字は97,790円のままでよい)。

そして、月末時点でまとめて、預り金(源泉所得税)を計上する方法が考えられるでしょう。

11/30
(外注費)97,790 /(普通預金)97,790 ※オンラインバンキング経由
11/30
(外注費)10,210 /(預り金)10,210 ※手作業
12/10
(預り金)10,210 /(普通預金)10,210 ※オンラインバンキング経由

まとめ

MFクラウド会計で、源泉所得税を含む仕訳入力の効率化を考えました。

ここでのポイントは、クラウド会計上での手入力を「なるべくやらない」ということです。

支払いのたびに、源泉所得税を手作業で区分けするのは、効率的ではありません。自分にあったスタイルで効率的な入力処理の改善を考えてみましょう。

なお、今回は「初級編」として改善を考えました。次回は「上級編」として、効率的な入力方法を検討します。

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