2018年版「小規模企業白書」は、クラウド会計ソフトをどう伝えたか?

2018年4月に公表された、2018年版「小規模企業白書」。その白書ではクラウド会計ソフトについて言及があったので、(いまさらですが)読みどころをピンポイントでご紹介します。

説明のポイント

  • 時間削減に取り組みたいものの、従業員に任せづらいのが「財務・会計」分野
  • クラウド会計ソフト導入企業の約8割が「業務時間の削減」の効果を得られたと回答
  • クラウド会計ソフト導入企業は、経常利益額の増加傾向の割合がもっとも高い
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2018年版「小規模企業白書」

「小規模企業白書」は、中小企業庁が毎年編集・発行している冊子で、とくに小規模企業にスポットを当てたデータや取り組みを紹介しています。

このうち2018年版は、クラウド会計ソフトに関する調査結果が引用・掲載されていたのが、印象的でした。

その調査によれば、クラウド会計ソフトを利用している企業は、時間削減の効果を得られており、業績もよい傾向にあることが明らかになっています。

一般のかたが「小規模企業白書」を念入りに見ることは少ないでしょう。そこで、このブログで読みどころをピンポイントでひろってご紹介することにします。

小規模企業の経営者は激務である

まず白書は、小規模企業における経営者の業務負担が極めて大きいことを、調査結果から紹介しています。(白書:第2部第2節 小規模事業者の経営者の業務負担 1

経営者の1日あたりの平均実労働時間は、平均9時間26分となっています。1日あたり11時間以上働く経営者の割合も2割を超えています。

経営者の1週間あたりの平均休日数は、平均1.17日となっています。週休0~1日の割合を見ると、8割を超えています。

「財務・会計」は従業員には任せづらい

以上のとおり、小規模企業の経営者は激務の日々を送っています。このため、なんとか時間を有効に使いたい!というニーズが生じるのも当然のことです。

そこで、削減したい業務を調査したところでは、「財務・会計」の分野が飛び抜けて高いことが明らかになっています。(白書:第2部第2節 小規模事業者の経営者の業務負担 2

そして、空いた時間は、売上につながる分野に注力したいというニーズが強いです。

ところが、間接業務はいずれも、経営者がその業務を担うことが多いとされています(白書:第2部第3節 間接業務の業務見直し 1

 

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しかし、業務分担ができるかというと、受発注や在庫管理に比べ、「財務・会計」「給与管理・勤怠管理」のようなシビアな情報は、従業員には分担しづらいことも明らかになっています。

会計は、会社の最高機密ともいえるデータですから、安易に従業員に任せることができないのも当然のことでしょう。

時間削減に有効な「クラウド会計ソフト」

ここまで紹介された調査結果でわかったことは、「小規模企業の経営者はとにかく多忙で、時間削減を図りたい。とくに財務・会計分野でその傾向が強いが、従業員に任せるのもむずかしい」という点です。

そこで役立つのが「クラウド会計ソフト」です。

クラウド会計ソフトの導入効果を調査した結果では、78.8%の割合で「経理・会計業務にかかる業務時間の削減」の効果が得られたとされています。(白書:第2部第3節 財務・会計業務におけるITの利活用 2

また、クラウド会計ソフトを利用する事業者は、インストール型会計ソフトを利用する事業者や、会計事務所に「丸投げ」している事業者よりも、利益の増加傾向の割合が高い結果となっています。

調査時の2017年12月において、クラウド会計ソフトを利用している小規模事業者の割合は約10%とされています。(第2部第3節 財務・会計業務におけるITの利活用 1

これらの結果をどう見るべきでしょうか? 考えられる理由としては、意欲的・先進的な企業からクラウド会計ソフトを利用し始めている、という一面があるでしょう。

最後にクラウド会計ソフトの導入までの障壁を見ると、「現状に不満がない」「効果がわからない」という回答が多い結果となっています。

効率はともかく、きちんと業務が回っている場合は、現状維持の意識が強いこともうかがえます。

まとめ

以上、白書に引用・掲載されていたクラウド会計ソフトに関する調査結果を、かけあしでご紹介しました。

これらのデータを見ると、

  • 小規模企業の事業主は多忙で、「財務・会計」分野でとくに時間削減の意向があるものの、業務を従業員に分担させることも難しい
  • 「クラウド会計ソフト」は時間削減に有効

という見方ができるでしょう。

もちろん、「小規模企業白書」は、”そう説明するためのデータ”を拾っているでしょうから、読み手としてもそう理解するしかないのですが、白書として「クラウド会計ソフト」を取りあげたことは注目に値します。

また、クラウド会計ソフトを使ったからといって、すぐに利益が増加するわけではないでしょうが、経営者が削減できた時間を売上拡大に注力すれば、結果を出しやすくなるはずです。

すくなくとも、「時間削減の効果があった」と約8割が回答していることは、非常に重要といえます。

まるでクラウド会計ソフト会社の営業マンが書いたような記事になりましたが(笑)、中小企業庁の発行する白書で、このようなデータが紹介されていることは認識しておきたいところです。

この白書は2018年4月発行なのですが、ブログ記事にするのをすっかり忘れていました。半年遅れで恐れ入ります。

引用:ここで引用した図表は、すべて2018年版「小規模企業白書」によります。