Excelで勘定科目内訳明細書を作ると、電子申告には対応できない

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電子申告(e-tax)による、勘定科目内訳明細書の提出方法を確認します。

説明のポイント

  • e-taxは2016年4月、勘定科目明細書のcsv形式での提出に対応した
  • Excelで作成した勘定科目内訳明細書を、PDF形式で提出することはできない
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e-taxがPDFによる書類提出の受付を開始

国税庁の電子申告システム「e-tax」(イータックス)は、2016年4月からPDF形式の受け付けを開始しました。また、2017年1月には対応する手続きが追加される予定です。

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参照添付書類のイメージデータによる提出について(国税庁)

これまでe-taxのシステムでは、所定のXML形式・XBRL形式に限って提出を受け付けていましたので、PDF形式による提出の対応により、利便性が増したことになります。

しかし、すべての書面提出がPDF形式でできるかというと、そうではありません。

法人税の「財務諸表」と「勘定科目内訳明細書」は、引き続きPDF形式での提出に対応していません。

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▲【PDF】「はじめよう!e-Tax(①CSV形式の財務諸表及び勘定科目内訳明細書の提出②添付書類のイメージデータ提出編)(平成28年4月版)」(東京国税局)より引用

上記の図表を見ると、「財務諸表」と「勘定科目内訳明細書」は、

e-taxで受付可能なデータ形式へ変換 CSV→XRBL・XML

と記載されています。

「財務諸表」や「勘定科目内訳明細書」をCSVで作成すれば提出できますが、PDF形式のイメージデータは提出できません。

よって、「財務諸表」や「勘定科目内訳明細書」をExcelで作成している場合は、これをPDFの形式にしても、電子申告で提出することはできません。

なお、電子申告に対応する書式にできない場合は、これまでと同様に、印刷して郵送する必要があります。

参考電子的に提出できない添付書類は、どのように提出することになるのですか。(国税庁)

勘定科目内訳明細書を巡る状況

勘定科目内訳明細書とは?

勘定科目内訳明細書とは、法人が法人税の申告をする場合に提出する添付書類の一つです。

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▲勘定科目内訳明細書①「預貯金等の内訳書」

この勘定科目内訳明細書を見れば、決算書の勘定科目にどんな内容が含まれているのか、ひと目でわかります。

勘定科目内訳明細書を作成する場合、会計事務所では税務ソフトを使用するのが一般的です。

しかし、電子申告に積極的ではない会計事務所や、小規模の企業では、Excel形式の勘定科目内訳明細書を使用していることもあるようです。

また、税務ソフトを利用している会計事務所でも、勘定科目内訳明細書の作成は、法人のお客様に依頼している場合もあります。

この場合、法人のお客様は、Excel形式の勘定科目内訳明細書を使用していることがほとんどのようです。

勘定科目内訳明細書は、国税庁公式のExcel書式がない

世間に出回っているExcel形式の勘定科目内訳明細書は、国税庁が公式に配布しているものではありません。

国税庁が公式に配布している書式はPDF形式に限られており、Excel形式の明細書は配布していません。

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[手続名]法人税及び地方法人税の申告(法人税申告書別表等)より(国税庁)

このことは、利用者にとってはとても不便です。

PDF形式では手書きを強いられるため、オリジナルで作成したExcelの書式や、ネットで入手したExcelの書式を利用している場合も多いと思われます。

勘定科目内訳明細書のExcel書式はどうなるか?

日本税理士会連合会は、電子申告の改善要望として「電子申告に関する要望事項」をまとめて、国税庁などに提出しています。

これによると、勘定科目内訳明細書の提出について、次のとおり要望しています。

勘定科目内訳明細書については、Excel 等で作成していることが多いことから、平成28 年4月から開始した受付可能なデータ形式への変換機能に加え、Excel 等をアップロードする方法等により、勘定科目内訳明細書のe-Tax による提出を更に容易とすることを要望する。

参照「電子申告に関する要望事項」について(日本税理士会連合会、2016年7月25日)

使っているExcelをそのままアップロードできないか? という要望ですが、この改善要望が受け付けられる望みは薄そうです。

なぜなら、世間に出回っているExcelの書式は、印刷用に作られてきたものであり、国税庁の定める電子申告の書式にはほぼ対応していません。統一された書式ではないものを、変換することは実質不可能でしょう。

なお、国税庁の定める仕様は、下記のページで公表されています。

参考:CSVファイルによる財務諸表等帳票の作成について(国税庁)

まとめ

勘定科目内訳明細書をExcelで作成している場合は、書面で提出する必要が続くでしょう。

国税庁としては、あくまで所定の形式(XRBL・XML)で提出されることが望ましい、という姿勢がうかがえます。

私が思うところでは、国税庁が電子申告を中心として考えているのであれば、「勘定科目内訳明細書」をこれまでの書式にこだわる必要はないのでは? と考えます。

国税庁は「勘定科目内訳明細書」のExcel書式を公開して、このExcel書式を電子申告に対応させることが望ましいでしょう。

追記(2018年4月16日)

平成30年度税制改正により、国税庁公式の勘定科目内訳明細書のExcelフォームが提供されることになりました。対応は、平成31年(2019年)4月からとされています。詳しくは次の記事をご覧ください。

国税庁は、e-Taxの受付について変更を実施し、勘定科目内訳明細書や財務諸表のCSV提出を容...

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