ひとりの税理士として、税務行政へのささやかな意見です。
東京国税局インボイス登録センターについては、電話応対がまったく追いついておらず、税務行政への不信感を招きかねない状況と危惧しています。
単なる意見だけの記事ですが、これもインボイス施行時の記録として残すべきと考え、書いておきます。
40回電話してようやくつながった……
ある案件で、筆者が2023年6月にe-Taxで提出したインボイス関係の書類がありました。しかし、処理が進む気配がなく、東京国税局のインボイス登録センターに、2023年8月頃から処理状況を電話で確認していました。
電話口では「●●までに対応する見込み」という案内を2回ほど受けながらも、まったく進展がなく、2023年9月後半になると登録センターに電話がつながらなくなりました。
ようやく電話がつながったのが、2023年12月28日の御用納めの日でした。ここに至るまで、約40回ほど登録センターに電話をして、ようやく電話を取ってもらえました。
インボイス制度への不信感を招く一因になるのでは
このように書くと、「あなたは税理士だろう。2023年3月までが当初の申請期限だったことは知っているのだから、処理の遅れはある程度覚悟すべきだ」などと、お堅い人からはいわれてしまいそうです。
その点は当然に承知していますし、もし批判されるとしても、登録センターに40回も電話することを考慮しているものではないでしょう。あまりにも厳しい状態なので、状況を危惧しています。
と案内されていますが、これだけで足りる説明といえるのか心配になりました。
対応する職員さんの声も、疲労感でいっぱいでした。電話口では、苦情も多数受けていることでしょう。これでは登録センターの職員の方々が気の毒です。
このままだと税務行政やインボイス制度への不信感につながる状況とも思えます。そうはいっても、もはや効率的な対応を考慮するほどの余裕もなく、それどころではないのでしょう。
落ち着いたところで結果の分析もしてほしい
なぜ、このようなすさまじい混雑が続いているのでしょうか。
真偽は不明ですが、個人的に耳にしたこととしては、税務に不慣れな個人事業主の手書きの申請書が多すぎることが、登録センターに負荷がかかる主因になっている……という話があります。
手書きの申請書だと、記載不備を事前に弾くことができないことや、文字が汚すぎて読みづらいなどの問題も予想され、時間がかかることは当然に予想されます。
書面による郵送申請は登録通知まで最長3ヶ月かかる時期もありましたので、あながち的外れといえないかもしれません。
もしこれが本当であれば、「デジタル化」と程遠い状況にため息しかありません。
内部事情の詳細を知らないのに、安全地帯から物を言っているようで気が引ける面もありますが、この状況はさすがに厳しいものがあります。
インボイスの登録申請は、2年間で約400万件の新規申請を受け付けるという厳しい業務だったといえるでしょうが、その対応は効率的だったのでしょうか。落ち着いたところでデジタル庁とともに検証して欲しいです。