MFクラウド会計・MFクラウド確定申告を利用している場合で、2つの銀行口座の間で資金の振替を行う場合の処理と、その事前設定を説明します。
説明のポイント
- 勘定科目に、資金移動のための勘定科目を追加する
- 公式ガイド本は、重複を避けるために2つの仕訳のうち1つを「無視」する処理を説明している
MFクラウドで2つ以上の銀行口座を利用している場合
MFクラウド会計・MFクラウド確定申告において、2つ以上の銀行口座を設定している場合も多いでしょう。
では、2つの銀行間における次の処理は、どのように仕訳をすべきでしょうか?
A銀行は10万減って、B銀行は10万増える
MFクラウドでは、銀行から自動的に取引データが読み込まれます。このため、次のデータが反映されます。
- A銀行のデータ →100,000円が出ていきました!
- B銀行のデータ →100,000円が入ってきました!
これをいつもの感覚で次のように入力すると……
- A銀行の仕訳入力 →100,000円出金(B銀行へ)
- B銀行の仕訳入力 →100,000円入金(A銀行から)
A銀行とB銀行でそれぞれ仕訳を入力しますが、これは重複仕訳(同じ仕訳を2回入力すること)になってしまいます。
仕訳が重複してしまう理由
なんで仕訳が重複するのでしょうか? 具体的に見てみましょう。
もしA銀行の入力画面で、「B銀行に資金移動をした」という仕訳を入力すると、こうなります。
では、B銀行の入力画面でも、「A銀行から資金移動があった」という仕訳を入力するとどうなるでしょうか?
みごとに、ふたつの仕訳が重複しました。これはまずいです。
方法1.仕訳を「対象外」にする
簡単な解決方法は、2つの仕訳のうち、1つの仕訳を「対象外」にすることです。この方法は、公式ガイド本においても説明されています。
資金の振り替えが少ない場合は、「対象外」とする処理でよいでしょう。ただし、複数の口座間で振替をたびたび行う場合だと、手間に感じるかもしれません。
勘定科目の判定は、通帳の摘要によって判断していますが、どちらか1つだけの仕訳を「対象外」にするといった処理までは自動化できません。
アシスタントに入力させている場合は、「対象外」という処理をオペレーションに組み込むとミスの発見が遅れやすくなる、という点も気になります。
読み込んだデータは、基本的にすべて仕訳に反映させたほうがわかりやすいですし、ミスの発見も簡単です。
方法2.新しい勘定科目を追加する
口座間の振り替えが多い場合は、資金振替用の新しい勘定科目をつくることをおすすめします。ここでは、「振替勘定」という勘定科目を新しく作成しました。
具体的に見てみましょう。
もしA銀行の入力画面で、「B銀行に資金移動をした」という仕訳を入力すると、次のようになります。
また、B銀行の入力画面で、「A銀行から資金移動があった」という仕訳は、次のように入力します。
資金振替用の勘定科目を新しく設定することで、重複を避けることができました。
注意点(1)
この勘定科目は振替用のため、いわば「仮置き場」みたいなものです。このため、試算表などの残高としては一切表示されません。
むしろ、残高の表示があった場合は、なんらかのズレが生じている可能性がありますので、すぐに確認が必要です。
よくあるズレは、「金曜日にA銀行から振り込んで、月曜日にB銀行に入金された場合」です。資金移動の日付のズレによって、一時的に残高が発生する場合はありますが、決算日以外は気にしなくてよいでしょう。
注意点(2)
口座間で資金の振替を行うと、「キャッシュフローレポート」を表示したときに、入金と出金の総額が膨らんで表示されることに留意しましょう。
MFクラウドでの、新しい勘定科目の設定方法
では、実際にMFクラウドで、資金振替用の勘定科目を追加してみましょう。
まず、「各種設定」から「勘定科目」を選択します。
画面下にある「+決算書科目追加」を選択します。
決算書科目追加の画面では、カテゴリを「諸口」にし、決算書科目と勘定科目を「振替勘定」と入力します。
新しい勘定科目が追加されました。
これにより、次のような処理があっても、どちらも「振替勘定」と入力すればOKです。
- A銀行からB銀行に振込
- B銀行からA銀行に入金
まとめ
2つ以上の銀行を使っている場合で、銀行口座間の預金振替を行うための処理と、その事前設定を説明しました。
公式ガイド本では、重複を避けるように、2つのうちの1つの仕訳を「対象外」にする方法を説明しています。
しかし、口座が多数ある場合で、口座振替を頻繁に行う場合は、新しい勘定科目として作成することをおすすめします。この方法ならば、残高のズレが明示されやすいですし、オペレーション的にも安全性が高いです。
なお、新しい勘定科目ではなく、新しい「補助科目」として口座振替用を設定しているケースも目にします。このあたりはお好みでしょう。