「スマホ申告」が話題となった2019年3月申告期限(平成30年分)の確定申告。その翌年の確定申告では、その「スマホ申告」が大幅に機能をアップデートすることがわかりました。
説明のポイント
- 2020年のスマホ申告は大幅なパワーアップ予定
- 給与、年金収入のある人については、ほとんど対応できそう
使えないとの批判を浴びた「スマホ申告」
2019年の確定申告で話題の一つとなったのが、スマートフォン専用画面で確定申告書を作成できる、通称「スマホ申告」です。
「スマホ申告」と呼ばれていますが、正確には「スマホ専用画面」のことを意味しています。スマホユーザーの操作性を重視した専用画面が、2019年から国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で用意されたわけです。
なぜスマホ専用画面が用意されたのかというと、これまではスマホであっても、パソコン向けと同じ画面を利用していたので、利便性が悪かったためです。
ところが、利便性を改善したことがかえってスマホユーザーの注目を浴びることになりました。リリース1年目ではまだ中途半端で機能不足の状態だったため、「使えない」などと批判的な報道を多く目にしました。
当ブログではこの件について触れており、世間で広まっている批判は、過去の経緯を踏まえれば誤解も含まれている点を指摘をしました。
現状のスマホ申告では機能不足であることから、当ブログにおいても最低限、雑所得への申告に対応するよう提言しています。
明らかになった来年の機能アップデート
そんなスマホ申告について、翌年のアップデート予定についての最新情報が「第20回 国税審議会 説明資料」(2019年3月13日開催)に書かれていました。
その資料を転載します。
この資料で特に注目されるのが、資料右下の「平成31年分」のところです。
平成31年分=令和元年分=2019年分の確定申告は、2020年3月申告期限です。つまり、この部分は、次回の確定申告における「スマホ申告」を意味しています。
なにがアップデートするのか?
アップデートする内容は、下線のある部分が該当します。
新しく追加されるのは次の機能です。これを見る限り、給与・年金収入のある納税者で利用できることでしょう。
- 年末調整をしていない給与
- 2ヶ所以上で給与をもらっている場合
- 雑所得(公的年金等)
- 雑所得(その他)
- 一時所得
- 全ての所得控除
- 災害減免額
- 予定納税がある場合
- 前年からの繰越損失がある場合の所得からの差し引き
2019年のスマホ申告は、年末調整をしている給与のある人だけが対象で、医療費控除・寄付金控除(ふるさと納税)しか対応していませんでした。
それが、2020年は一気に、非年末調整給与・年金・雑所得・一時所得にも対応するわけです。これは大幅なレベルアップといえます。
副業(2ヶ所目の給与や、雑所得)をしているビジネスパーソンも、スマホ申告で対応できるでしょう。
また、2019年においては、還付のある申告しか対応していませんでした。
今回の資料では明らかにされていませんが、おそらくは納税のある申告にも対応できるのではないか……と思われます。その理由は、予定納税のある納税者に対応しているためです。
(これは筆者の予想ですので、間違っていたらすいません)
予定は変更されたのか?
この機能アップデート予定は、2018年10月に公表されていたものから、もう少し具体的になっていることでも注目されます。
2018年10月に公表されていた政府税調における財務省資料では、「対象を、全ての給与所得者や年金収入のある方にも拡大」と書かれていました。
今回公表された資料を見ると、雑所得や一時所得にも対応することがわかりました。これを「予定変更」と見るのか、それとも2018年10月の時点でもとからこの予定だったのかは不明です。
いずれにしろ、この機能アップデートにより、給与・年金収入のある人であれば、スマホひとつで確定申告OKといえる状況も期待できそうです。
まとめ
2019年から始まったスマホ専用画面での「スマホ申告」。
機能不足から批判もありましたが、2020年のスマホ申告は、その批判を跳ね返すようなレベルのアップデートが予定されています。
スマホ申告では、税務署で「ID・パスワード」の交付を受ければ、マイナンバーカード不要で電子申告も可能です。いっそう利便性が高まることでしょう。
個人的には、2019年におけるスマホからの電子申告が、いったいどれくらいあったのか気になっています。
いずれは国税庁から発表もあると予想され、その点も注目しています。