ご年配の確定申告でよくあるミス。税理士が教える注意点とは

確定申告書を手書きで記入

この記事では、ご年配の方の確定申告でよくある「所得控除が使えるのに使っていない事例」について、5項目をまとめます。

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ご年配向けの確定申告の注意点

筆者は毎年、確定申告の無料相談会で、ご年配者を中心に相談に応じています。

相談に応じていると、よくあるミスや注意点は、一定の傾向があるように感じています。そこでこの記事では、それらの注意点をまとめておきます。

1.医療費が10万円に達していないので、領収書を捨ててしまった

10万円という数字がインパクトがあるせいか、医療費控除が使える最低ラインを10万円以上と思っている方がいるようです。

それは間違いではないのですが、所得が200万円以下の場合には、所得の5%を基準とすることもできます。

(例)65歳以上の方で、年金収入:300万円 の場合

所得:180万円 (=収入300万円-年金控除120万円)
医療費控除の基準:180万円×5%=9万円  →9万円を上回る部分が医療費控除!

また、「収入」と「所得」を間違えて計算している方も見かけます。上記の例でいえば、

医療費控除の基準:年金収入300万円×5%=15万円

というように計算してしまうわけですが、これは間違いです。「所得」に対して5%を乗じるようにしてください。

2.旦那さんが亡くなられているのに、「寡婦控除」を適用していない

ご年配の女性の申告で、かなり頻繁に見かける控除忘れが、「寡婦控除」(かふこうじょ)でしょう。

旦那さんを亡くされた後の確定申告では、所得が500万円以下であれば使える控除です。寡婦控除とは、独り身になった女性の生活支援としての控除であり、所得控除は27万円です。

なお、ご自宅を売却して3,000万円の特別控除を受けている場合などは、寡婦控除の適用が受けられない可能性があります。これは、所得要件を特別控除を受ける前の所得で判定するためです。

一方、ご年配の男性についてはどうでしょうか。

男性の場合、奥さんを亡くされた後では「寡夫控除」(かふこうじょ)という控除があります。しかし、この控除を受けるには、子供を扶養中の場合に限られています。

通常は、ご年配の男性が適用を受けるのは厳しいでしょう。

3.配偶者が70歳過ぎなのに、「老年」になっていない

ご年配の男性の申告でたまに見かける配偶者控除のミスなのが、配偶者が70歳過ぎなのに、老年の扱いにしていないということです。

これは、もし70歳以上の配偶者がいる場合、「老年控除対象配偶者」として48万円の所得控除になります。

「配偶者控除は38万円」という思い込みがあるために発生するミスでしょう。

4.要介護の家族がいるのに、障害者控除の適用を受けていない

家族の事情などを聞いてみると、よくあるのが、要介護の家族がいるのに障害者控除の適用を受けていないということです。

お住まいの市区町村によっては、要介護の家族が「障害者控除」の対象になる場合があります(100%対象になるわけではありません)。

市区町村の窓口に相談して、障害者控除の適用を認める証明書を発行してもらいましょう。

参考No.1185 市町村長等の障害者認定と介護保険法の要介護認定について|所得税|国税庁

5.基礎控除の記入を忘れている

単純な話ですが、意外とありがちです。

未記入の申告書に印字がないため、基礎控除の記入を忘れてしまっています。誰でも受けられる控除ですので、「38万円」をしっかり記入しましょう。

基礎控除の記入欄

【参考】シルバーセンターの配分金はどうする?

ごくたまに拝見するのが、シルバー人材センターからの配分金の受け取りです。この配分金は、「雑所得」になります。

この配分金については、みなし経費として65万円を差し引くことができます。

例えば、70万円の配分金であれば、70万円-65万円となり、所得は5万でいいことに。(この計算を、「家内労働者等の必要経費の特例」といいます)

ただし、他に給与を受け取っている場合などでは、65万円にならない場合もあります。

詳しい計算方法は、【PDF】東広島市が作成している説明資料が見やすいのでおすすめです。

まとめ

ご年配の方の確定申告で使える控除を中心に、注意点を紹介しました。

とくに、「医療費控除」「寡婦控除」「配偶者控除」「障害者控除」「基礎控除」の5つに注意して、確定申告をされることをおすすめします。

なお、確定申告のシーズンであれば、この時期は無料相談があちこちで開かれています。

簡単な確定申告について相談したいことがあれば、相談会を利用するのがよいでしょう。

どの会場で相談が実施されているかは、お住まいの市区町村の広報誌などに掲載されています。

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