国税庁e-Taxホームページは2020年3月23日、e-Taxソフト(WEB版)からの法人異動届出で、eLTAXへの連携が可能になったと発表しました。e-Taxにおいて、eLTAXへの連携機能が設けられたのはめずらしいため、この記事で紹介します。
説明のポイント
- 法人の設立、異動により提出する届出書は、これまでは税務署、都道府県、市区町村に対して別々に提出していた
- e-Taxソフト(WEB版)で作成した異動届出書なら、すべての関係先に一括して提出できる
「e-Tax→eLTAX」連携というめずらしい機能
税務のネットワークである国税の「e-Tax」と、地方税の「eLTAX」は、それぞれ独立して運営されています。
この両者の連携が見られるようになったのは、2017年1月から実施された「給与支払報告書と源泉徴収票の電子的提出の一元化」です。
eLTAXで給与支払報告書を提出すると、e-Taxにも同時に源泉徴収票を提出できる制度が設けられています。(eLTAX→e-Tax)
今回紹介するケースは、e-Tax側からの提出で、同時にeLTAX側にも同時に提出できるシステムといえます。(e-Tax→eLTAX)
具体的には、法人の異動がある場合に提出する届出書を、税務署に出すと同時に、地方税の役所にも送信することが可能です。
参考:e-Taxソフト(WEB版)の「法人設立及び異動手続の申請・届出」で地方税様式の作成が可能となりました。(令和2年3月23日)(国税庁e-Tax)
この機能は、総務省「「行政手続コスト」削減のための基本計画(地方税)」(2018年3月)で予告されていたものです。
当ブログでも以前にその動きをお伝えしていました。
こうした機能が設けられたのは、先日に新たに設けられた「法人設立ワンストップサービス」と関連のある話でしょう。
法人設立ワンストップサービスでは、法人設立後にあたって、必要な書類を一括して、税務署と都道府県・市町村に提出することができます。
手続きをできるだけ簡便にしていく方向性が求められているといえます。
e-Taxソフト(WEB版)に「地方税様式」が追加されている
実際に、e-Taxソフト(WEB版)を起動して、追加された部分を見てみましょう。
まず経緯をおさらいすると、e-Taxソフト(WEB版)では、2019年9月に法人に関する届出書の提出が可能になっています。
すべての届出書ではありませんが、一般的に中小企業が必要とするものはおおむね対応しています。
届出書のメニューは、利用者設定画面で電子証明書を登録する必要があります。また、個人納税者は利用できず、法人と税理士限定の機能となります。
実際に機能を見てみましょう。帳票入力から「法人設立届出書」を選択します。
法人設立届出書の作成画面の一番下に、「地方税データ作成」というボタンが用意されています。
地方税データ作成画面に入ると、「eLTAXの利用者ID」という入力項目があります。届出書の提出が完了すると、eLTAXのIDにひも付くメッセージボックスに受信通知が届くようになっています。
「提出先事務所等の選択」画面を見ると、都道府県、市町村の役所を提出先として設定できます。
地方税の様式なので当然ですが、e-Taxソフトにおいて、地方の役所を提出先とするのは微妙な違和感を覚えます。
いまのところ、このような機能が設けられているのは、e-Taxソフト(WEB版)だけのようです。
同じく国税庁公式の「e-Taxソフト」(インストール型)や、民間のベンダーのソフトでもこのような機能が追加されるのかは不明です。
まとめ
国税庁e-Taxソフト(WEB版)で、法人の異動届出がeLTAXと連携できるようになった点をお伝えしました。
「税務署、都道府県、市町村」と2~3回提出してたものが、これなら1回で済むようになり、非常に便利です。
e-Taxにおいて、eLTAXに連携する機能が設けられたのは非常にめずらしいため、この記事で採りあげました。