すべての法人に付与された法人番号について、その意味と留意点を確認します。
説明のポイント
- 今後、法人番号が管理番号のスタンダードになっていく
- 法人番号は、個人番号と違って公表されており、誰でも活用できる
- 取引先の管理リストに法人番号を追加しておく
法人番号とは何か?
マイナンバー制度の開始によって、個人だけでなく、法人にもマイナンバーが付与されました。
法人の場合は、マイナンバーよりも「法人番号」と呼ぶほうが一般的です。個人番号は12桁の数字ですが、法人番号は13桁の数字が付与されています。
個人番号では、その番号を不必要に明らかにすることはせず、厳格な管理が求められています。
一方、法人番号はすべて公表されており、誰でも番号を知ることができます。利用範囲の制約もありません。国税庁「法人番号公表サイト」では、すべての法人について、「商号」「所在地」と「法人番号」が紐付けされて検索できるようになっています。
参考:国税庁法人番号公表サイト(国税庁)
法人番号のメリット
法人番号のメリットを確認します。
- 法人の名称や所在地が簡単に確認できるようになる
- 常に最新に更新されるため、情報の鮮度が高い
- 企業間取引における企業コードとして活用できる(海外取引も含む)
- 取引情報の名寄せ業務が効率化され、関連情報の紐付けが簡単になる
- 行政機関内での手続きの連携化が進み、法人の負担が減る
これらのメリットによって、法人番号の活用による効率化が期待されています。
似たような名前の法人や、所在地のあいまいさは排除され、法人番号をもって唯一の法人であることを特定できます。
参考:法人番号公表サイト「FAQ」、法人番号公表サイト「法人番号とは」
法人番号がこれからのスタンダード
メリットに示したように、今後はこの法人番号を用いて管理することがスタンダードになります。
お手持ちの取引先リストにも、法人番号の項目を作成し、情報を加えておくことをおすすめします。
法人番号を追加するには
手作業で1つ1つ法人番号を調べるのは大変手間のかかる作業です。そこで、経済産業省が提供している「法人番号付与ツール」を活用しましょう。
サイト:法人情報へ法人番号の付与を支援するツールを公開しました(経済産業省、2016年2月10日)
エクセルを利用するため、動作が少し重いのが難点です。
使い方は少々難しいです。いきなり操作を始めるのではなく、最初にマニュアルを読んでから作業した方がよいでしょう。
法人番号に関する留意点
法人番号は始まったばかりの制度であり、その活用については、いくつか留意すべき点もあります。
1.支店や工場には独自の番号はない
法人番号では、本店のみに法人番号が付与されており、支店や工場などに、独自の番号は付与されていません。このため、これらを管理するためには、枝番号を追加する必要があります。
行政機関では、「法人番号」の後ろに、これまで付与されてきた「分野別事業所番号」を追加することが検討されています。
参考:手塚悟「企業コードの整備・活用に関する基本構想(案)」(PDF)のp.10、2012年
2.登録と実際の所在地が異なる場合
法人番号検索で表示される「所在地」と、実際の本社の所在地が異なる場合もあります。これは、登記上の本店が、実際の本社の所在地と異なっているために起こります。
3.個人事業主には事業者としての番号がない
法人番号がオープンなものとして活用される一方、個人番号は厳格な取り扱いが求められます。
個人事業主は、個人番号しか与えられていないため、番号の取り扱い方で法人との間に差が生じるため、不利になるのではないかという懸念が生じます。
この点について、青色申告事業者にも事業用のマイナンバーを付与するよう改善を求める声があります。(東京税理士会「平成29年度税制及び税務行政の改正に関する意見書」より)
まとめ
法人番号のメリット、法人番号付与ツール、留意点を紹介しました。
今後は法人番号を活用する機会が増えることになります。まずは経済産業省が提供するツールを活用して、取引先管理のために法人番号を付与しておきましょう。
追記
法人番号にひも付けされた、法人検索サイトが公表されています。行政期間が保有する法人情報を検索することができます。次の記事で紹介しています。