事業者の納税は「電子納税」が当たり前になる! 先取りで電子納税に備えよう

2017年後半に開かれた政府の税制調査会において、電子納税に関する新情報が明らかになりました。先取りの情報をお伝えします。

説明のポイント

  • なぜ、電子納税はまったく活用されていないのか?
  • 平成31年10月、事業者の電子納税環境は大幅に改善する
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電子納税はまったく利用されていない、という事実

そもそも、「電子納税」とは何でしょうか?

「電子納税」をわかりやすくいえば、税金の納付をネットで完了することをいいます。銀行や税務署に納付書を持っていく必要はいっさいありません。

会社から外出しなくてもいい! ……そんな便利なしくみですが、実はあまり利用されていないことがわかっています。

いったいなぜ、利用されていないのでしょうか?

最近、政府の税制調査会で公表された資料「納付手段別の納付件数(平成28(2016)年度」によると、国に対する税金(国税)に関する納付手段の割合において、電子納税はたったの6.6%ということでした。

じゃあ、一番多かった手段は何でしょうか? みなさまおなじみ、金融機関などでの窓口納付です。

この事実を見るかぎり、電子納税は「まったく」といっていいほど、利用されていません。

納付手段別の納付件数

引用:第16回税制調査会 参考資料

国税を納付する回数が多いのは、事業者です。

その事業者は、電子納税を利用せずに、わざわざ金融機関の窓口に並んで、貴重な時間を浪費しています。明らかに不効率といえるでしょう。

なんで電子納税は利用されていないのか?

なぜ、電子納税の利用は進んでいないのでしょうか?

結論からいえば、その問題は地方税の収納システムにあると考えられます。

事業者が毎月納付する税金といえば、つぎのものが思い浮かぶでしょう。

  • 中間申告の消費税(規模の大きい企業は毎月納付。国税)
  • 従業員・個人事業主から支払い時に徴収した所得税(国税)
  • 従業員の給与から特別徴収した住民税(地方税)

所得税や消費税は「国税」で、納付先は所轄の税務署です。

その一方で、問題は「住民税」です。

住民税の場合、納付先は従業員が住んでいる各地の市区町村です。市区町村ごとにバラバラの納付書が送付され、納付を求められます。

例えば、従業員が23人いて、東京23区の各区に1人ずつ住んでいたら、納付書は事業者あてに23件届きます。「東京都でまとめて1件」ではありません(笑)

ひとくちに同じ「住民税」といっても、その納付先はそれぞれ違う市区町村に納付する必要があるわけです。

地方税は、電子納税にもほとんど非対応

納付書がたくさん届いても、ネットで納付できるなら、負担は軽いでしょう。

 

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ところが! 問題は納税手段です。

各地の市区町村は、そのほとんどが電子納税に非対応という事実があります。

下記は電子納税に対応している自治体の一覧表です。

eLTAXの電子納税実施団体一覧

出典:eLTAX公式サイトの公表資料より筆者作成

事業者が従業員から徴収した住民税は、各地の市区町村に納付します。そして、上記のリストのうち、電子納税の対応数は、わずかに10ヶ所です。

横浜市のように、住民税の特別徴収の納付も電子納税で対応できる市区町村は非常に珍しいわけです。

住民税がボトルネック

つまり、電子納税のボトルネックは住民税にあります。

住民税は電子納税できない。どうせ毎月、住民税の納付のために窓口に行くのだから、国税だけを電子納税にしても意味がない……という状況がまかり通っていたわけです。

一定規模の企業の場合は、住民税の納付についても、銀行のシステムを利用することもあるようです。

例えば、三菱東京UFJ銀行の「納付書一括収納サービス」や、法人向けのオンラインバンキングで取扱いのある「住民税納入サービス」(例:りそな)などが該当します。

しかし、こうしたシステムを利用していない中小企業は、金融機関の窓口に毎月行くことが「当たり前」の行事になっています。

平成31年10月、企業の電子納税が変わる

このような劣悪な納税環境に、ようやく改善の兆しが見え始めました。

企業の生産性の向上を目指す政府は、電子納税の改善にも取り組んでいるからです。

最近の政府税制調査会でわかったことは、地方税の新しい電子納税システム(共通電子納税システム・共同収納)が平成31年10月を目標として、準備が始まっているということでした。

共通電子納税システム2

引用:第16回税制調査会 参考資料

地方税の新納税システムが稼働すれば、企業における納税環境の激的改善が期待できます。

いままでは、電子納税ができない市区町村が多かったので、紙で納付していた場合でも、今後はすべての納付先が電子納税に対応できるでしょう。

共通電子納税システム

引用:第16回税制調査会 参考資料

これをひとことで言えば、「企業の納税は、電子納税が当たり前になる」ということです。そして、その環境は数年で実現するといえます。

現在は電子納税を活用していない事業者でも、平成31年に備えて、いまのうちから国税だけでも、電子納税の準備を進めておくことが効率化のカギといえるでしょう。

まとめ

電子納税がまったく利用されていない事実と、そのボトルネックがいよいよ解消されようとしているお話をお伝えしました。

経理部門のみなさまにおかれましては、ぜひ今のうちから電子納税の導入に取り組むことをおすすめいたします。

まずは国税から電子納税化に着手し、平成31年10月の地方税の新納税システムの稼働を待って、地方税も電子納税化することが望ましいといえるでしょう。