年末調整手続の電子化 開発者向けFAQとパンフで新たにわかったこと【1】

2020年6月下旬、「年末調整手続の電子化」について、新たなFAQとパンフレットが国税庁ホームページで公表されました。これらの資料をもとに、新たにわかった点を整理します。

説明のポイント

  • 年末調整ソフトを従業員にどこで使ってもらうか。データ提出におけるセキュリティとの兼ね合いに注意
  • 年末調整ソフトの操作に関する質問は、国税庁の専用ヘルプデスクで対応してもらえる
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新たなFAQとパンフレット

当ブログでは、「年末調整手続の電子化」について注目する記事を投稿しています。

2020年6月下旬、国税庁ホームページで、新しいFAQとパンフレットが公表されました。

FAQは「年末調整控除申告書作成用ソフトウェアに関するFAQ(ソフトウェア開発業者等の方向け)」というもので、すでに公表されている既存のFAQとは異なる、新しいFAQです。

「ソフトウェア開発業者等の方向け」ということですが、導入を検討する給与担当者にとっても参考になる情報が見られます。

このほか、「年末調整手続の電子化に関するパンフレットについて」というページが追加され、「スケジュール」「勤務先向け」「従業員向け」と目的別に分かれた新しいパンフレットも用意されています。

これらの資料から、「年末調整手続の電子化」について新たにわかったことを整理してみます。

新FAQとパンフレットで新たにわかったこと

【1】「年末調整電子化ヘルプデスク(仮称)」が用意される

パンフレット「スケジュール」によると、

年調ソフトの入力支援機能や、今後設置予定の「年末調整電子化ヘルプデスク(仮称)」を利用することにより、従業員から給与担当者への問合せが減少することが見込まれます。

という記載があります。

国税庁も電子化対応に本腰のようで、専用のヘルプデスクを設けるようです。

年末調整ソフトを導入する場合、会社の給与担当としては「細かい操作まで、そのすべての質問が私に殺到して、手間が激増したらどうしよう……?」という不安要素もありました。

しかし、専用のヘルプデスクが用意されるのであれば、給与担当者の心理的不安や、実際の負担も減るはずです。

なお、プロトタイプ版「年末調整ソフト」から「よくある質問」を開くと、アプリの操作方法等に関する問い合わせは、電話で可能ということがわかります。

10月から12月にかけては、土日祝日も質問できるようです。これなら、自宅でゆっくり年末調整の作業をやってもらう、という案内も可能でしょう。

【2】利用環境と会社のセキュリティ制限への配慮

「勤務先向けパンフレット3~導入時セキュリティ編~」は、導入時における会社のセキュリティと競合する面への配慮が書かれており、既存のFAQには書かれていなかった内容が見られます。

まずは、従業員に「年末調整ソフト」をどのパソコンで利用してもらうか? が前提となります。

そして、その状況に対して、

  • 会社の従業員のPCがインターネットへの接続を禁止している場合
  • 会社の従業員のPCがアプリケーションのダウンロードを制限している場合
  • 会社の従業員のPCが閲覧できるウェブサイトを制限している場合
  • 私物のUSBメモリ等の使用を禁止している場合

といったセキュリティ上の制限がある場合に、データ取得やデータ提出での障害となりうる可能性と対応を案内しています。

【3】「データ提出」ならハンコレスでテレワーク対応

厳密にいえば新情報ではありませんが、パンフレット「スケジュール」における従業員のメリットに、

データ提出なら押印が不要
データ提出なら電子署名又はパスワードで提出できるので、テレワークの方などが押印・提出のために出社する必要がなくなります。

と書かれています。

テレワークにもメリットがあるというアピールは、過去になかったもので、新たな視点といえます。

昨今のテレワーク推奨の流れをうけたものといえるでしょう。

【4】年末調整ソフトの仕様「なぜ書面印刷を選んでもデータも出力できるのか?」

プロトタイプ版の年末調整ソフトを操作すると、微妙に疑問を覚えるところがあります。

書面印刷による提出をした場合でも、「電子データで出力する」という設定ボタンが用意されています。

しかし、書面印刷した書類を提出するのあれば、データは会社に提出しませんから、データの出力は不要のはずです。

この疑問について、開発者向けFAQ問1-3を読むと、

控除申告書XMLデータは、本来は年末調整申告書をデータで勤務先に提供するために作成されるものですが、従業員が翌年に年調ソフトを利用して控除申告書を作成する際のインポートに利用することができるため、同時に作成しています。

と書かれています。

これは重要な案内です。出力できるXMLデータを翌年まで保管しておけば、来年の手間を省くことができるでしょう。

書面提出を求める会社でも、データは従業員で各自保管することを周知しておくことが望ましいでしょう。

また、データ提出の会社でも、あえて「書面提出+データ出力」をすることで、PDFを目視確認用として活用できるとされています。

勤務先に年末調整申告書をデータで提出する場合でも、控除申告書XMLデータと併せてPDFデータを提出することで、勤務先においては、控除申告書データの内容をPDFデータで目視確認することができます。

このあたりは、会社の業務フローによるところが大きいでしょう。

まとめ

2020年6月下旬に、国税庁ホームページで掲載された「年末調整手続の電子化」に関するFAQとパンフレットから、新たにわかったことを紹介しました。

1つの記事で紹介するには分量が多いため、次回の投稿でも引き続き紹介します。

2020年6月下旬、「年末調整手続の電子化」について、新たなFAQとパンフレットが国税庁ホームページ...

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