「年末調整手続の電子化」について、国税庁が公表しているFAQが2020年7月に更新されました。大幅な改定はありませんでしたが、仕様変更が見られますので、この点をメモとして残しておきます。
説明のポイント
- インストール不要ソフトから、「要インストール」ソフトに仕様変更
- 会社情報をあらかじめ登録して配布するのではなく、会社情報のXMLを配布してインポートしてもらう方法になっている
年末調整手続に関するFAQが更新
2020年7月下旬、国税庁は「年末調整手続きの電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」を更新しました。
更新された内容を筆者でも検証しましたが、重要な変更はありませんでした。
ただし、年末調整ソフトに関して、微妙な仕様変更があることが確認されました。変更点をメモしておきます。
年調FAQ問5-7
年調ソフトはインストール権限のあるユーザーによってインストールが必要、という方式に修正されています。
なお、旧FAQでは、年調ソフトはダウンロードすればインストール不要で使用可能で、管理者権限も必要ないとされていました。
年調FAQ問5-8
会社情報はXMLデータを配布し、各従業員はそのXMLデータをインポートすれば初期登録の事務負担を軽減できる、という方法に変更されています。
なお、旧FAQでは、年調ソフトをまず会社がダウンロードし、初期情報を登録したソフトを配布すれば、各従業員の初期登録の事務負担を軽減できるとされていました。
年調FAQ問5-12
年末調整ソフトでできる内容に「各種控除証明書等データの改ざん検知」「マイナンバーカードによる電子署名(iOS版を除く)又はID・パスワード設定」が追加されました。
電子署名については「iOS版を除く」と書かれています。つまり、iOS版の年末調整ソフト(アプリ)では、マイナンバーカードによる電子署名はできないことから、zipファイルを転送する方法しかなさそうです。
年調FAQ問5-27
年末調整ソフトでは、入力されたマイナンバーの情報は、内部で保持しないと説明されています。
年調FAQ問5-28
年末調整ソフトで出力したデータ形式についての解説が追加されています。
書面出力の場合はPDFが出力されますが、同時にXML形式も出力されることについて説明されており、その理由は翌年以降の年末調整手続に再利用するためとのこと。
この点、すでに開発者向けFAQ(2020年6月)で明らかにされていましたが、一般向けFAQでも説明されました。
まとめ
2020年7月下旬に、「年末調整手続きの電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」が更新されたのでこの点について触れました。
とくに重要な変更はありませんが、年末調整ソフトがインストールを要するソフトに仕様変更されている点が気になるところです。
この点、すでに2020年6月に提供されたパンフレットでは、管理者権限などの説明が生じていたことから、その気配がありましたが、今回のFAQの更新で確定しました。
税務専門誌では、このようなミニマムな更新情報は扱ってくれそうにないので、当ブログでメモしているしだいです。