クラウド会計を勧める立場としては、どれぐらいの人が使っているかは興味のあるところです。
マネーフォワードは、最近公表した決算説明資料にて、課金ユーザー数を公開しました。興味深いので紹介しておきます。
説明のポイント
- マネーフォワードが、会計等の各ソフトを利用する課金ユーザー数を公開
- 法人、個人ともに約7万ユーザーずつ(2020年11月期4Q末時点)
マネーフォワードの課金ユーザー数は法人個人比率が1:1
この記事のタイトルで言いたいことは説明済みなのですが、マネーフォワードが最近発表した決算説明資料にて、最新の課金ユーザー数が開示されていました。これは初開示とのことです。
開示によると、法人は69,713ユーザー、個人事業主は72,501ユーザーとのことでした。
引用:株式会社マネーフォワード「2020年11月期 通期決算説明資料」
なお、法人のユーザー数は、会計等のパッケージのほか、その他のサービスを含む数とのことです。
このデータで興味深いのは、法人:個人の比率がおよそ「1:1」という点でしょう。
個人事業主が先行しているというイメージがあったが……
なぜ興味深いかといえば、こうしたクラウド会計の利用は、個人事業主がお手軽に利用を始めるものというイメージもあったからです。
いまはなりを潜めましたが、かつてはクラウド会計は使えないと小馬鹿にしている人もいましたし、小規模ビジネスで使うものと決めつける人もいました。
ところで、当ブログでは以前に紹介したデータですが、会計ソフトの利用状況は、会社に関与する会計事務所の影響力が強いとされています。
このため、法人の利用数が増えるということは、法人と会計事務所の双方が納得した結果であるといえます。
今回のマネーフォワードの決算説明資料は、「クラウド会計は個人事業主がメイン」というイメージを覆しつつあるものといえるでしょう。
法人のほうが伸びも大きい
これに加えて興味深いのは、課金ユーザー数の伸長率を見ても、法人が個人よりも伸びていることです。
引用:株式会社マネーフォワード「2020年11月期 通期決算説明資料」
もちろん、個人は確定申告期である1Qで伸びると思われますので、3四半期間だけの比較で判断するのは控えますが、伸長率の比較としては興味深いでしょう。
法人は会計等パッケージ以外のサービスも含むため、純粋な個人との比較は難しいですが、課金ユーザーあたりの単価が上昇している点を見ても、法人の支持も厚いという点がうかがえます。
これらはキャンペーン等で会計事務所の攻略が成功し、中堅の中小企業も移行が進んでいるという結果とも予想されます。中堅向けに「ERP」として提供を始めるのも、その傾向かもしれません。
以前に当ブログで紹介したデータでは、企業規模が大きいほうが、クラウド導入に積極的というものがありました。こうしてみると、データに一致する動きといえそうです。
まとめ
直近の資料でマネーフォワードが課金ユーザー数を開示したことに驚きましたので、ブログで紹介しました。
2020年11月末の課金ユーザー数は、個人・法人ともに約7万ずつとのことです。
過去を振り返るに、マネーフォワードは2015年当時、無料アカウントも含むと思われる利用者数を40万と発表していた時期がありました。
当時は、大々的に取り上げられて試しにアカウントを作ってみた個人が多かったこと(高額なアフィリエイトがバンバン出ていた)、取引の少ない個人事業主であれば無料の範囲でもなんとかなったこと(その後仕訳上限数が制限された)、家計簿側からなんだかよくわからないままに会計画面に遷移できたことも影響していたと思われます。
しかし今回、本当の利用実態といえる課金ユーザー数を法人・個人別に開示したということで、興味深いものがありました。
いちおうこのブログも「クラウド会計」をテーマのひとつにしているのですが、最近はとくに書くこともなく普通の税務ブログになっていましたので、ご紹介したしだいです。