国税庁ホームページにて、2019年度(2019年4月~2020年3月)中にチャットボットが試験設置されることがわかりました。
説明のポイント
- 2019年度(2019年4月~2020年3月)に、国税庁ホームページでチャットボットが試験設置される
- 国税庁によるAI対応の一つ
国税庁ホームページでチャットボット
いまや、ホームページにおけるチャットボットの対応は、とくにめずらしいものではなくなりました。
チャットボットにより一次的な問い合わせを対応し、そのなかで問い合わせを選別してヘルプページに誘導したり、難しい対応だけをぬきだしてオペレーターが対応したりすれば、全体の負担やコスト軽減が見込めるためです。
また、どんな問い合わせが多く来ているのかを収集・分析することも、窓口や電話での問い合わせ対応に比べれば簡単です。
この点に関連して、国税庁ホームページはチャットボットを2019年度中に設置し、2020年度中に正式運用を始めることがわかりました。
先日行われた国税審議会の説明資料(2019年3月13日開催)に、その内容が載っていました。資料の該当部分を下に転載します。
「AI活用」は2年ほど前に話が出ていた
この件は、2年ほど前に報道で話題となっていたことが思い出されます。その当時の日本経済新聞(電子版)の記事がありましたので、リンクしておきます。
参考:税の悩み相談にAI活用 国税庁が将来像公表(2017年6月)
この記事はたんに、国税庁の対外公表資料(2017年6月)を部分的に紹介したにすぎなかったのですが、それでも結構な衝撃があったように思われます。
その後の税務関連の記事でも、AIを意識したり、特集を組んだものも多く見られました。
そのAIにまつわる熱狂が一段落し、みんなが少し忘れかけていた頃に、ようやく国税庁ホームページでチャットボットによる試験設置が始まる……というところでしょう。
なお、国税庁が参考にしているのは、シンガポール内国歳入庁など、他国の税務当局ウェブサイトですでに実施されている同様のシステムです。
シンガポールでは、「Ask Jamie」というチャットボットが設置されています。
シンガポール内国歳入庁のホームページにアクセスすると、Jamie氏のさわやかな笑顔が右下に表示されます。
目的はなにか?
このチャットボットの設置目的ですが、「相談事例の蓄積・学習を繰り返しながら、順次対応範囲を拡大」とのことです。
現状のところ、このチャットボットがなくてもGoogle検索がこの役目を担っており、それっぽい用語をGoogleで検索すれば、目的のページや情報にたどり着くことも難しくありません。
しかし、Googleで検索しても、ご本尊の国税庁において情報蓄積はほとんど期待できません。アクセス解析が関の山でしょう。
公式のチャネルをもうけることは重要といえそうです。
また、ありがちな問い合わせや回答への返答のパターンを分析することで、よい効率的な対応や誘導を目指すという目的もあるでしょう。
国税庁がこれまで想定していない問い合わせが多ければ、文章回答事例である「タックスアンサー」などホームページの充実も期待できるかもしれません。
具体的な質問にも応答している……?
筆者が少し気になったのは、下記の画像の応答内容です。
あくまで「会話内容はイメージ」としていますが、医療費控除の支払った内容まで確認して、「バス代」を医療費控除の対象と回答するのは、具体的な回答といえます。
たんに、タックスアンサーに誘導するだけではない回答を期待できるのかもしれません。
まとめ
国税庁によるAI対応のひとつである、チャットボットの試験設置が2019年度に始まることをお伝えしました。
正直、みんな忘れかけていた話のように思われますが、国税庁による新しい動きの一つとして注目されます。
ところで、シンガポール内国歳入庁の対応キャラクターはJamie氏ですが、
やっぱり日本の国税庁だと「イータ君」なんですかね……?