2024年4月から始まった、新しい納付方法である「自動ダイレクト」。開始されてから半年が経過しましたが、これまでの電子納税と少し違った取扱いがあります。
この記事では、「申告期限日に申告した場合で、自動ダイレクトの納付日が期限日の翌日を指定しているが、大丈夫なのか？」という疑問を述べます。先に結論からいうと、この場合は期限日の翌日になっても大丈夫のようです。
e-Taxホームページによると
e-Taxホームページ「「ダイレクト納付」についてよくある質問」によると、「自動ダイレクトとはなんですか」という説明において、
※ 法定納期限当日に申告した場合は、翌取引日に引き落としがされます。
この場合、翌取引日に口座引落しができれば、法定納期限から引落日までの延滞税や加算税はかかりません。
と書かれています。
つまり、期限日当日の申告で、自動ダイレクトの納付日が翌日を指定しても「問題ない」ということのようです。
普段、期限日当日のギリギリに申告することは望ましくないでしょうが、やむをえず申告が期限日当日になってしまった場合で、自動ダイレクトの納付日が期限日の翌日になっていると、実際のところ驚きます。
あらかじめ、自動ダイレクトの動作は、認識しておいたほうがよさそうです。
根拠法令は？
これだけで話が終わると少し短いですし、せっかくなので根拠法令を探しておきます。e-Taxホームページでは根拠法令を示していないので、調べてみました。
財務省「令和5年度 税制改正の解説」P.624によると、「通法34②、通令6の3、通規1の3③～⑤」が示されています。
令和5年度改正で追加された、国税通則法34条2項を見ておきます。
2 特定納付方法（電子情報処理組織を使用する方法として財務省令で定める方法に限る。）による国税（法定申告期限と同時に法定納期限が到来するもの（輸入品に係る申告消費税等を除く。）に限るものとし、源泉徴収等による国税を含む。）の納付の手続のうち財務省令で定めるものが法定納期限に行われた場合（その税額が財務省令で定める金額以下である場合に限る。）において、政令で定める日までにその納付がされたときは、その納付は法定納期限においてされたものとみなして、延納及び附帯税に関する規定を適用する。
申告期限と納期限が同時である場合のダイレクト納付については、納付がその翌日（通令6の3）になっても、納期限で納付したものみなすということです。
なお、この扱いは「法定納期限に行われた場合」と書かれています。期限日前に申告した場合の自動ダイレクトでは、納付期限日が納付日に指定されますので、この場合は関係ないものと考えてよさそうです。
注意点は？
自動ダイレクトの場合では、期限日当日の申告では、納付期限日の翌日に引落しでもOKということで一安心です。ところで少し気になったのが、もし引落しエラーが出たらどうなるんだろう……という点です。
この疑問ですが、金沢国税局の資料によると、
※ 残高不足で口座引落しができなかった場合、「ダイレクト納付エラー通知」が税理士・納税者双方のメッセージボックスに格納され、「ダイレクト納付指定日」が自動で取り消されます。
また、この取消により、申告書等データの送信時に、メッセージボックスに格納された「納付区分番号通知」に、「今すぐに納付される方」ボタンが表示されますので、引落口座に入金後、「納付区分番号通知」の「今すぐに納付される方」ボタンをクリックし、再度、納付をお願いします。
なお、法定納期限の翌取引日が引落日の場合、再度納付しても、延滞税がかかる場合がありますので、ご注意願います。
これによると、残高不足などで納付エラーが出て、そのために再度の納付処理をした場合は、延滞税はかかる場合がある、とのことです。
このほかに知られている点としては、源泉所得税の納付期限が支払日の「翌月末日」の場合でも、自動ダイレクトでは「翌月10日」が自動的に設定されてしまう、ということです。
（注意点）
口座引落日には源泉徴収の対象となる所得を支払った月の「翌月10日※」が自動設定されるようになります。
なお、国内源泉所得の支払が国外で行われる場合において、その支払者が国内に事業所等を有するときなど、法定納期限が源泉徴収の対象となる所得を支払った月の「翌月末日※」となる場合であっても、自動ダイレクトを利用すると、口座引落日には源泉徴収の対象となる所得を支払った月の「翌月10日※」が自動設定されてしまうためご注意ください。※ 日曜日、祝日などの休日や土曜日の場合には、その休日明けの日となります。
期限日ギリギリの話とはちょっと違いますが、こちらも要注意かと思います。