このブログですが、開始から4年間、更新を継続することができました。ここまで続けてきたことを振り返って、感想としてまとめてみます。もしこれからブログを始めてみようと考えている人がいれば、なにか役に立つヒントがあるかもしれません。
1.何のために書き続けたのか
税理士がブログを書くというのは、全体を見ると、まだまだめずらしいことのようです。
ブログを書いている他の税理士さんを見ても、当事務所と同じく、やはり少人数の事務所が多いように思われます。また、ブログという形式ではなく、事務所ホームページ内でコラム形式の連載をされているところも見受けられます(格式重視の事務所に多い)。
このブログが営業活動の一環であるのは、当然のことです。とくに、クラウド会計の記事を書けば、そこから検索してくれた方から問い合わせがあるかも、という考えもありました。
4年前と現在を比較すると、クラウド会計の「拡大期」という熱気が今よりもあったという点もあります。
振り返ってみるに、その目論みは当たった部分もあるのですが、常にクラウド会計だけの記事を書き続けられるほど、執筆のネタは豊富ではありません。
現在のところは、小規模企業の税務を中心に、あわせてクラウド会計もたまに書く「ごった煮ブログ」のような感じになっています。
2.どのようなスタイルがいいのか
たんに営業活動という視点で考えれば、当ブログは「悪い例」にあたりそうです。
なぜかというと、テーマをハッキリとしぼらないと、マーケティングの戦略としてはアピールの度合いも薄くなってしまうからです。
当ブログでは、そのようなマーケティング戦略は諦めて、「税理士による研究」「顧客に伝えたい内容」を書き連ねていくスタイルにしました。
考えてみると、そのようなスタイルだったので、4年続いたといえそうです。
当ブログのポリシーとしては、「記事を書くことで、既存の情報よりも何かをひとつでも新しい情報や見解を積み上げること」を目標としています。これはいわゆる、小論文のようなものです。
もし国税庁のホームページに出ている情報を書き写すだけなら、それは誰でもできるわけです。
専門家としては、その公開情報に自分が持っている知見を加えて、情報を整理したり、注意点を発信したりする必要があると考えています。
3.損得でいえばどうか
1記事を書くのにおおむね2~3時間が平均の執筆スピードですが、税法の確認で手間がかかった場合は、5時間以上かかることもあります。「時間 対 利益」の損得でいえば、間違いなく「損」です。
しかし、もしブログを書かなければ、得ることもなかったであろう知識も多数あります。つまり、ブログが「自己研鑽」につながっているということです。
ブログで書いている内容は、先ほども述べたとおり、小論文のようなスタイルです。
ブログというスタイルは、体系的に情報を整理することが難しいです。雑誌や書籍のような媒体とは、その趣が異なります。
手軽に情報をキャッチボールできるというメリットがあるわけですが、この性質のために、世間的な評価は低いことに留意が必要です。(みんながこれだけインターネットで検索しているにもかかわらず、ブログは「雑記録」のような扱いとされています)
Google検索による評価は、あまり一喜一憂してもしょうがないように感じています。
このため、PV数については気にしなくなりました。「読まれないブログは価値がない」と断じる方もいますが、それは「Google検索でどうやったら上位になるか」「どうやったら固定ファンがつくか」という話と同意義です。
このブログは「フリーマーケット」みたいなもので、別に検索も読者もあまり気にしていません。(だから営業活動としては「悪い例」なのですが)
4.わかりやすさは必須なのか
ブログに対する批判を見てみると、「文字ばかりのブログは読む気がしない」という指摘があります。
この点について考えてみると、初心者向きの説明か、すでに理解のある人向けか、という方針で、その書き方も異なるように思われます。
図解の多い記事はたしかに理解しやすいです。しかし、セミプロ向けの記事では、逆に図解が多いと読みづらい……という印象もあります。(個人差はあるでしょうが)
当ブログはセミプロ向けの話が多いので、図解は少なめです。
また、図解よりもわかりやすいのが映像による情報発信です。
しかし、多忙な人や、いますぐに情報がほしい人が、その視聴のために20分も時間を使ってくれるかはわからない、という課題があります。
「誰に向けて書いているか」「自分が使える時間はどれぐらいか」という点も、情報発信のスタイルによって向き不向きがありそうです。
内容も、読み手に価値のあるものであれば、何でもかまわないと思います。「フリースタイル」の自由度も、ブログのメリットではないでしょうか。
SNSでは、「短文で伝わりやすい内容を書こう」という意識が強くなりがちで、難しい面を感じています。(私が不得手なだけかもしれませんが)
小論文のような思考整理を兼ねるスタイルでは、やはりブログが一番あっているのではと思います。
5.もしこれから始めてみようと思う人がいたら
「営業活動」というスタイルを貫くのであれば、もっとカッチリしたブログにしたほうがいいのでしょうが、ネタ集めの点で継続が困難になる可能性もあります。
また、継続という視点で考えてみますと、「自分が好きなものしか続かない」という根本的な課題があるわけです。
更新頻度について考えてみると、別に「月イチ更新」のブログだとしても、それでいいのではないでしょうか。「今月の気づいたこと」をひとつ整理するだけでも、それは有益な情報発信のように思えます。
ただし、更新が半年以上前で止まっているブログを置いておくと、新規で見てくださった方には、あまりよくない印象を与えそうです。
更新に重きを置かない場合は、ブログというツールを使わないほうがよい場合もあります。(先ほども述べたとおり、雑記録のような印象を回避できるということもあります)
まとめ
当ブログは別に大成功したブログでもありませんが、4年継続して感じたことを「ブログを続けるにはどうしたらいいのか?」という視点で整理してみました。
更新については、別にこだわる必要はないのでは、というのが私の意見です。ちなみに当ブログでは週2回更新を目安にしていますが、別にそれを義務として自分に課していることもありません。
書いている内容を重視し、どんなことを発表していくかと、その記述によってどのように自分に還元されていくかを考えていくことが重要でしょう。
もしこの還元サイクルがうまくいかないと感じたら、ブログをやめるのもひとつの判断です。ビジネスに使える時間は有限であり、人生も有限です。
税理士によるブログの情報発信については、これ以外にも少し気になっている点があります。この点については別の記事で整理します。