国税庁の統計から、資産家の平均的なポートフォリオを確認します。不動産がおよそ半分を占める結果となっています。
説明のポイント
- 財産に占める不動産の割合は46.9%で、およそ半分
- 「土地活用」の結果次第では、財産構成のバランスが偏る可能性も
どれぐらいの人に相続税が関係しているのか?
相続が発生した場合、相続財産に対して相続税がかかります。国税庁の統計では、平成26年分の相続税の申告件数は、56,239件でした。
厚生労働省の統計によれば、平成25年に亡くなった方の数は1,268,436人とされていることから、およそ4.4%の割合で相続税が関係しています。なお、この相続税によって、約1兆4000億円の税収が国庫にもたらされました。
国税庁の統計は平成26年のものです。平成27年1月1日からの相続では、相続税の基礎控除額が引き下げられるなど、税制改正による増税が行われました。このため、相続税の対象となる割合は今後さらに増えると想定されます。
参照:平成26年(2014)人口動態統計の年間推計(厚生労働省)
資産家の平均的なポートフォリオ
国税庁の統計は、相続税の申告があった財産の総額を公表しています。合計値になりますが、資産家の平均的なポートフォリオ(財産の割合)がうかがえます。
(出典:国税庁)
割合を見ると、不動産(土地と建物・構築物の合計)で46.9%となっています。
「資産家=お金持ち」という表現は、実態とは若干異なっており、実際は「不動産持ち」という見方が正しいといえます。
相続税対策がもたらすもの
不動産が財産の多くを占めることから、相続税対策は、不動産の評価額を減らすことが中心になります。
よく知られた相続税対策は、空き地にアパートを建設する「土地活用」です。しかし、平成27年からの増税により、アパートの建築ラッシュが起こったため、空室率が急上昇していることが知られています。
参考:空室率の急上昇。アパート投資による相続税対策は慎重な検討を(当サイト、2016年7月27日)
賃貸物件を建てることは、ポートフォリオのバランスにおいて、次の変化をもたらします。
- 土地が減少する(※評価計算においての話。実物がなくなるわけではない)
- 現金預貯金が減少し、家屋が増加する
つまり、「土地活用」は、不動産の割合をさらに増加させる作用をもたらします。すでに現金預貯金の割合が少ない場合は、ポートフォリオのバランスをよく検討する必要があるでしょう。
まとめ
資産家の平均的なポートフォリオから、「土地活用」の効果を確認しました。
「相続税対策」は大事かもしれません。しかし、自分の資産をどうやって防衛するのか、そのためのポートフォリオはどのようにしたらよいのか、そのような視点をあわせ持つことも必要でしょう。