会社が給与支払報告書を提出していない場合、従業員はどうすればいいのでしょうか? ごくまれにある質問なので、悩めるみなさまのためにアドバイスを書いておきます。
説明のポイント
- 自分が住民税を納付していないことがわかった場合のトラブル対応Q&A
- 会社が、自分の給与支払報告書を送付していなかった
- 市区町村の税務課に相談に行くこと
自分の会社が給与支払報告書をきちんと処理していない
ごくまれに耳にする悩み。それは、自分が住民税を納付していないことがあとでわかった、……という、苦情に近いお話です。
当ブログでは以前に、会社側への意見として、給与支払報告書はきちんと市区町村に提出しないとダメですよ、という記事を書きました。これは、法律で定められた要件だからです。
対応のためのQ&A集
今回は会社側からの視点ではなく、従業員からの視点として、トラブルへの対応マニュアルをまとめておきます。
世間では、筆者が思っていたよりも、実際にトラブルの数が多いのかもしれないという懸念があるからです。
未納状態が発覚するのはどういった場合ですか?
従業員が、自分の住民税の未納状態に気づくのは、市区町村の役所に納税証明書を取りに行ったときのようです。
何らかの申込み手続のために納税証明書の提出が必要で、それを取りに行ったときに、未納の状態に気づくわけです。
住民税が未納であれば、納税証明書を発行してもらっても納税の記録はありません。想定していたことと異なる事態で、驚くことは間違いないでしょう。
会社がきちんと処理しているかはどうやってわかりますか?
会社が、自分の住民税について処理しているかを確認する方法は、自分の給与明細を見ることです。
給与明細に「住民税」という項目があるでしょうか?
そこで住民税が給与からマイナスされていれば、会社側できちんと処理されている可能性は高いといえるでしょう。(就職1年目の場合、マイナスされていない場合もあります)
もっと細かくいうと、自分の住民税がきちんと納付できているのかは、次の方法でわかります。
- 自分の給料から、「住民税」という項目で税金がてん引きされる(特別徴収)
- 毎年6月頃に、市区町村から「住民税」の納付が送られてきて、その明細書に「給与所得」と書かれており、自分で納付している(普通徴収)
2通り書きましたが、ほとんどのひとは、給料から住民税がマイナス(てん引き)される「特別徴収」です。
サラリーマンは、自分で住民税を納める「普通徴収」は、少人数の会社や就職1年目の場合などをのぞいて、めったにありません。
なんでこういうトラブルが起こるんでしょう?
住民税を払っていないのは、会社がきちんと手続きをしていないからです。
こうしたトラブルが起こる原因としては、次の理由が考えられます。
- 給与支払報告書の提出は、大量に印刷して郵送していることも多く、うっかり作業からもれていた
- 給与支払報告書の郵送や、住民税の徴収・納付は事務負担が大変なので、意図的にサボっていた
- 会社が資金繰りに苦しんでおり、従業員から徴収した住民税に手を付けて、未納状態になっている
「給与支払報告書」って何ですか?
給与支払報告書とは、会社が従業員に支給した給与の集計結果を、従業員の住んでいる市区町村に報告する書類です。
会社は、各従業員の住んでいる市区町村に、毎年1月31日までに提出する義務があります。これは、基本的にすべての従業員が対象です。
書かれている内容は、年末調整で従業員に配布される「源泉徴収票」とほとんど同じものです。
会社の経理が作成して、それを市区町村の税務課に郵送しているので、この書類を従業員が目にすることはありません。
住民税をきちんと納めたいのですが、どうすればいいのでしょうか?
このページを見ているということは、現時点ですでにお困りでしょう。
住民税を納めて、きちんとした状態にしたい場合は、お住まいの市区町村の税務課に相談にいくことをおすすめします。
また、その場合には、会社から渡されている「給与明細」や「源泉徴収票」を持っていくようにしましょう。(源泉徴収票をもらっていない場合は、その旨も相談しましょう。ただし、一般的に源泉徴収票の不交付は税務署の管轄です)
ここで1点、認識しておいてほしいことがあります。
それは、以前からずっと住民税を納めていなかった場合には、過去の住民税も納付を求められる可能性がある、ということです。
これまでが不正常な「税金未納」の状態だったわけで、やむをえない話です。突然の出費を求められるのはツラいでしょうが、本当にお気の毒です。
会社に目をつけられたくないのですが……
この問題を市区町村の税務課が認識した場合、毎年「給与支払報告書」の提出や、税金の納付を会社に求めるようになります。
このことから、「面倒くさい従業員」として会社から目をつけられるのを恐れる声もあるようです。
手続きをおこたっているのは会社側の問題なので、トラブルを修正しても、それによって従業員が責められる理由は、本来は一切ありません(りくつの上では)。
市区町村の担当者にもよりますが、どうしてもトラブルを避けたいならば、その旨を相談してみるのも一つの手でしょう。
今後も同じようなトラブルが起こるのか心配です
今年までの住民税の未納状態は解決できたとして、今後も同じような未納状態になってほしくないという気持ちも当然にあるでしょう。
市区町村の税務課は、今後「給与支払報告書」の提出を会社に求めるようになります。きちんと対応されればそれでいいのですが、ひどい場合は無視される恐れもあります。
会社が給与支払報告書を提出せずとも、自分で確定申告をする方法も考えられます。これにより、会社が対応していなくても、給与所得の内容は市区町村に伝わります。
確定申告後の6月には、会社あてに住民税の特別徴収の通知が発送され、会社としても住民税の徴収・納付に応じざるを得ないしょう。
6月以降の給与について、住民税がてん引きされていない場合は、以前と同様に市区町村に相談しましょう。
まとめ
給与支払報告書の不提出に関するトラブルのQ&Aをまとめました。
ネットでは、こうしたイレギュラーなお悩みのアドバイスが少ないので、参考としてQ&Aをまとめておきました。