土地の評価額について、都市計画道路の予定地になっている場合には、評価額が下がります。その確認方法についてお伝えします。
説明のポイント
- 都市計画道路の対象かどうかは、ネットで確認できる(東京都の場合)
- 住宅地では1%~10%の減額が期待できる
都市計画道路とは?
「都市計画道路」とは、都市計画法に基づいて定められた道路です。
都市計画法では、道路が持つ交通機能や、空間機能などを高め、良好な都市環境を整備しています。このため、都市計画道路の工事が順次進められています。
例えば、主要な幹線道路で行われている拡張工事をイメージすれば、わかりやすいと思います。
もし相続時の財産の中に、将来の都市計画道路の対象となる予定地があれば、評価額を減額することができます。
道路工事が始まっている必要はありません。計画の対象になっていれば、減額OKです。
都市計画道路による評価減がある
なぜ、都市計画道路の予定地になっていると、評価額を減額できるのでしょうか。その理由は、建築制限です。
例えば、東京都23区内では、次の基準が設けられています。
当該建築物が、次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであること。
- 市街地開発事業(区画整理・再開発など)等の支障にならないこと。
- 階数が3、高さが10m以下であり、かつ、地階を有しないこと。
- 主要構造部が、木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。
- 建築物が都市計画道路区域の内外にわたり存することになる場合は、将来において、都市計画道路区域内に存する部分を分離することができるよう、設計上の配慮をすること。
これらのような制限が設けられているのは、いざ道路を拡張し始めたときに壊しづらい建物があると、工事の差し支えになってしまうためです。
建築制限があることは、土地の利用価値が劣ることを意味します。このため、相続税の計算においては、この点を加味して、評価額の減額が認められています。
どれぐらい評価減になるのか?
では、「都市計画道路の評価減」は、どれぐらいの評価減になるのでしょうか。評価減を定めたものは、財産評価基本通達24-7に定められています。
この通達は文章がちょっと読みづらいのですが、簡単にいえば、計画予定地になっている割合から補正率を求めます。
ざっくりいうと、普通住宅地区であれば、1%~10%の評価減が期待できます。(補正率の割合が「0.90~0.99」なので)
くわしい補正率は、下表のとおりです。
引用:財産評価基本通達24-7
所在している地区や容積率、計画地が占める地積の割合により、補正率は変化します。
次に、これらの評価減となる要素などの調べ方を紹介しましょう。
「都市計画道路の対象地」はどうやって調べる?
東京都の場合、「都市計画情報等インターネット提供サービス」で都市計画道路の計画予定地を確認できます。
筆者の事務所の近く(北区赤羽西)においても、この記事の執筆時現在で、都市計画道路の工事が行われています。実際にその地図を見てみましょう。
まず、「都市計画情報等インターネット提供サービス」にアクセスします。「都市計画情報」をクリックし、表示された東京都全域の地図から、自分の調べたい地域をクリックします。
地図が表示されるまでには、少々時間がかかります。
地図が表示されたら、「用途地域」のチェックを外します。
地図上の太線が、都市計画道路の対象です。この太線の内に土地がある場合、都市計画道路による評価減が期待できます。
実際に検討する場合は、土地に対してどれぐらいの割合で計画道路がかぶさっているのか(地積割合)を計算する必要があります。
この場合、東京都の都市整備局で図面を取得して、念入りに確認したほうがよいでしょう。
東京都以外の場合では、ネットでは地図が公開されていないこともあります。市区町村に問い合わせて、都市計画図の図面を閲覧します。
「地区区分」はどうやって調べる?
次に「地区区分」ですが、国税庁の路線価図で調べられます。
あまり深く考えなくても、適当にクリックして「路線価図」を目指していくと、それっぽいものが表示されるはずです。
東京の路線価図を表示してみましょう。例として、北区赤羽西1丁目の路線価を表示しました。
このうち、見るべきポイントはここです。対象となる土地に隣接する路線価表示のマークを探して、地区の表示と照らし合わせます。
今回の場合は、「普通商業・併用住宅地区」でした。
「容積率」はどうやって調べる?
最後に「容積率」を調べます。
東京都の場合、「都市計画情報等インターネット提供サービス」で容積率も確認できます。
まず、左上の「詳細情報」をクリックします。
次に、調べたい場所をクリックします。
詳細情報の表示に「容積率」が表示されました。
東京都以外で「容積率」を調べるときは、市区町村がネットで地図を公表している場合もあります。
ネットで見られない場合は、市区町村の役所役場や、図書館などに備え付けてあるブルーマップで調べることができます。
まとめ
ここまで、都市計画道路の評価減について、対象となる調査の方法も含めて紹介しました。
この例では、東京都のケースで紹介しましたが、この評価減については、対象となる土地であればどこでも使えます。
都市計画道路の対象かどうかをネット上で確認できない場合は、市区町村に問い合わせて確認するとよいでしょう。