電子納税の手段のひとつである「ダイレクト納付」について、非対応の金融機関があります。この点について、国税庁のせいだと考える意見があるようなので、補足しておきます。
説明のポイント
- 金融機関がダイレクト納付に対応していないのは、国税庁のせいではない
- 金融機関側で対応が必要
ダイレクト納付とは
「ダイレクト納付」とは、国税の電子申告(e-Tax)をした場合に、その申告に連動して納税を口座振替できる電子納税システムのことをいいます。
インターネットバンキングを契約していない金融機関でも対応できることや、納付処理にあたって納付日を指定できることから、利便性の高いものとして国税庁が推奨しています。
なお、ダイレクト納付の利用率は、2016年度において全納付手段のうちの「2.2%」とされています。
出典:第16回 税制調査会(2017年11月20日)資料一覧
ダイレクト納付が使えない金融機関は誰のせい?
ダイレクト納付で魅力的なのは、納付日が指定できることでしょう。
通常のペイジーで電子納税した場合は、納付日の指定はできず、即時納付になります。これに比べて、ダイレクト納付なら納付日が指定できます。
ところが残念なことに、ダイレクト納付はすべての金融機関で対応しているわけではありません。
国税庁が開示する対応金融機関のリストを見ると、金融機関には、インターネット専業銀行は軒並み含まれていません。
このことから、「国税庁がサボっているのではないか……?」という、思い込みがあるようです。
国税庁に寄せられる要望を見ても、「ネット銀行でもダイレクト納付を対応してくれ」というものが散見されます。
金融機関が対応しないとダメらしい
しかし、ダイレクト納付の対応については、国税庁の管轄ではなく、各金融機関の対応によるようです。
例えば、このような資料からも事情が伺えます。
『税研Vol.32・No.5(2017年1月)』における、国税庁長官官房企画課長の寄稿には、このような記述があります。
ダイレクト納付については、ダイレクト納付に対応した金融機関の預貯金口座でなければ利用できないため、未対応の金融機関へ対応を要請するなど、引き続き利用拡大に向けた取組を行っていくこととしている。
P.47「税務の電子化の現状と今後のあり方」より
ダイレクト納付に対応するかは、金融機関の腹ひとつということになるでしょう。
まとめ
ネット銀行をはじめとして、ダイレクト納付に非対応の金融機関について、その事情をお知らせしました。
非対応なのは国税庁のせいじゃなくて、金融機関の事情ということになりそうです。
ダイレクト納付は、ペイジーによる納付方式のひとつとされています。(参考:国税の納付には、ペイジー「ダイレクト方式」が便利です!)
ネット銀行は、ペイジーに対応しているところもあるわけですから、ネット銀行でのビジネス利用が広まってくれば、いずれは国税のダイレクト納付への対応も期待できるかもしれません。