インボイスの「登載事項」「公表事項」「公表情報」はどう違うか?

細かい話ですが、インボイス制度における登録内容については、「登載事項」「公表事項」「公表情報」といった、微妙に異なる用語が見られます。

これらの関係性はどうなっているのか、その点を整理しました。

説明のポイント

  • 「登載事項」「公表事項」「公表情報」は、いずれもほぼ同じ内容であるが、取り扱われる場面において用語が異なる
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「登載事項」「公表事項」「公表情報」はどう違うか

以前にインボイス関係の記事を書いたときに、用語としての「公表事項」と「登載事項」の使い分けがあいまいだったことに気づきました。

このため、自分の中で納得ができるように、図で整理してみました。

(クリックで拡大できます)

話をまとめると、登録申請によって適格請求書発行事業者登録簿に登載されているのが「登載事項」、それがもとになって法令により公表される事項が「公表事項」、国税庁ホームページで公表されている事項が「公表情報」ということです。

こうしてみると、どれも同じようなものじゃないか? と思われるかもしれません。同じ内容が、場面によって用語の使い分けがされているだけのようにも見えます。

違いを強調する例を考えてみると、もし事業者側が本店の異動手続きを行う場合は、登録簿の「登載事項」を変更するのであって、「公表事項」は結果として変更されるものといえます。

1点気になるのは、「本人の申出に基づき追加で公表できる事項」が別にあることです。こちらもやはり「公表事項」ではありますが、任意で公表できるものであり、法定の公表事項である登載事項とは別ものです。

「本人の申出に基づき追加で公表できる事項」に関する手続きについては、登載事項とは別の様式である「公表(変更)申出書」が用意されていますが、この公表に関する根拠は見当たりません。

なお、図にある「任意の公表事項」という用語は、筆者が「法定の公表事項」との対比で便宜的に用いたもので、Q&A等の資料から引用した用語ではありません。

公表事項の視点からみるとややこしい

国税庁ホームページの番号公表サイトにおけるQ&A(Q2-4)を読むと、

2-4 公表されている事項を変更する場合は、どのような手続が必要ですか。

との問に対して、

法令で定められている公表事項(住所や名称、法人の本店所在地など)を変更する場合は、「適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出書」(以下「変更届出書」といいます。)をご提出してください。

とあります。(微妙に違和感のある文章ですが、原文ママです)

さらに、

 また、法令で定められている公表事項以外に追加で公表を申し出た事項(屋号など)を変更する場合は、「適格請求書発行事業者の公表事項の公表(変更)申出書」を提出してください。

とも書いてあります。

公表事項を変更したいという質問に対して、「登載事項」の変更を行うように指示しているにもかかわらず、あわせて「公表事項の公表(変更)申出書」の提出の可能性も指示しており、微妙なややこしさを覚えます。

公表事項を変更したいなら、公表事項の変更手続きを……と思うのが一般的な感覚でしょうが、登載事項の変更が必要ということにひっかかりを覚えます。

まとめ

インボイスに関する用語である「登載事項」「公表事項」「公表情報」について、これらの違いを確認する記事でした。

これらは完全には同一ではないものの、ほとんど同じ用語と思ってよさそうです。ただし、インボイスに関する手続きを考えるうえでは、使い分けをきちんとしないと、混乱を招きそうです。

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