デビットカードで現金を引き出せるという「キャッシュアウトサービス(キャッシュアウト取引)」。帳簿のつけかたへの影響も気になったので、自分で調べてきたことをお伝えします。
説明のポイント
- デビットカードで現金の引き出しができる
- 2018年7月現在は「イオン」の特定店舗のみで対応(ほぼ実験段階)
- 通帳の記載は現金引き出しの見分けがつかない
キャッシュアウトサービスとは?
キャッシュアウトサービス(キャッシュアウト取引ともいう)は、デビットカードを利用して現金を引き出せるサービスです。規制緩和により、2018年4月から始まったそうです。
デビットカードというと、キャッシュレスの支払いで銀行口座から引き落とし……というイメージですが、これにあわせて現金も引き出せるようになります。
ネットで調べてみると、下記の画像のようなイメージ図がありました。
引用:【PDF】J-Debit「キャッシュアウトサービス」の取扱い開始について(2017年)
ATMに行かなくても、デビットカードで現金引き出しができるという、利便性向上のサービスと理解すればいいでしょう。
キャッシュアウトサービスのメリットは、買い物ついでに現金が引き出せることです。別途、ATMに行く必要はありません。
店舗側にとっては、ATMの設置は不要でありつつ、現金引き出しに応じることができます。
使えるのはイオンの特定店舗
2018年4月に始まったサービスですが、対応店舗は少ないです。
筆者が調べたところ、このサービスが使えるのは、大手スーパーの「イオン」に限られています(2018年7月現在)。なお、対応店舗はイオン全店ではなく、ごく少数に限られています。まだ実験段階という感じです。
対応店舗は、J-Debitの加盟店検索で調べられます。「キャッシュアウト」でしぼりこんでください。
キャッシュアウトを実際に利用してみた!
ここからは実際に利用したレポートです。
まず用意するのは、デビットカード。下の画像のキャッシュカードは、デビットカードを兼ねています。
イオンのサービスカウンターで聞いたところ、キャッシュアウトに未対応のデビットカードもあるそうです。
やってきました、埼玉県のイオン某店。
現金を引き出せるのは、サービスカウンターです。買い物のレジで引き出せると思ったのですが、イメージと違っていました。
サービスカウンターのお姉さんに「キャッシュアウトを実験したい!」と要望したところ、とても好意的で、いろいろ熱心に説明してもらえました。
下の画像は、キャッシュアウトの決済端末です。店員さんにデビットカードを手渡して、端末でのスキャンを依頼します。その後、利用者が引出し金額と暗証番号を端末に入力します。
無事、1,000円を引き出すことができました。
なお、買い物と同時に決済することはできないそうです。買い物で決済して、その後に現金の引き出しでまた決済、という2回の決済を実施しました。
現在はまだ使いづらいサービス
「買い物ついでに現金引き出し」というふれこみでしたが、現在のところでは、まだ実験段階のようです。
サービスカウンターでしか対応していないですし、買い物と現金引き出しが同時にできないのも不便です。
銀行に行かなくてもいい、というメリットはありますが、銀行の窓口で預金を引き出しているのと同じような感覚をおぼえました。
いまのところ引き出し手数料は無料だそうですが、これなら、すぐそばにあるイオン銀行のATMで現金を引き出したほうが気楽でしょう(笑)
もしこれが買い物とセットでできるようになれば、いくらかは便利になりそうです。ATMの設置の少ない地域では、とくにメリットを感じるかもしれません。
通帳の明細はどうなるか?(帳簿をつける場合)
筆者がもともと、このサービスを試そうと思ったのは、「通帳の記載がどうなるか?」という疑問からでした。
というわけで、帳簿をつけるかた向けの情報を載せておきます。
以下は、通帳の明細です。1,000円は現金引き出し、78円は買い物です。
ここで重要な点は、キャッシュアウト(1,000円)も、買い物(78円)も、同じ摘要である「JD イオン○○テン」になっていることです。
帳簿をつける場合は、やりづらい印象を覚えます。摘要を見ても、それが現金の引き出しであるかどうか、見分けづらいからです。(ATMで引き出した場合は、「ATM」などと記載される)
2018年7月、東京国税局の文章回答事例に掲載されたキャッシュアウトに関する回答を見ると、今後は「買い物+現金の引き出し」がセットで行われる可能性もありそうです。(つまり、本当に「買い物ついでに現金引き出し」が実現される見込み)
よって、1つの取引で「買い物+現金の引き出し」という複合的な内容の可能性も、いずれありえるわけです。
デビットカードはミニビジネスと相性がいい
ちなみにデビットカードは、ミニビジネスでも活用されています。
口座に利用明細が集まるため、その利用明細を自動取得できるクラウド会計ソフトを活用すれば、帳簿づけが楽になります。
まだ信用度が低く、クレジットカードを作りづらいミニビジネスの個人事業主・法人でも、デビットカードなら厳しい審査もないので、用意するのも難しくありません。
この記事がデビットカードにこだわった理由も、こうしたビジネス上のメリットにあります。
まとめ
キャッシュアウトサービス(キャッシュアウト取引)についてのレポートをお伝えしました。
わかったことを整理すると、
- デビットカードで現金の引き出しができる
- 2018年7月現在は「イオン」の特定店舗のみで対応(ほぼ実験段階)
- 通帳の記載は現金引き出しの見分けがつかない
という感じでした。
キャッシュアウトサービスは、欧米ではよく使われているらしいですが、日本で普及するかはまだわかりませんね。
参考:いよいよ日本でJ-Debit「キャッシュアウトサービス」が解禁へ、買い物ついでに店舗レジで現金引き出し(Payment navi、2018年2月)