『税理士事務所に入って3年以内に読む本』 研修テキストとしておすすめ

税務研究会出版局から出版された『税理士事務所に入って3年以内に読む本』(高山弥生著、2020年)は、税理士事務所の新人職員向けテキストとして最適なので、おすすめします。

引用税務研究会出版局の公式サイト

新人職員の希望する「新人研修」のニーズを満たせているか?

税理士事務所の新人職員を採用するときに、就職希望者からよくある質問の筆頭が「新人研修はありますか?」……というもの、だそうです。

このことを耳にしたのは、もう10年以上も前のことですが、現在でも大きな変化はないと思われます。

ところが、こうした研修のニーズに対して、税理士事務所が用意している新人職員向けの研修資料はどうでしょうか。

人的余裕のなさから、ぶっつけ本番のOJTにかたよりがちで、事務所独自で丁寧なわかりやすい資料を用意していることは少ないと思われます。

新人研修を実施できる余裕のある事務所でも、専門学校と同じような税法講義のテキストをなぜか使っていたりと、「本当にやるべきこと」を説明できていない場合もあるかもしれません。

この業界を見渡しても、新人職員向けの実践的な読みやすいテキストというのは、税法講義のようなものばかりで、実務を横断的に解説したものは、私の知る限りではほとんど見当たらなかったように感じます。

私の若手時代の経験でも、やはり同様のことで困った経験があります。

先輩からは「会社の経理向けの本を読むといいよ」というアドバイスを受けました。経理向けの書籍は、担当者の数も多く充実しているためでしょう。

たしかに経理向けの本でも役には立つのですが、税理士事務所の担当業務は、会社の経理が担当している業務とは視点が異なることも多く、これだけで充分とはいえません。

税理士事務所の実務を網羅できる研修テキスト

こうした課題に挑み、新人職員が知っておいてほしい実務を整理されたのが、『税理士事務所に入って3年以内に読む本』(高山弥生著、税務研究会出版局、2020年)です。

概要が税務研究会出版局の公式サイトで丁寧に紹介されているので、この記事で個別に採りあげる必要はないようにも感じますが、あえて少し触れてみます。

書籍は、職員どうしの対話形式になっています。若手世代を意識しており、たいへん読みやすいです。独習もしやすくなっています。

書籍の説明は税務だけにとどまらず、固定費・変動費・損益分岐点などの説明もあり、難しくならないように配慮しつつ触れています。

著者の配慮が細部にまで行き届いており、「知っておいてほしいこと」がしっかり網羅されています。

著者の税理士としての実践的な知識が、初心者向けにコンパクトに集約されており、素晴らしい一冊です。

新人職員、税理士事務所の勤務に興味がある人にも

ちなみに「おすすめ」と紹介していて恐れ入りますが、私の税理士事務所は1人で経営しているので、新人の採用も必要ありません。よって、本来は研修を考える必要もありません。

あくまで自分の新人時代を思い出して、「こんないいテキストがあったならば、知識の習得ももっと楽だっただろうに……(涙)」という実感からのおすすめです。

税理士事務所への勤務に興味がある人にも、読んでいただきたい書籍です。

ただし、税務に関して何の知識もないままに初心者向けの書籍と思って読むと、少々面食らうことはあるかもしれません。

税理士事務所は専門知識を提供する場所ですから、そこで扱っている内容が容易ということはありえません。

書籍で登場する新人職員役のキャラクターも、税理士試験の受験経験がある科目合格者、という設定になっています。

書籍の名前が「3年以内に読む本」とされているのも、実践とテキストの再読により、3年内の実務の習得を目指す意味が込められているのでしょう。

読んでもすぐに内容を理解できる必要はありません。実務を担当しながら、書籍と照らし合わせてみれば、知識はいずれ身につくはずです。

まとめ

税理士事務所の若手職員や新人向けの素晴らしいテキスト『税理士事務所に入って3年以内に読む本』(高山弥生著、2020年)が発刊されていましたので、おすすめする記事でした。

身の回りに税理士事務所の新人職員の方がいらっしゃいましたら、おすすめできる一冊といえます。

読んでみればわかりますが、ここまでの内容をまとめるのは、相当な苦労があったはずです。同じような研修資料を用意するとしても、これを一朝一夕で用意することは不可能です。

新人研修を実施するならば、この書籍と、あとは事務所で利用している会計・税務のシステムを研修すれば充分では……? と思われるほどの内容です。

これまで新人研修をしていなかった事務所でも、この書籍を配布すれば、すぐに研修を実施できるでしょう。輪読で意見交換をしていくのもよさそうです。

余談ですが、書籍には著者である高山先生の見解も含まれており、興味深く読みました。(社長1人の会社における福利厚生費の取扱いなど)