印刷不要!帳簿をデータのまま保存する方法。電子帳簿保存法の要件をチェック

ケースに収まったCD

会計ソフトに入力された帳簿のデータは、紙に印刷せず、データのまま保存することができます。電子帳簿保存法の要件を確認します。

説明のポイント

  • 帳簿は紙で保存するのが原則だが、データで保存することもできる
  • 電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある
  • 主要クラウド会計ソフトは未対応。編集履歴を記録する機能がない
この文章中の電子帳簿保存法Q&Aへのリンクは、執筆当時の旧Q&Aへのものです。その後、新Q&Aが整備され、「問」のナンバーが大幅に変動しています。最新の情報は、国税庁の新Q&Aを参照してください。
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会計ソフトのデータはどう保存すべきか?

会計帳簿を、会計ソフトで作成している人は多いでしょう。では、その作成した帳簿のデータは、どのように保存すべきでしょうか。

原則は、紙に印刷して保存します。

会計ソフトにデータを残したまま、帳簿を印刷しないと、税務上の要件を満たしていないという点を、前回の記事で述べました。

参考決算後は帳簿を印刷しておけ、という注意喚起 クラウド会計利用者は特に注意 (当サイト、2017年1月11日)

帳簿をデータのまま保存する方法

帳簿を紙で保存することは「原則」です。実は、その原則によらない方法もあります。それは、電子帳簿保存法に対応した「電子保存」です。

帳簿をデータのまま保存できるなら、場所もとらないし、印刷代も節約できます。どのような要件を満たせばよいのか、確認しましょう。

(1)帳簿保存の要件を満たすこと

以下の図をご覧ください。税務上保存すべきものには「帳簿」と「書類」の2つがありますが、今回説明の対象とするものは「帳簿」(仕訳帳、総勘定元帳など)です。

電子帳簿保存法の帳簿保存要件

▲出典:電子帳簿保存法旧Q&A問13(平成28年9月30日以後の承認申請対応分)(国税庁)/新Q&A電問7

上記の図のとおり、要件は5つあります。

  • 電磁的記録の訂正・削除・追加の事実及び内容を確認することができる電子計算機処理システムの使用
  • 帳簿間での記録事項の相互関連性の確保
  • 電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け
  • 見読可能装置の備付け等
  • 検索機能の確保

参考電子帳簿保存法上の電子データの保存要件(国税庁)

これらを理解しやすく言い直すなら、こんな感じです。

  1. 帳簿の編集履歴を記録する機能と、検索機能を備えた会計ソフトを使う。
  2. 作成した帳簿と、その元になった伝票等のつながりを番号などで付す。
  3. 帳簿作成の経理規程を整備する。
  4. ディスプレイ、プリンター、操作説明書を備え付ける。

1.帳簿の編集履歴を記録する機能と、検索機能のある会計ソフトを使う

検索機能は、ほとんどの会計ソフトが備えているでしょう。項目指定、日付や金額の範囲指定、2以上のワードの組み合わせによる検索ができるものであればOKです。(参考:電子帳簿保存法上の電子データの保存要件

また、帳簿の履歴を記録する機能も必要です。(電子帳簿保存法旧Q&A問29/新Q&A電3)しかし、この機能を備えていない会計ソフトもあります。

 

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例えば、主要なクラウド会計ソフトでは、「帳簿の履歴を記録する機能」はまだ備わっていません。機能が成熟したインストール型の会計ソフトに比べると、クラウド会計ソフトは、まだ機能面で劣る点もあるわけです。

主要なクラウド会計ソフトのサイトにおいて、「電子帳簿保存法に対応」という表記がありますが、これは領収証等(書類)のスキャナ保存に対応しているという意味です。「帳簿」の電子保存に対応している意味ではありません。

弥生会計の電子帳簿保存法の対応設定

▲インストール型でシェアの高い「弥生会計」は、「電子帳簿保存法」に対応しています。この機能を利用すると、帳簿の編集履歴が記録されます。参考電子帳簿保存と履歴について(弥生会計17サポート情報)

弥生会計の仕訳履歴

仕訳履歴(弥生会計17サポート情報)より引用。作成者や削除者の履歴が残ります。

2.作成した帳簿と、その元になった伝票等のつながりを番号などで付す

帳簿を作成した場合に、その作成元の補助簿、伝票、集計表などとのつながりをハッキリさせます。相互の関連がわかる番号を付して、確認できるようにします。

3.帳簿作成の経理規程を整備する

小規模な企業では、記帳のための規程が整備されていないことも多いです。経理のルールを記した経理規程を作成しましょう。

ネットで参照できる経理規程をもとに、自社にあったものを作成すればよいと考えます。

自社で記帳せず、外部に委託している場合は、「処理委託契約書」を準備します。

記帳を外部に委託している場合でも、社内で帳簿を確認できる必要があります。会計事務所に記帳を「丸投げ」している事業者は、帳簿を確認できる会計ソフトが自社になければ、要件を満たしません。

4.ディスプレイ、プリンター、操作説明書を備え付ける

帳簿を表示するディスプレイと、プリンターが必要です。これらの性能については、要件は定められていません。(電子帳簿保存法旧Q&A問19/新Q&A電9)

操作説明書は、ソフト購入時に添付されていたものを用意します。オンライン説明書でも問題ないものとされています。(電子帳簿保存法旧Q&A問20/新Q&A電16)

税務調査の時に、調査官が帳簿を確認する環境も想定しておきます。

(2)税務署長に承認の申請を出す

以上の要件を満たして、運用上の問題がなさそうであれば、所轄の税務署に承認の申請を出します。申請書は以下からダウンロードできます。

参照[手続名]国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請(国税庁)

申請から承認までは最低3ヶ月間が必要です。事業年度の初日までに承認を受ける必要がありますので、早めの準備が必要です。(電子帳簿保存法旧Q&A問9/新Q&A電6)

国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書1 国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書2

まとめ

電子帳簿保存法における帳簿の保存要件と、申請方法について説明しました。

帳簿の保存ルールは、紙が原則です。しかし、電子帳簿保存法の要件に対応すれば、会計ソフトの帳簿をデータのまま保存することができます。データの保存形式、保存媒体は特に定められていません(電子帳簿保存法Q&A問23/新Q&A電11)

インストール型の会計ソフトでは、電子帳簿保存法の要件を満たすものもあります。

しかし、主要なクラウド会計ソフトでは、帳簿の編集履歴を保存する機能は実装されておらず、電子帳簿保存法の帳簿保存の要件を満たすことはできません。今後の性能アップが期待されます。