新型コロナウイルスの被害にあった場合、申告期限の延長が認められます

国税庁は2020年3月、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を公表しました。経理担当が心配する「もし自分が被害に遭ったら、決算はどうしよう……?」という不安に答えてくれる内容がありますので、ご紹介します。

説明のポイント

  • 税理士、経理担当者などが業務に従事できない状況が生じた場合、個別の申請で、申告と納税の期限延長が認められる
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FAQに期限延長に関する記述がある

税務や経理に関わる人は、一般的に、責任感の強い人が多いといえます。

新型コロナウイルスの流行で万が一被害に遭った場合に、自分が責任を持つ業務にどのような影響を及ぼすかは、心配の種でしょう。

国税庁が2020年3月に公表した「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を読むと、新型コロナウイルスの被害に遭った場合の対応が書かれています。

詳しいことはFAQを読めばよいので、この記事では、会社の税務に関係のある部分をかいつまんで紹介しておきます。

法人の申告・納税は延長申請できる

さっそくですが、FAQの9ページ目「問2.《期限の個別延長が認められるやむを得ない理由》」を読むと、

新型コロナウイルス感染症に関連して、期限内に国税の申告・納付ができない場合、災害その他やむを得ない理由による期限延長が認められますか。

という問に対して、

今般の感染症に関しては……個別の申請による期限延長(個別延長)が認められることとなります。

とあります。

そして、次のような理由で「企業や個人事業者、税理士事務所などにおいて通常の業務体制が維持できない状況が生じた」場合に、期限延長が認められるとのことです。

  • 税理士や、事務所職員が感染症に感染したこと
  • 感染症の影響で、経理担当部署を相当の期間、閉鎖しなければならなくなったこと
  • 学校の臨時休業の影響や、感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったこ
    とで、経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること
  • 納税者が、保健所・医療機関等から外出自粛の要請を受けた(感染者との濃厚接触、発熱の症状がある、基礎疾患がある)

※読みやすいように文章を抜粋していますので、詳細はFAQを確認してください。

また、実際に延長申請をする場合の手続きについて、PDF11ページ目に紹介されています。

これによると「災害による申告、納付等の期限延長申請」が用意されており、申請書に「申請者の状況、税理士の関与状況、部署の閉鎖や業務制限の状況、緊急措置の概要など、参考となる具体的な事実を申請書に記載」するとされています。

 

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新型コロナウイルスによる被害は「災害」に該当し、災害による期限延長申請が認められるわけです。

これは決算にとどまらず、毎月の源泉所得税の納税でも対応できます。

このような申請は、会社ごとの個別の対応になるため、自動で認められるわけではなく、税務署に申請する必要があります。災害(感染症被害)がやんだ日から、おおむね1ヶ月以内に申請するものとされています。

また、この申請書を出さずとも、申告書等の余白に「延長申請する旨と、申告納付ができない具体的な事実」を付記する方法でもかまわないとされており、柔軟な対応となっています。

自宅療養で完治した場合はどうなるのか?

従業員に発熱などの症状がある場合、他の従業員にも影響を及ぼすリスクを考えれば、自宅で療養してもらうことは重要です。

ここで悩むのは、経理担当者を休養させた結果、自宅療養で完治できたものの、業務には大きな影響を及ぼしたような場合でしょう。

FAQでは「納税者が、保健所・医療機関等から外出自粛の要請を受けたこと」という条件が示されています。もし単なる自宅療養で完治した場合は、そのような「要請を受けた」事実がなければ、要件に満たないようにも考えられます。

しかし、「感染拡大防止のため企業が休暇取得の勧奨を行ったことで、経理担当部署の社員の多くが休暇を取得していること」という要件も見られますので、このあたりは柔軟な対応が認められるとも考えられます。

また、発熱などが一定期間継続して業務に従事できない場合は、保健所や医療機関に相談するのが相当とも考えられます。(参考:厚生労働省「帰国者・接触者相談センター」相談・受診の目安

長期の療養で業務体制が維持できない恐れがある場合は、保健所や医療機関に相談しつつ、こうした経緯を、申請理由として記入していくことになるでしょう。

申告期限直前に体調不良になった場合、「無理してでも出社」という状況に陥りやすいことから、スケジュールについていっそうの配慮が必要なことはいうまでもありません。

まとめ

国税庁のFAQ「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」をもとに、会計事務所や経理担当者が心配するであろう業務体制への影響と、万が一の場合の対応を確認しました。

通常の業務体制が維持できない場合は、「災害」に該当し、個別の延長申請により、申告・納税の延長が認められることとされています。

発熱など、少しでも疑わしい状況がある場合は、無理して仕事をすることはなく、積極的に療養を勧めることが重要でしょう。あとで感染が判明した場合、その影響は甚大なものとなります。

日本の企業風土には、体調不良に陥った者を「自己管理がなっていない」などと罵倒する、奇妙な風習があります。

このような「体調不良=自己責任論」が不合理であることは、ウイルスの感染力が誰の目にも明らかとなったいまでは、論を待たないでしょう。

発熱や体調不良を訴える従業員を療養させることは重要です。これは本人のためだけでなく、他者へも影響する可能性を考慮する必要があります。会計事務所や経理担当者においても同様といえます。