会社組織はなぜ拡大していくのか。その理由について、アウトドア用品メーカー「モンベル」代表・辰野勇氏のコラムが参考になりますので、紹介します。
会社が拡大していく理由とは
モンベル代表の辰野勇氏が書かれた、コラムの該当部分を以下に転載します。モンベルは、1975年創業の企業であり、以下の話は創業から5年後(1980年)とのことです。
当時の社員数は私を含めて僅か12名。それでも5年後、10年後のビジョンを見据えていた。
「創業を共にした仲間たちと、できれば一生一緒に仕事をしたい」と願った私は、「組織の平均年齢を常に若く保たなければならない」ことに気づいた。さもなければ、年々増え続ける給与をまかなうことが出来なくなる。既存の社員を確保しながら平均年齢を低く保つには、毎年若者を受け入れなければならない。必然的に組織は拡大し、結果として売り上げ規模も大きくせざるを得ない。即ち、売り上げを伸ばすために人を増やすのではなく、人を増やすためには売り上げ規模を拡大しなければならないというロジックに気づいたのだ。
(モンベル発行「OUTWARD」第81号)
組織が拡大するのは、売上拡大にあわせて人員を確保するというイメージが一般的です。確かに事業が急成長した企業であれば、そういうケースもあるでしょう。
辰野氏のコラムは、組織で人員の定着を図ったときに生ずる問題を述べています。給与は年々増加するわけですから、その影響を減らすためには、社員の平均年齢の維持が必要です。
すると、会社内部では若手社員が増えることになり、その人員を活用するために売上拡大も必要という、組織が拡大せざるを得ない原理を指摘しているわけです。
モンベルは、日本を代表するアウトドア用品メーカーであり、国内の直営店舗数は120を超えるとのこと。1980年時点で辰野氏を含めて12名だった社員数は、2018年で1,000名を超えるとのことです。
そんな企業を一代で作り上げた辰野氏は、まぎれもなく非凡な経営者といえます。
この組織拡大のルールは、経営者は知っているが、これから起業を志す人は認識していないことが多いという、知識のギャップの代表例といえますし、「人を雇うとはどういうことか」という責任と意味を感じる話でもあります。
(これに対する話で、組織はつくらずにフリーエージェントでよいとする意見もあるでしょう)
まとめ
モンベルの会員誌に、これから起業するかたに有益な内容が書いてあったので、紹介させていただきました。
この指摘は、これから会社という組織をつくろうと考える人に、まず一読していただきたい内容といえるでしょう。
フリーエージェント路線でいくのか、それとも組織化をはかるのかで悩んでいる場合も、それを考えるための有益な視点のひとつといえます。