先日、国税庁が明らかにした法令解釈通達に、2019年1月からの個人の確定申告における、ID(利用者識別番号)と暗証番号の取扱いが書いてありましたので、ご紹介します。
ついでに、ちまたに広がっている勘違いも一掃する比較表を用意しました。
説明のポイント
- ID・パスワード方式に関する誤解を解く
- 現行と変更後の「比較表」を用意しました
誤解されている電子申告方式の変更
2019年(平成31年)1月から、国税庁は、個人の確定申告について、マイナンバーカードだけで申告できるようにする制度を発表しています。
この点については、以前の記事で紹介しました。
ところが、これを誤解した記事が多数散見されるようになっています。
なぜかというと、マイナンバーカードを利用していないひとに向けた、特別な方式が提供されることとなったものの、それがまるで「新方式」への転換のように解釈するひとが続出したからです。
例えば、「電子申告・納税スマホ対応やマイナンバーカードを巡る日経報道の謎」(2017年11月6日)は、その一例でしょう。
この点が誤解であることは、次の記事で紹介しました。
「新方式」とは、マイナンバーカードを利用した申告方式であり、特例は、一定期間だけ提供されるやむを得ない暫定方式(ID・パスワード方式)です。
簡単にいえば、「マイナンバーカードを取得して、電子申告をしろ」ということです。
これは、国税庁のアナウンスを見ればわかります。
参考:【平成31年1月開始】e-Tax利用の簡便化に向けて準備を進めています(国税庁e-Taxサイト、平成29年5月)
まとめると、こういう話です
……やっぱり、図がないと理解が難しいですかね?
ということで、現行と、簡便化(2019年・平成31年)以降の電子申告で、その違いをまとめました。
理解のポイント
- 今のところは、「ID+パスワード+マイナンバーカード」の3つが必要です
- それが、簡便化で「マイナンバーカード」だけでOKに!ワオ!
- でも、マイナンバーカードを取得しない人がなんかいっぱいいるうえに、電子申告せずに紙で提出してくるので、税務署も困惑しているんですわ
- だから、そういう人たちには「特例」として、マイナンバーカードを必要としない電子申告もできるようにするけど、それをやるには事前の本人確認が必要だよ
ということです。
国税庁の通達改正について
2017年12月19日、国税庁からこの点に関する通達の改正が明らかにされました。
これをわかりやすく説明すると、
- 特例の「ID・パスワード方式」は、マイナンバーカード及び ICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応であること
- 「ID・パスワード方式」を利用するためには、平成30年1月以降に税務署の窓口で申請するか、平成31年1月以降にネットで申請すること
というものです。
なお、平成30年1月以降に窓口で申請した「ID・パスワード」が、いつから利用できるかは、明示されていませんでした。
おそらく、平成31年以降に使えるものと思われますが、平成30年中から利用できるとしたら、便利ですね。
また、法人についてはこの簡便化の影響はなく、平成31年以降も「利用者識別番号+暗証番号+電子証明書」の3点セットで電子申告をするようです。
まとめ
青色申告の電子申告に今後インセンティブが発生する予定であることから、電子申告についての関心が急速に高まっているようです。
ちまたに広がっている誤解を一掃するため、説明資料を用意しました。