法人のネットバンキング利用率はどれぐらいか?

クラウド会計ソフトを考えるときに重要なのが、連携する金融機関のネットバンキングです。この記事では、法人が利用するネットバンキングの利用率について確認します。

説明のポイント

  • 法人のネットバンキング利用率を調査した公的な資料は見当たらない
  • 複数の資料から、50%程度と推測される
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クラウド会計ソフトの重要なポイント

このブログは、クラウド会計ソフトに関心を持って記事を書いています。

もしクラウド会計ソフトを扱っていれば、その会計処理において、インターネットバンキングとの併用を勧めるのは間違いのないことでしょう。

クラウド会計ソフトは、現在大きなシェアを誇る「MFクラウド(マネーフォワードクラウド)」や「freee」よりも以前に、いくつかの会社が提供していました。

そのクラウド会計ソフトが「フィンテック」の一翼として脚光を浴びることになったのは、データを金融機関から自動で取り込むという機能をあわせもったことで、劇的な効率化を図れることがわかったからです。

そして、スムーズな取り込み機能を独自提供した「freee」と「MFクラウド(マネーフォワードクラウド)」などが、大きなシェアを誇っています。

つまり、クラウド会計ソフトを活用するポイントとは、

  • 金融機関のインターネットバンキングを利用すること
  • そのインターネットバンキングを経由して、明細のデータを会計側が自動取得すること

にあるといえます。

もしこの機能を抜きにすれば、「枯れた」機能を備えるインストール型の会計ソフトに一日の長があるといえるでしょう。

法人のネットバンキング利用率は?

こうした点を踏まえれば、クラウド会計ソフトと組み合わせるべき金融機関のインターネットバンキングの利用状況を知りたいと考えるのは、クラウド会計を扱うものとして自然な考えといえるでしょう。

ところが、法人のインターネットバンキングの利用率を筆者が調べたところでは、そのままの具体的な利用率を示した、詳細な資料を見つけることは困難でした。

「フィンテック」がこれだけ騒がれているのに、インターネットバンキングを扱ったデータが少ない……というのは気になるところです。

もしかしたら、筆者が把握できなかった調査結果があるのかもしれません。もしそうだとすれば、ネットで簡単に手に入るような場所にある調査結果ではない、という理解になるでしょう。

各種資料から利用率を考える

筆者がネットをくまなく検索して発見した資料をもとに、法人のインターネットバンキングの利用率を整理します。

資料(1)freeeによる独自調査(2016年5月)

freeeが、金融庁の会議で提出した【PDF】「ユーザ本位の銀行APIエコシステムの実現に向けて」という資料(2016年12月8日)に、法人のインターネットバンキングの利用率を調査した結果が見られます。

これによると、2016年5月におけるfreeeの独自調査として、「事業用オンラインバンキング口座利用率」は、法人IB利用で40.8%とされています。調査手法、件数等の詳細は不明です。

 

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なお、このfreeeの資料は、その後に経済産業省が作成した会議資料(2017年5月)【PDF】「FinTechビジョンについて (補足資料)」にも、そのまま引用されています。

多数の資料を熟知した官僚が、freeeの調査をそのまま引用した点を考えれば、法人のネットバンキング利用率を調査した資料は、ほかに存在しないのでは? とも考えられるでしょう。

資料(2)中小企業庁の委託調査(2016年)

「インターネットバンキングの利用率」という調査ではありませんが、中小企業の決済事務を調査した資料の中に、振込でインターネットバンキングを利用する事業者の割合を明らかにした資料がありました。

その資料は、中小企業庁による委託調査【PDF】「決済事務の事務量等に関する実態調査」(2016年)というものです。

その部分を以下に引用します。

中小企業を対象とした調査結果(問23)になりますが、「支払に用いている手段」の割合のうち、

  • インターネットバンキング(ファイルアップロード) 8.5%
  • インターネットバンキング(画面入力) 51.0%

となっています。(複数回答あり)

重複回答を考えると正確な割合は断言できませんが、「インターネットバンキング(画面入力)」の51.0%は、間違いなくインターネットバンキングを使っている、といえるでしょう。

【参考資料】個人対象とした調査はいくつかある

上記2件は、法人向けのインターネットバンキングの調査ですが、これ以外に個人を対象とした調査もいくつか見られました。

個人を対象とした調査では、事業主ではない一般の個人を含んでしまいますので、ビジネスに対する調査としては、あまり参考にならないでしょう。

念のために数字を見ておくと、「インターネットバンキングを利用している」と回答した個人の割合は、日銀の調査で26.3%(2018年)全銀協の調査で61.1%(2016年)となっています。両者にはずいぶんと差があります。

情報通信白書における「株取引・オンラインバンキング」の利用率は、全世代平均で41.1%(2016年)となっています。

ネットバンキング利用率は、クラウド会計の拡大指標

クラウド会計利用者の割合は、【PDF】「決済事務の事務量等に関する実態調査」(2016年)の調査において9.0%とされていました。

現在クラウド会計ソフトの利用者が増加しているといっても、その利用者の増加傾向は、いずれどこかで頭打ちになるはずです。

その頭打ちの目安について考えると、インターネットバンキングの利用率が参考になるでしょう(完全に一致するわけではありませんが)。

逆にいえば、クラウド会計ソフトのシェア拡大余地は、まだ十分にあるといえます。

まとめ

法人のインターネットバンキング利用率について、ネットで見られる各種資料から、状況を整理しました。

ハッキリと断言できるような資料は見当たりませんでしたが、中小企業庁による委託調査の「51%」という数字は、調査数からみても信頼度が高そうです。

これに加えて、freeeの独自調査の「40.8%」も、大幅には違っていないと見ることができるでしょう。

クラウド会計の利用率については積極的に調査が行われているようです。しかし、そのパートナーとなる金融機関のインターネットバンキングについては、なぜかハッキリとした利用率の調査が見当たらなかった、というのは気になるところです。

もしこのブログ記事をご覧になった調査関係の方がいましたら、ぜひインターネットバンキングの利用率も調査項目に加えていただきたくお願い申し上げます。