肩こりに「葛根湯」が効くという、知っているようで知られていない話。筆者のまわりでは「知らない」という反応が多かったので、IT時代のライフハックとしてご紹介しておきます。
説明のポイント
- 風邪薬で有名な漢方薬「葛根湯」は、肩こりにも効く
眼精疲労・肩こりは、現代病である
現代の日本人は、「肩こり」に悩んでいます。これは、わたしたちのライフスタイルに原因があるでしょう。
危険生物が近づくことをいち早く察知したり、その日の獲物を確保するために、はるか遠くを見続けたご祖先さまたち。
ところがその祖先とは異なり、現代人の私たちは、高速で点滅する発光体を、1m以内の至近距離でひたすら長時間見続けるという、これまでの人類史において類を見ない行為が必要となりました。
それも「必要」どころか、仕事上必要でもないのに、歩行時や食事中などもその行為を自ら望んで継続するという、中毒的な人々まで存在しています。
パソコンやスマートフォンとの、激しい”にらめっこ”を要求される現代人……。そのライフスタイルのために、緊張し続ける視神経は、「眼精疲労」や「肩こり」というトラブルを引き起こします。
「肩こり」に葛根湯が効くという話
さて、本題はここからです。
その現代人の病ともいえる「肩こり」に、あの有名な漢方薬「葛根湯」が効くという話。ご存知でしょうか?
筆者のまわりで聞いて回ったところでは、知っている人はほとんどいませんでした。年配の方でも知らない人がほとんどです。(筆者がうれしげに知識を披露したいことに、あえて気を回してくれた可能性もありますが……)
手元にある葛根湯の箱を見てみましょう。
確かに「肩こり」と書いてあります!
肩こりは、IT時代の慢性病。ということは、肩こりに悩むIT戦士は、葛根湯を常備しておくべきではないか、という考えにいたります。
もちろん、これは対症療法です。眼精疲労や肩こりが発生する原因があれば、それを取り除くことも必要といえるでしょう。
そうはいっても、それが難しいから疲労がたまって肩こりになるわけですが。
医師がすすめる漢方薬の本にちゃんと書いてある
筆者(私)がそのことを知ったのも、漢方薬を紹介する書籍を読んだためなので、別に得意になって自慢することではありません。
例えば、井齋偉矢先生の『西洋医が教える、本当は速攻で治る漢方』(2014年)を紐解いてみましょう。
その一部を引用させていただくと、
肩こりは「僧帽筋」という筋肉のこわばりが原因で発生します。……(中略)……この筋肉の一部に炎症と循環障害が起こることにより、肩こりが発生すると考えられます。……(中略)……こうした肩こりを1時間くらいでラクにしてくれる漢方薬があります。それが有名な葛根湯です。
と書かれています。
葛根湯にはエフェドリンという成分があるため、狭心症や心筋梗塞のリスクがある人は注意とされています。(正確には、葛根湯の生薬のひとつ「麻黄」がエフェドリンを含む)
これ以外にも詳しい説明を見たい場合は、クラシエの漢方薬サイト「漢方セラピー」などを見るとよいでしょう。
一般的な漢方の解説を読むと、葛根湯は身体の上半身に効く薬であり、頭痛や肩こりなどに作用するなどと説明されています。
市販薬の成分は「うすめ」なのかもしれない
ここからは余談です。筆者は薬剤師ではありませんので、自己責任で読んでください。
薬局に行くと、葛根湯のとなりに「満量処方」という名前のついた葛根湯もいっしょに売っていました。その満量処方の成分を見ると、普通の葛根湯に比べて成分が2倍入っているようです。
つまり、市販の葛根湯は、成分が「うすめ」になっている……ということなのでしょう。素人が扱える薬が激しい効果をもっていたら、それはそれで問題です。
では、調子が悪くて強い効き目がほしいときは、普通の葛根湯を2倍飲んでもいいのか……? という疑問がわくところです。2倍飲めば、すくなくとも市販薬で可能なMAXと同じレベル(つまり満量処方)になります。
心配なひとは「満量処方」と書かれているものを手にとったほうがいいでしょう。
私がこの件を薬剤師さんに聞いた回答は、ここでは記しません。(自己責任)
まあ、心配する程度の深刻な肩こりなら、葛根湯どころではなく、医師や薬剤師さんにきちんと相談したほうがいいでしょうね。
まとめ
初期の感冒に効くとされている漢方薬「葛根湯」が、実は肩こりにも効くという話でした。
激務がたたると、肩こりがひどくなるという人も多いはず。そんなときのお助け内服薬として、葛根湯が役立ちそうです。