クラウド会計freeeが、個人事業主の確定申告において、クラウド会計で作成した確定申告書を印刷することなく、そのままe-Taxで送信する機能をリリースしました。この機能は、クラウド会計業界において日本初とのことです。
説明のポイント
- クラウド会計freeeにおいて、帳簿作成から申告まで、すべて同一ソフト内で完結できる機能がリリースされた
- その機能がリリースされた背景を説明している
クラウド会計freeeと、これまでの確定申告の対応
クラウド会計freeeは、インストール不要で使用できるクラウド型の会計ソフトです。個人事業主を中心に根強い人気があります。
これまでfreeeでは、決算書と確定申告書をソフト内部で作成することはできました。しかしその後は、これらの申告書を印刷し、税務署に郵送する対応を案内していました。
作成まではクラウドなのに、最後の申告の部分だけが紙という「アナログ」だったわけです。これが、今回の機能のリリースで、最後の申告部分まですべてクラウド上で完結することが可能になりました。
▲freeeのプレスリリース(2017年2月6日)より引用
なお、昨年までにおいても、「e-Taxソフト」という国税庁公式の電子申告ソフトを使用すれば、freeeで出力したデータをe-Taxで電子申告することも、一応は可能でした。
参考:確定申告書類をe-taxソフトで提出する(freeeヘルプセンター)
▲国税庁公式の電子申告用ソフト「e-Taxソフト」。懐かしのWindows95時代を思い起こさせるグラフィック。「組み込み」ボタンからXTXファイルを読み込める。
▲後発の「e-Taxソフト(WEB版)」でもXTXデータを読み込める。WEB版は操作感が改良されており、使いやすい。
自前で税務ソフトの開発に乗り出したfreee
昨年(2016年)11月、freeeは「クラウド申告freee」という新しいサービスを提供すると発表しました。
▲freeeのプレスリリース(2016年10月31日)より引用
これはクラウド型の税務申告ソフトで、会計事務所向けに2017年1月から提供されています。
この「申告freee」は、会計事務所向けのサービスです。このため、すべての個人事業主向けに確定申告をe-Taxで対応するという話は、私の知る限り、触れられていませんでした。
参考:「クラウド申告freee」のリリース予告は何を意味するのか? クラウド申告を理解するための基礎知識(当サイト、2016年11月1日)
これらの流れから今回のリリースは、申告freeeの一部機能を、個人事業主向けに無料で解放したと捉えることができます。
また、申告機能を備えていない他のクラウド会計ソフトに対しても、優位になったと見ることができます。
参照:freee が確定申告書類の電子申告機能をリリース 日本初、クラウド上で確定申告書類の作成から申告まで完結するサービスを提供(freee、2017年2月6日)
操作画面
freeeを利用している個人事業主向けに、実際に、どこを設定すればいいのかを説明します。
まずfreeeのトップページから、「確定申告」>「確定申告書類の作成」を選択します。
確定申告書の作成画面が表示されたら、下にスクロールします。
提出方法の設定で、「電子申告(freee)」を選択して保存します。
「提出」の画面に移動します。
電子申告で送信する手続が示されます。
これ以降の具体的な手続は、freeeのヘルプで確認できます。
参考:【個人】freeeで確定申告(所得税)の電子申告を行う(freeeヘルプセンター)
対応できない部分もある
freeeは会計ソフトであり、税務専用ソフトではありません。このため、確定申告書の作成について、隅々まで網羅した機能は持っていません。
例えば、株取引がある方向けの「特定口座年間取引報告書」や、NPOに寄付した場合の「認定NPO法人寄附金特別控除の証明書」などの添付書類の作成には対応していません。
参考:会計freeeの「第三者作成書類の添付省略」の対応状況(freeeヘルプセンター)
もちろん、一般的な申告であれば、会計freeeで確定申告を済ませることは可能です。freeeが対応していない申告を含む場合は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」に数字を書き写して作成しましょう。
まとめ
クラウド会計freeeが、個人事業主の確定申告において、申告についてもクラウドで送信することが可能になった件を解説しました。
freeeの発表において「クラウド上で、確定申告書類の作成から申告まで対応するサービスは日本で初めて」とされているように、この機能は画期的といえます。
クラウド会計の歴史において、新たな1ページを刻んだリリースといえるでしょう。