PDFへの電子署名というと、Adobe Acrobatが必須で、ハードルが高いというイメージがありました。この固定観念を打ち壊すような、無料で提供されている電子署名ソフトがあることに気づきましたのでご紹介します。
説明のポイント
- 無料で提供されているPDF電子署名ソフト「JPKI PDF SIGNER」
- マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、PDFに電子署名できる
「JPKI PDF SIGNER」とは
公式サイトによれば、「JPKI PDF SIGNER はマイナンバーカードを使って PDF に電子署名ができるフリーソフトウェア」と説明されています。
公式サイトがていねいで詳しいので、私がダラダラとここで付け加えることもなく、たんに公式サイトを見てくれ! という投げやりな説明になってしまいそうです。
そこをあえて説明しますと、PDFへの電子署名はよくご存じのとおり、実務ではAdobe Acrobatを用いるのが通常で「無料ではムリ」というのが常識でした。
この観念を打ち壊すような画期的なソフトが、この「JPKI PDF SIGNER」といえるでしょう。
変更履歴を確認すると、2017年9月にリリースされたようで、現在までこまめにメンテナンスされているほか、公式サイトの説明も充実しています。
試してみました
筆者が実際に試してみた画面を載せておきます。
下は、「JPKI PDF SIGNER」を起動した画面です。ものすごくシンプルです。タブの「ファイル」から、PDFを開いて、電子署名を行います。
早速、電子署名を試してみたところ、ちゃんとできていました。下の画像は、「テスト」と書いたWordファイルをPDF化して電子署名したものです。
「署名に問題があります」とあるのが変ですが、Acrobat Readerに証明書の取り込みをしていないためで、このソフトの問題ではありません。(取り込み方法も公式サイトで説明されています)
やったこととしては、
- 「JPKI PDF SIGNER」をダウンロードして解凍する
- 「JPKI利用者クライアントソフト」をインストールする
- ICカードリーダーを接続して、マイナンバーカードを載せる
だけです。シンプル、お手軽です。
公式サイトによれば、「登記 ・ 供託オンライン申請システムに適合」しているとのこと。制作者自身が、このソフトで法人登記を完了させたと書かれています。
あまりくどくど説明するのもなんなので、あとは公式サイトを読んでみてください。
補足として
フリーソフトの常ですが、「JPKI PDF SIGNER」の公式サイトの説明を読んでも、ソフト作成者の詳しい情報は明らかにされていません。
このため、このソフトの利用は、自己の判断と責任によります。とはいえ、その点が批判に当たるとは思えません。解凍ソフトやFTPソフトであっても、それは同じ話のはずです。
あくまで善意で公開されているフリーソフトであることに留意すべきでしょう。やはり電子署名というシビアな信用情報を扱うがゆえに、どうしても信頼度が問われやすくなる、という側面はあるのかもしれません。
厳格な責任を負う実務は有料ソフトを使うとして、そこまで気にしなくていい電子署名であれば、このようなソフトがあると助かります。
まあ、本来であれば、政府や関係機関がこのようなソフトを提供していることが望ましい、とも思いますが、Adobeがダメだしするのでしょうか?
せっかく税金を投下したマイナンバー制度ですので、「意味ない」などという批判をはねのけるためにも、もっとマイナンバーカードで自由に電子署名ができればいいのに! ……という理想を実現したフリーソフトです。
制作者さんには敬意を表したいです。