マネーフォワードクラウド経費 キャッシュレス精算への移行を考える

マネーフォワードクラウド経費で対応した「キャッシュレス送金」サービスについて、導入のメリットや課題を検討します。

説明のポイント

  • 銀行振込みではなく、スマホアプリのキャッシュレスサービスに振込が可能に
  • 振込手数料の削減などでメリットあり
  • 従業員から理解を得られるかが課題
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キャッシュレス送金サービスとは

マネーフォワードは2020年3月、「マネーフォワードクラウド経費」がキャッシュレス送金サービスに対応したと発表しました。

この記事では、この一風変わったサービスを、どのように経理に取り込んでいくべきか? を、検討してみます。

マネーフォワードの説明によるメリット

公式サイトですでに説明されていることの重複になりますが、「キャッシュレス送金」サービスとは、これまで銀行振込や現金払いだった経費精算を、従業員が利用するスマホ決済アプリのキャッシュへの振込みに変更することを意味します。

「なんだ、銀行からアプリに振込先が変わっただけなら、べつに違いはないのでは?」という気もしますが、マネーフォワードが提供している資料をもとにメリットを整理してみましょう。

銀行振込と比較したメリット

  • 振込手数料の軽減。銀行振込なら1件100~500円程度が、1件100円以下になる。
  • 振込手数料が軽減されるため、給与に合算して振り込むよりも精算時期を早めることが可能。

現金払いと比較したメリット

  • 現金を管理する手間が軽減できる。
  • 直接手渡す手間を削減できる。

実務負担

  • アプリにひも付くサービスのデータを経費精算に引用することで、従業員の入力の手間が減る。改ざんを防げる。

ここで述べたメリットは、すでに「マネーフォワードクラウド経費」を利用している場合で、さらにキャッシュレス送金サービスに対応した場合の話です。

整理してみると、従業員と会社の双方で、それなりのメリットを得られることがわかります。

現金払いのメリットについては、銀行振込みに切り替えた場合でも同じ話のように見えますが、銀行のATMに行くことを好まない従業員も一定数いることに留意が必要です。銀行ではなく、スマホアプリであれば理解を得られるかもしれません。

 

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経費精算の業務が、経理の大きな負担になっていることは、いまさら述べるまでもありません。こうした業務をいかに効率的に処理するかは、実務上の課題であるといえます。

キャッシュレス送金サービスは、こうした改善の一助になる可能性もあります。

課題はあるか?

メリットを述べるだけでなく、中立の立場から、課題となる点もあわせて述べてみます。

1.一律に切り替えないと手間が増える可能性も

希望する従業員だけにキャッシュレス送金サービスを利用する場合、銀行振込を希望する従業員との分別をつける必要が出てくるため、手間が増える可能性もあります。

基本的には、なるべく多くの従業員で、キャッシュレス送金サービスに移行するのが望ましいと考えます。

2.従業員が受け入れるか?

そうなると、課題となるのは「従業員がアプリでのキャッシュレス送金を受け入れるか?」という点でしょう。

金融サービスの流れの「上下」でいえば、銀行が上流で、クレジットカードやスマホアプリ決済のサービスは下流です。このため、銀行の口座に振り込んでほしいという、要求は根強いものがあります。

スマホアプリから手動で銀行に出金できることを、丁寧に説明して理解を得るしかないでしょう。

3.スマホアプリ内で完結しない

スマホアプリから銀行口座に出金せずとも、スマホアプリ内で経費精算のサイクル(利用→精算→受取→利用…)が完結すればいいのですが、現状ではそうなりづらいです。

いまの段階で提供されているサービスは、「pring」「J-Coin Pay」「LINE Pay」の3種類です。

これに比べ、旅費交通費で主体となるのは交通系の電子マネーで、いまの時点で提供されているキャッシュレスサービスには対応していません。そうなると、銀行口座への出金は必然となります。

だったら、最初から銀行口座に振り込んでほしいという要求があっても、当然でしょう。

会社側としては、キャッシュレス送金サービスで振込手数料の軽減が図れるのはメリットですが、従業員の満足度としてはどうでしょうか。

4.データがリンクしづらい

キャッシュレス化するメリットのひとつは、そのキャッシュレスのサービスを利用すれば、利用データが経費精算の入力用に転記できるという点です。

しかし、スマホアプリを使って支払ができなければ、データの取得のメリットを活かすことができません。

5.現金払いからの切り替えの場合はどうか?

現金払いを好むような業種、従業員の場合はどうでしょうか。

現金払いを採用しているのは、「とにかく、はやく精算してほしい」という従業員が一定数いるという事情もあります。

こうした意味では、スマホアプリへの振込は、親和性が高いようにも思えます。

従業員はみんなスマホを使っているでしょうから、すでに利用者の多いLINEアプリに関連する「LINE Pay」に振り込むことには、一定の理解を得られる可能性はあります。

「LINE Pay」であれば、QRコードを利用し、セブン銀行のATMから現金を直接出金することも可能です。

つまり、銀行への出金を経由しなくても、そのまま直接現金引き出しができるのがメリットです。ただし、出金ごとに220円がかかります。(LINE Pay ATMサービス|セブン銀行

まとめ

マネーフォワードクラウド経費で新しく提供された「キャッシュレス送金」サービスについて、そのメリットと課題を挙げてみました。

現状で目に見える大きなメリットは、振込手数料の削減にあるでしょう。

しかし、キャッシュレスサービス内で経費精算のサイクル(利用→精算→受取)が完結しない以上は、どうしても抵抗感が生まれるのも事実です。

利用できるサービスが拡大し、「移行しない方が損だ」と強く感じるレベルになれば、利用者も増えるように感じます。

新しく提供されたサービスの可能性を注視しつつ、どのように使えるのかを研究する姿勢は今後も重要といえるでしょう。