源泉徴収票の添付不要で生じる影響の検討【3】 保存の重要性が薄れ、画像保存も可に

平成31年度税制改正により、2019年4月以後に提出する確定申告書について、給与所得などの源泉徴収票が添付不要になりました。この改正で生じる影響を考えます。3回目は、重要な書類とされていた認識が変わることに言及します。

説明のポイント

  • 源泉徴収票は添付不要・保存義務なしで、価値観の転換が生じる
  • 古い源泉徴収票は、画像保存でもかまわない
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源泉徴収票はとっておくものが常識だった

これまでの記事で、給与所得の源泉徴収票は、2019年4月から確定申告書に添付不要となったことをお伝えしてきました。

平成31年度税制改正により、2019年4月以後に提出する確定申告書について、給与所得の源泉徴収票が添...

給与所得の源泉徴収票といえば、確定申告における「1丁目」ともいえる重要書類という認識でしょう。

もし仮に確定申告をしなくても、源泉徴収票をとりあえず保管しておくのは、ある意味当然ともいえることでした。

机の中や収納ケースに、過去の源泉徴収票が眠っている人もたくさんいることでしょう。

しかし、今回の税制改正により、こうした価値観にも一部転換が生じるように感じますので、この点について言及します。

添付義務なし、保存義務もなし

まず、改正前の話です。所得税法(120条3項4号)では、確定申告をするときに、源泉徴収票を添付、または提示をすると書かれていました。

その部分が、改正によってまるごとカットされました。つまり、改正後である2019年4月以降では、もう確定申告書に添付しなくてよいわけです。

添付する必要がないことに加えて、源泉徴収票を保存する義務もない、ということも重要です。

この点は、国税庁ホームページ「国税関係手続が簡素化されました」において、さりげなく書かれています。

とはいえ、これまで確定申告書を書面で提出している場合は、ほとんどの場合で提出時に添付してしまっているため、手許に残っていることは少なかったことでしょう。

どうしても手許に置きたい場合は、税務署の職員に「提示」して回収するしかないためです。

その一方で、e-Taxで申告をすると、これまでは「提出省略」という扱いでした。

紙の源泉徴収票は、電子申告では添付しようがないので、わざわざ郵送することの煩雑さを避けるために「お前んところでとっとけ」という感じで、自分で保管しておく必要がありました。(参考

 

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しかし、改正によって添付不要となり、保存義務の規定もないので、電子申告後における源泉徴収票の保存は不要になります。

つまり、確定申告が終わったあとは、その資料である源泉徴収票に保存義務はありません。グシャグシャにして捨ててもOKということです。

国税庁e-Taxホームページでも、告知がなされています。

参照e-Taxソフトの「申告書等送信票(兼送付書)」などに、平成31年4月1日以後、確定申告書等の提出の際に提出又は提示が不要となった源泉徴収票等が固定して記載されていますが、どうすればいいですか。

確定申告をしない場合は、画像で保管してかまわない

もう少し、価値観の転換を感じる話をしてみましょう。

12月の給与において、事業主から紙の源泉徴収票を受け取った段階をイメージしてください。その源泉徴収票は「大事な書類だから、とっておこう!」というのが、これまでの常識でした。

このため、確定申告をしていない場合は、源泉徴収票がずっと手許に残ってしまうことも多かったでしょう。「いったい、この書類はいつになったら捨てていいんだ?」という感じです。

しかし、今後は異なります。源泉徴収票をスマホで撮影すれば、その場で捨てても問題ないレベルになっています。

源泉徴収票は、確定申告書に添付の必要はありませんし、保存義務もありません。あくまで確定申告の記入用としての、参考書類の位置づけとなっていることに留意が必要です。

保存義務がないことで別に捨ててもかまわない書類ではあるのですが、完全に破棄してしまうと、あとでもし確定申告をしようと思ったときに困ってしまいます。

よって、記入のために画像などで記録を残しておくことが望ましいでしょう。

画像などで保管は必要

確定申告における記入では、どんな給与収入・給与所得、それに各種の所得控除があったのかの情報が必要です。このため、源泉徴収票を「画像などで保管」することは必要です。

事業主から受け取った源泉徴収票を、記録を残さずに捨ててしまうのは、やはりNGということです。

とはいえ、実際のところは紙の源泉徴収票を保管する「常識」は、今後も薄れることはないでしょう。

確定申告をしていない場合の収入証明として、源泉徴収票を利用するケースもあるはずです。スマホ画像からプリントした源泉徴収票だと、それで受け付けてくれるのかは微妙なところでしょう。

こうしたことを考えると、最新から2年間ぐらいは源泉徴収票を紙でとっておいて、それ以前のものは画像で保管すればいい、という価値観に変わるかもしれません。

もし、勤務先の給与ソフトが電子交付に対応していれば、従業員は自分で好きなときに、ネットから源泉徴収票をプリントできます。もともと紙の保存を意識する必要はありません。

まとめ

給与所得などの源泉徴収票が、2019年4月から確定申告書に添付不要とされたことで生じる価値観の転換について言及しました。

また、確定申告の有無にかかわらず、紙の源泉徴収票はスマホで撮影して画像でとっておくだけでも問題ないことをお伝えしました。

こうした制度改正の背景には、「紙」が常識だった源泉徴収票を、デジタルに変化させていく動きも認識しておく必要がありそうです。

大事にとっておくべき書類だった源泉徴収票も、取扱いが変わったことで、価値観の転換が必要でしょう。